injection

 暗くて何も見えない。狭い。狭すぎて息苦しい。無理やり丸まっているせいで首と背骨がずっと曲がったまま。痛くて辛い。そして、それとは関係ない体の内部の慢性的な違和感。


「着いたぞ。」

 急に差し込む光に目が眩む。光に目が慣れてくると凪紗さんの顔が見えた。

 どうやらここが凪紗さんの実験室らしい。見慣れない機械が並んでいて、壊したら大変そうなことだけわかる。そんな中に凪紗さんと二人きり。

「じゃあ、腕を出してくれ。」

 注射器を取り出した凪紗さんが言う。続けて、

「人間に注射するのは初めてだから、もし痛かったらごめん。」

 なんだそれ。怖すぎる。もし聡吏が居たら宮になんてことするんだーって怒るんだろうな。

「……。何をぼーっとしてるんだ?時間がない、早く腕を出してくれ。」

「……あ、ハイ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る