六章 2話
放課後になれば、いつも通り俺たちは一緒に下校をした。
「朝は話しかけに来ていただきありがとうございました」
「いいよ、ぶっちゃけ颯太に押されていったって感じだし」
二人になると、やはり朝のような緊張は全くなく、いつも通り話すことができた。
「それにしてもなんか人に見られながら話すのって緊張するな」
「そうですね。私も少し恥ずかしいと感じました」
「おかげで意味の分からない話しかできなかったよ」
「そうですね。今日始業式だけという話は笑いそうになりました」
「そうだよな」
そう言って、俺たちはお互いに笑い声をあげる。
「でも、いつもは色々な人からの色々な話を聞かされているので、少し疲れるのですが、今日は冬治君が来てくださったおかげで楽しい時間でした」
「それなら不幸中の幸いだよ」
俺はそう言って自嘲的に笑った。
そして、そんな話をしていると、ふと思いだしたことがあったので、俺はそれを姫花に話をした。
「そう言えば、前言ってた映画の新作が今週の週末から公開されるんだって」
「そうなんですか?」
俺がそう言うと、姫花は少し興味を抑えきれないと言った口調でそう答えた。
俺はそんな姫花の様子を見てから、大晦日の日に約束した映画の続編を一緒に見るという約束を果たすために、デートに誘うことにした。
「そう、だから今週の日曜日に一緒にどうかなって思って」
「今週の日曜日ですか?」
「そう。何か予定とかあった?」
「いえ、大丈夫です。ぜひお願いします」
「了解」
こうして、俺は姫花とのデートの約束をした。
さらに詳しいところまで決めておきたかったので、俺は姫花に色々と提案してみあ。
「それで、場所は慧城駅から十五分程電車に乗って行けるショッピングモールにしようと思ってるんだけど大丈夫?」
「はい、問題ないです」
「よし。じゃぁ、映画を昼前から見るとして、その後昼ご飯を食べて何かして帰ろうと思ってたんだけど、何かしたい事とかある?」
俺がそう聞くと、姫花はうーんと考えて、頭を悩ませた。
そして少ししてからハッと何かを思いついたように顔を上げて口を開いた。
「洋服などを買いたいですかね。あとは冬治君のおすすめの参考書なんかも聞いて買いたいです」
「なるほど。じゃぁそうしようか」
「あ、あと……」
俺がそれで行こうと言おうとしたとき、姫花が遮るように何かを言おうと口を開いた。
しかし、なかなか続きを言おうとしないので、俺はそれを促すことにした。
「どうした?」
「パフェが……食べたいです」
そう言って、ちらっと俺の顔を見た姫花は、その後すぐにバッと顔を俯けた。
耳が真っ赤になっていて、恐らく恥ずかしいのだろうと思ったが、そんなに恥ずかしがることでもないだろうと思いながらも、どこか可愛らしいと思ってしまった自分がいた。
俺はそんな自分に苦笑いしつつも、何とか普通に返事をした。
「了解。じゃぁおやつにでも食べよっか」
「はい!」
そう返事をした姫花は、時々見れる無邪気さが入った笑顔だった。
そんな姫花を見ていると、俺は何と言うか微笑ましいなと思い、思わず頬が緩んでしまった。
「それじゃ、そういう予定で大丈夫?」
「大丈夫です」
俺が確認を取ると、その時にはいつも通りの姫花に戻って返事をした。
こうして、俺は姫花とショッピングモールデートをすることになった。
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