四章 二人のクリスマス

四章 1話

 十二月もそろそろ終わりに近づく頃、私立慧城高校は二十日から冬休みが始まった。


 約三週間ほどの長い長い休みなのだが、その割にはあまり課題が出ず、学生にとっては最高の長期休暇となっていた。


 しかし、そんな休みでも、俺には特にやることが無く、普通に勉強をするだけの日々となっていた。


 だから、課題も二日目には終わり、三日目には学年末テストの数学の対策まで終わってしまった。


 いよいよ模試対策の勉強でもするかと考えていた時に、俺のスマホにメッセージが届いた。


『明々後日の十二月二十五日、予定はありますでしょうか?

 もしなければ、私と街へイルミネーションを見にデートをしませんか?

 かなり大きな規模でやるみたいなので、行ってみたいと思って声をかけました

 良ければ一緒に行きたいです、お願いします!』


「イルミネーションね……」


 俺はふと思い出したことがあった。


 俺がまだ小学校低学年ぐらいだったころ、よく母と一緒に山へ星を見に連れて行ってもらっていた時期がある。


 俺は今もだが、その頃からかなり星が好きで、星座なんて全然分からなかったあの時期も、ただただ真っ暗な空の中に、無数に輝く星というのが、小さな俺にとっては無限のように大きな存在として感じていたのだった。


 そんな影響もあってか、イルミネーションのように光り輝くものは、かなり好きなのだ。


 ただ、今まで一度も恋人ができたことのない俺は、中々間近で見たことが無かったのだ。


「コレ、俺が付き合ったときにしたい事の中でも特に上位だな……」


 そう呟いた俺は、姫花からの誘いを断るつもりなんて端から一切なかったので、すぐにスマホを手に取ると、肯定の意を伝えた。


 しばらくして、姫花からも『ありがとうございます』と返信が来た。


 俺はそれを確認すると、スッとベッドに寝転がった。

 そして、スマホを傍らに置き、考え事をした。


「でも、それまで暇だよな……何するかな」


 そして話は振り出しに戻ってしまっていたのだ。


 予定はできた。

 ただ、他のクラスメイト達とは違って、たくさんの予定が詰まっているというわけではなく、ただただ一日できただけだった。


「友達が少ないのは、こういう時に考えさせられるな……」


 俺は少しの悲しさを胸に、俺は一休憩も兼ねて、お昼寝をすることにした。

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