お泊まり会前の2人
土曜日になり綾香の友達が泊りにくるのでその準備をしていた。主に掃除だけど。来るのは昼過ぎと聞いているからそれまでに終わらせばいいのでゆっくりと進められる。
「さて、布団も干したし……だいたい終わりかな」
一通り掃除も終わり詩乃ちゃんが寝る用の布団も一応干して準備は終了だろう。準備が終わったので今度はお昼ご飯の準備だ。綾香は勉強しているし俺が作るべきだろうと思いリクエストを聞きに行く。
「綾香、入っていいか?」
「うん、いいよー」
返事を聞いてから綾香の部屋に入る。まだ勉強中のようで机の上にはノートや教科書が広がっていた。
「もうすぐお昼にするけど食べたいものある?」
「んー……今は特にないかな」
「わかった。飲み物とかいるか?持ってくるけど」
「じゃあお茶お願い」
「あいよ、すぐお昼だからキリつけといてな」
「はーい」
一度部屋を出てお茶だけ汲んで綾香に届ける。それからお昼ご飯を作り始める。今日は卵とかウィンナーとかを焼いて簡単に済ませようと思う。
ものの10分程で完成して、インスタントで汁物を作れば十分な量になるだろう。再度綾香の部屋に行き声をかける。
「ご飯できたぞ」
「はーい、今行くねー」
俺が椅子に座ると同時に綾香もリビングに来て椅子に座る。ふたりで「いただきます」といって食べ始める。
「詩乃ちゃんは2時ぐらいにくるみたい」
「そっか、まぁ準備は終わってるしいつでも大丈夫だよ」
「ありがと、なんか全部冬夜くんに任せちゃったね」
「いいよ、テストは大切だしな」
「文化祭で思ったより勉強できてないしね」
「ほんと文化祭とテストが近いのは大変だよな」
「……冬夜くんはそれでもずっと1位だったんでしょ?」
「普段の授業で大体理解するから復習がいらないしなぁ……1日1時間の自習しかしてなかったな」
「ほんとの天才じゃん。私に勉強教えてくれてもいいんだよ?」
「綾香は教えなくてもできるだろ?」
「やる気が違うの」
「……欲望が見えてるぞ」
だって冬夜くんに教えて貰いたいし……とつぶやく。教えれるものなら教えてあげたいが覚えてることが曖昧だしな。
「昼の間に時間くれるなら夜には教えれるぞ」
「いいの?でもなんで?」
「綾香のテスト範囲の確認と俺の復習」
「それ、数時間で終わることなんだ」
「2時間あれば完璧にできるぞ」
「なんか差を感じるよ……」
綾香が落胆し始めたので少しなだめつつご飯を食べる。それからは他愛もない雑談をしながらお昼ご飯を食べていた。
「洗い物は私がするよ」
「え、勉強で疲れてるだろうしいいよ」
「午前中は冬夜くんに全部任せちゃったし洗い物ぐらいはね?」
「じゃあ頼んだ」
「任されました」
可愛く敬礼をする。ちょっと可愛すぎて抱きしめたくなったけど我慢してソファに座り込む。午後からの予定を考えつつスマホをいじる。
少しして寝転んでスマホを触っていたら、洗い物が終わった綾香が俺の上に寝転がってくる。
「えへへー」
「急に転がってくるな」
「転がるよー」
「いうのが遅い」
「ね、こっちむいて?」
「なに、んむっ……」
綾香の方に振り向いた瞬間唇に柔らかいものが当たる。突然のことで一瞬理解できなかったがすぐにそれが綾香の唇ということを理解する。
「ぷはっ」
「……急にキスしてくるなよ」
「でも今ぐらいしかイチャイチャする時間ないよ?」
「そうだけど……絶対いましたら中途半端に終わるだろ」
「うっ、でもしないよりマシじゃない?」
「絶対我慢した方がいいって」
「えー……ちょっとぐらいいいじゃん」
「そういいながら耳をふーふーしてくるな」
「……冬夜くんって耳効かないの?」
「あんまり効かないぞ」
「ちぇっ──ひゃうっ!?」
おかえしとばかりに俺は綾香の耳を咥える。そしてそのままハムハムと何度か噛む。
「ひぅ、ちょっ……とうやくん……?」
「んー?」
耳を咥えていて言葉をだせないのでそのまま返事をする。
「いっ……かい、耳からはなれ……て」
「……どした?」
「どしたじゃないよ!?急に耳はむはむしないでよ!」
「綾香がはむはむって言うと可愛いな」
「そうじゃないの!」
プンプンと怒って胸をポコポコ叩く。これはいつも通りだからいいかと思っていると急に首にキスをしてくる。しかも結構長めに。
「おい、今そんなことしたら、痕残るんだけど……?」
「んー?……もう一個、んっ」
俺の言葉には耳を貸さず2個目の痕をを付けだす綾香。反撃したくなって俺も綾香の首元にキスをする。一瞬驚いた顔を見せるがすぐに落ち着き俺へのキスを続ける。お互い同じぐらいキスをしたところで一度離れて息をする。
「もう、今つけたら詩乃ちゃんに色々聞かれちゃうじゃん」
「じゃあなんで俺にしてきたんだよ」
「私のはマーキングだからいいの」
「よくないだろ」
「文句をいう悪いお口にはこうです」
そういうと再びキスをしてくる。文句を言いたいがふさがれてしまったためなにも言えないくなる。一度離れてくれたらとりあえずキスできないようにソファから逃げようと決めるがなかなか離れてくれない。
かなり長い時間キスをしてようやく離れる。
「はぁ……はぁ……まだしたい?」
「それは……あやかの……ほうだろっ」
お互い息もきれぎれになりながらもまだ煽りあう。俺からすればもの欲しそうな顔をしているのは綾香だが綾香から見れば俺もそんな顔をしているのだろうか。
「ねぇ、まだしてもいいよね?」
「仕方ないからいいよ」
「じゃあ……」
そういって再び唇が触れ合う瞬間───
ピンポーン
と玄関のチャイムが鳴る。
「あてっ」
「っつ」
お互い驚いて跳ねてしまったせいで頭がぶつかってダメージを受ける。
「もう2時じゃん……」
「ほんとだ」
お昼ご飯を食べるのがすこし遅かったから気づけば2時になっていた。ならさっきのチャイムは詩乃ちゃんだろう。
自分の服を見るとところどころ乱れていて綾香も同じようになっている。完全にこれからそういうことをする状態だ。
「わ、私で出てくるね!」
「頼んだ!」
それから俺たちはあわただしく来客を迎えることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます