第24話

 ここは凪紗なぎささんが自分の研究に専念するために作った別荘らしい。別荘なんてアニメや漫画のお金持ちの口からしか発せられないもんだと思ってたから、凪紗さんの口からそんな言葉が飛び出したときはその意味を理解するまで三秒くらい要した。

 研究するための設備というより集中するための家として使うためということで、外見は普通の家だし、内装も玄関キッチントイレ風呂に書斎と応接室という感じで一見すると普通の民家と変わらない。ただ、地下にはいくつか実験用の装置が置いてるらしい。らしいというのは、危険だから入るなと言われて実物は見られていないからだ。


「絶対に入るんじゃないぞ?危ないから。」

 凪紗さんから念入りに注意される。

「寂しかったら後で相手してあげるから我慢しなよ~?」

 なんて宮に茶化される。私はどういう感情を持てばいいんだ。死……あんなことを言われて私はどうするのが正解なんだ。まだ何も説明されてない。

「……………………」

 何かを言い返さなくちゃ、と思ってとりあえず口を開いてみるけど、でも、言葉に固まってくれなくて。金魚みたいにパクパクするしかできなかった。

「それじゃ、来てくれ。」

 宮は私から目を離して凪紗さんについて行ってしまった。私はついて行けない。凪紗さんが宮を救ってくれることを信じるしかできない。

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