meteor

 自分の感情がよくわからなくて、何をしたいか分からなくなって、当てもなく歩き回っていた。

 人が居ない場所を求めて歩き回っていて、気づいたら人気のない森の中で、小さなベンチに座っていた。

 スマホが鳴ったのでようやく我に返った。帰ってくるのが遅いのを心配したママからのLINEだった。それで今しがた0時を回っていたことに気づく。

「……大丈夫、もうすぐ帰る、と。……大丈夫なわけないじゃん。」

 スマホの電源を落とした。スリープじゃなくて、電源オフ。


 どこで死のうかな。肝心なところを考えてなかったな。

 考えているようで、ずっと同じところで思考を回らせているだけ。何もしないでいて……どれくらい時間が経ったんだろう。

 ふと、夜空に眩しい光が現れた。流れ星?それにしては眩しすぎる。……こっちに近づいてくる?


 そう思ったとたんに耳を劈く爆音と衝撃波が私を襲った。


 どうやら私は死ねなかったみたい。

 隕石ってやつかな。どうせ落ちるなら私の真上に落ちて一緒に消し飛びたかった。

 案の定、それはすぐ近くに落ちていた。人生で一番近くで見た隕石。でも興奮するほどの体力がもうない。

 落下したばかりで灼熱の隕石。小さな破片が落ちていて、拾ってみた。少し遅れて感じる痛み。慌ててそれを捨てる。指には小さな火傷ができていた。ムカつく。

 そのあたりからだんだん意識がぼんやりしてきて。




 宮川宮の記憶はここまで。

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