第19話

 狭い路地を抜け、公園に出た。よく知っている公園だ。昔から、そう、みやと初めて会った時から知ってる。


 ようやく宮は私を下ろしてくれた。

「ひぃ、ひぃ、腕が千切れるぅ~」

「だから言ったのに。私も走るって。」

「でも、お姫様抱っこされて嫌な気はしてないんでしょ?」

「…………」

「ね?」

 なんでこいつ私の心を読めるんだ。


 宮は公園のベンチで寝転がってる。ずっと私を抱えて走ってたんだから腕も足腰もたいへんな事になってるはずだ。私はその横のブランコに座ってる。

 ここからだと宮のスカートの中が見えそうだ……もしかして奥に見える白っぽいモノが……

 すんでのところで自制する。これじゃあ変態オヤジみたいじゃないか。改めて自分に叩き込む。アイツは同性だしそれ以前に中身は人間ですらない。

 でも、静かに寝息を立てている宮は可愛く見えてしまう。……って寝ちゃってるんじゃないか。気持ちよさそうにしやがって。

 宮が居ることがバレたらまた騒ぎになるかもしれない。誰かに顔を見られたら危ないのにこんな仰向けでベンチで寝てたらダメじゃないか。

 とりあえず、宮を膝枕してみた。判断能力が低下してたんだと思う。


 宮の髪はさらさらで、肌はすべすべで。なんかいい匂いまでする。

 膝枕してるおかげで、そういうのが制服のスカート越しに私と密着している。なんというかエロ……衝動的に顔を埋めたくなる。決していやらしい目で見ているわけじゃない。うん。

 ぼんやり宮の髪を弄っていた、そんなタイミング。知らない女性が公園に入ってきた。ダボっとしたシャツ、動きやすそうであまり高くなさそうなボトムス。こんな格好で40代後半くらいの女教師いるよな。でも顔を見た感じ若そう。

 それとなく両手を宮の顔の方に持って行って隠してみる。どうしよう。挙動不審じゃないかな。


 彼女の言葉に私は首をすくめた。

 急に喋られて驚いたというのもある。というか、それが7割。

「知念聡吏さとり。」

 なんでアイツは私の名前を知ってる?もしかしてパパの知り合いとか?

 私がビビッて硬直してるまま、彼女は続けた。

「私と協力しないか?」

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