第22話
あまり眠れなかった。
ベッドがなくてソファで毛布にくるまって寝てた。当然ソファは寝るために作られてるわけじゃないから寝にくかった。天井の隅に蜘蛛の巣張ってるのも気になったし。
当然そういうのもあったけど、一番は宮のことだった。今のところは凪紗さんたちを信じてみることにしたけど、でもやっぱり今日知り合ったばかりの人だ。宮のことが気になって、宮がいなくなったら今日知り合ったばかりで気心の知れない相手二人に囲まれる。それが嫌で。
「ねえ」
これは宮の声。
「おーい、聞こえてる?」
聞こえてる。
「どうしよう。寝ちゃってるのかな。」
寝てな……あれ?私は起きてるのか?
ここは何処だろう。とても抽象的な空間で、いくらはっきり認識しようとしてもできない。私は一つだけ、こういう場所を知ってる。――夢だ。
私は夢の中で俯いて縮こまっていて、自分の脚の隙間から宮の足元が見える。足元だけで宮なんて分からないはずだけど、でも、私は分かる。これは宮。
頭を
「良かった、起きてた。あのさ、」
「なんで」
声が重なって、宮も私も黙ってしまう。
「……なんで、」
先に口を開いたのは私。
「私は宮が好きなの?」
わけが分からない質問。IQが低すぎる。
「そりゃあ、
答えになってない。
「……そっか。」
でも、なんだか納得してしまった。
「……………………」
よく分からない沈黙。
「宮は言いたいことないの?」
沈黙に耐えかねて、宮に聞いた。
「あったんだけどね。でも、今ので解決しちゃったの。」
何それ。分からない奴だな。……いや、
「……それって、」
一年に数回くらいある、とんでもなくパッチリ目が覚めるとき。それだった。
目が開くと、数センチ先に宮の顔があった。
「めっちゃかわい……」
心の声を口にしてしまっていた。気づいて口を閉じたが、遅すぎた。
徐に宮の口角が上がる。徐に顔が熱くなる。
「おはよ。」
宮の満面の笑みから放たれるそれは、強すぎた。効果抜群ってやつ。急所にも入ってそう。
できるだけ宮と目が合わないようにスマホを探って(ソファの背もたれに置いたはずなのに私の頭の下にあった)、スマホのロック画面で時間を確認する。9時半。
「あのさ、」
「そろそろどいて」
声が重なった。さっきもこんなことがあった気がした。でも、今回は先に口を開いたのは宮。
「あのさ、私がもうすぐ死ぬって言ったらどう思う?」
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