三章 期末テストと勉強会

三章 1話

 翌日の昼休み、姫花の周りには、昨日と同じぐらいの人だかりができていた。

 その理由は、恐らく昨日俺と下校したからだろう。


 確かに、今までは言葉と噂だけの関係だったため、俺たちが実際に二人でいるところを初めて見たヤツらからしたら、もっと本格的に話を聞きたくなるのも分からなくもない。


 それにしても、だ。

 二日連続学校で休む暇もないとなると、姫花にとってもかなりの負担になるだろう。


 俺はそう考えると、昨日のうちから考えていたことを実行に起こした。


「姫花」


 俺が姫花の席に近づいてそう呼びかけると、周りにいたクラスメイト達と姫花が、驚いて一斉にこっちを見た。


「はい。なんですか、冬治君?」


 そんな中、姫花はほんの少しの時間の後にそう言った。


 俺は、手に持っている弁当の入った手提げを見せて、こう言った。


「一緒に弁当食べようぜ」

「は、はい。少し待ってください」


 俺の言葉を聞いた姫花は、そう返事をして、少し慌てた様子で机にかけていた弁当の入った手提げを持って立ち上がった。


「お待たせしました。では、すみませんが私は冬治君とお昼をいただいてきますので」

「うん。行ってらっしゃい」

「ラブラブですなー」


 よく姫花と一緒にいる二人の女子が、俺たちを見ながらからかうように後ろからそう言ってくる。


 姫花はそんな二人に、顔を赤く染めながら、笑顔で手を振っていた。


 そうして、そんな感じで微妙に見送られながら、俺たちは教室を後にした。

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