第357話 あなたの街の便器屋さん
「おほおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
警戒心の強さに定評のあるクリスお姉ちゃんでしたが、みんなの奇声を聞いた後では好奇心を抑えきれず、結局便器くんを試してみることになった。
もちろん結果は御覧の通りです。
今はビデの方でオホ声を繰り出しているところですが、おしりの時も同様のリアクションでした。
まあ初めての温水洗浄機能付きトイレですから、タマねえですら目を大きく開いてたくらいですし、全身性感帯と定評のあるクリスお姉ちゃんではひとたまりもないのでしょうね。
ちなみにリリカちゃんだけは大爆笑してました!
特に下から風が出てきた時なんか目をキラキラさせ、一瞬にしてこの便器くんの大ファンになったみたいです。
他のお姉ちゃん達やお母さんにしてもリアクションが最高に面白かったので、動画撮影すればよかったな~って思ったくらい笑いました!
風でおしりを乾燥させたクリスお姉ちゃんが、足をガクガクさせながら便器くんから降りる。
「これ、クセになるかも・・・」
「どんな意味で言ってるのかはさて置き、気に入ってもらえて良かったのです!」
便器くんと鉄板を消してから、全員リビングに戻って来た。
「なるほど。非常に危険な便器ではあったが、用を足すだけって使い方をするにしてもウチのより遥かに高性能だな」
「比べ物にならないわね。そもそも便器に用を足す以外の何かを求めるなんて、今まで考えもしなかったわ!」
「お母さんも便器に不満を感じたことなんか一度も無かったわね~」
「最後に大量の水で洗浄してくれる機能には驚きました!」
「タマもあの便器すごく好き。ウチにも欲しいくらい」
「かぜがビューーーーーンってでた!!リリカもアレだいすき!!」
パンダ工房にある便器やセルパト連邦の便器も、ウチで使ってる便器とほぼ一緒で、穴の開いた箱に座って用を足し、終わったら蓋を閉めるだけってタイプだ。
箱といっても底が抜けているので、ブツは奈落の底に落下していくわけです。
和式便所から洋式便所になるとかだったら悩むかもしれないけど、今回のパターンは洋式便所がパワーアップする感じなので、便器をチェンジするにしても反対する理由が無いのですよ!
「じゃあウチのトイレを改造しちゃっていいですか?トイレまで水を引かなきゃいけないから自分達じゃ出来ないけど・・・」
「あ~、風呂場みたいに水道管が必要になるのか」
「そうねえ。アレを設置するには業者さんを呼ぶしかないかも」
「少々金が掛かってもやるしかねえな。尻の方はともかく、あのビデって機能が優秀すぎる!」
「やっぱりそれよね!もちろん私は大賛成!」
「お母さんも賛成なのよ~♪」
「リリカも!!」
タマねえやプリンお姉ちゃんはお隣さんだから傍観してるけど、この便器くん目当てでウチのトイレを借りに来るかもですな~。
もう一つ便器くんをゲットできればタマねえにあげてもいいんだけど、狙って手に入れられるもんじゃないから、気長にアイテム召喚を続けていくしかないです。
便器くん騒動もようやく落ち着いたので、レミお姉ちゃん専属ハムちゃんにママさんが仕事から帰って来たのか聞いてみたところ、今日にでも話し合うんじゃないかと読んでたみたいで家にいました!
というわけでボクとタマねえの二人で迎えに行くことになり、その後の話し合いのために、ハムちゃん通信でアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんを招聘。ボクとタマねえがママさんを連れて来るまでには合流できるハズ。
というわけで、トナカイに乗ってレミお姉ちゃんの家に向かった。
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「アレがボクんちです!その向こうがタマねえの家だよ!」
「ということは、こっち側が購入した土地ね?」
「うん!」
「今日から私もあの家に住んで、クーヤちゃんと一緒に生活するのね!」
「いえ、住まないです。レミお姉ちゃんが暮らすには部屋が足りません!」
「クーヤちゃんの部屋で一緒に暮らすに決まってるじゃない♪」
「タマねえ!レミお姉ちゃんを連れて来たのは失敗でした!!」
「だから言ったのに」
そんな会話をしながら我が家に入り、リビングのドアを開ける。
「レミお姉ちゃんとママさんを署まで連行しました!」
部屋を見渡すと、アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんを発見。
すぐにでも話を進められそうです。
「お邪魔しますわ♪あは~、噂通り本当に面白い家ね!」
「ほわあ~~~~~!ここがクーヤちゃんと私の愛の巣なのね!」
さっきまでのノリでアホなことを言ってるレミお姉ちゃんですが、リリカちゃんが遊んでるゲームを見てフリーズした。
「・・・え?アレは一体なに!?」
「すごいのがあるわね!大きいけど、あのアニメを見る道具じゃないかしら?」
「半分正解です!ウチではゲーム専用機になってますけどね~」
「あっ!この家にもパンダ社長がいるわ!」
「同じパンダですけど、パンダ工房にいるパンダ社長とは別パンダですよ」
「初めて見る動物や不思議な道具がいっぱいで、本当におもちゃ箱みたね~♪」
とまあレミお姉ちゃん親子が一通りカルチャーショックを受けた後、ようやくウチの家族と挨拶して少し落ち着いた。
ガチャッ
「ただいまーーーーー!」
「あっ!ティアナ、やっぱりママさんがいたですよ!」
あれ?なんでこんな早い時間にティアナ姉ちゃんとモコねえが?
「ムムム?ティアナ姉ちゃんとモコねえ、帰って来るの早くない?」
「今日は会社の説明会があるからって、早退してきたんだよ!」
「本当は学校に行く必要すら無かったですが、先生に報告しないとサボリになっちゃうので、仕方なく登校したですよ」
「まあ昨日報告し忘れたせいなんだけどね!」
「なるほど~」
会社の説明会をするなんて話してたっけ?そもそもママさんもよくわかってない職種なんだから、説明会というより経営会議って感じだよね。
っていうか今日は土地の話をするために集まったんだし。
まあモコティー先生の将来に影響を及ぼす大事な話し合いではあるんだけどさ。
「あ、そうそう!レミお姉ちゃんに質問があります!」
「おっぱいのサイズかしら?」
「違います。トイレまで水道管を引き込んだり・・・とかって出来ます?」
「水道管を?そんな仕事はしたことないけど、
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
知り合いに水道屋さんがいたことに、お姉ちゃん達から歓声が上がった。
「でもどうしてトイレに水道管なんか引きたいのかしら?」
「それはですね、さっき最強便器くんを手に入れてしまったからなのです!」
「・・・え?便器くん??」
「そうそう!マジで最強便器なんだぜ?せっかくだし試してみるか?」
「あははははははは!最強便器とかすごく面白いわね。レミ、試すわよ!」
こうして再び風呂場に移動し、レミお姉ちゃん親子とモコティー先生らが便器くんを試してみることになりました。
まずは好奇心旺盛なモコねえが便器くんの洗礼を受けて奇声をあげ、続いたティアナ姉ちゃんも怒涛の攻撃に耐え切れず、便器くんから降りた今も生まれたての小鹿のように足をプルプルさせている。
そんな姿を目の当たりにしたレミお姉ちゃんが、意を決して便器くんに座った。
「ほああああああああああ~~~~~~~~~~!!」
意外にも、レミお姉ちゃんはオホ声じゃありませんでした!
続いてビデの方も試してから、風でおしりを乾燥させる機能に感動し、最後にブツを流しつつ自らを洗浄する便器くんの技を見て目を輝かせています!
「ママ!この便器くんは時代を変える一品かも!!」
そして本日最後のチャレンジャーであるママさんが、便器くんと対峙した。
思った通り、ママさんもクリスお姉ちゃんと同じ流派だったようで、前でも後ろでも浴室にオホ声を響き渡らせた。
ジョパーーーーーーーーーーーーーーーッ!
「・・・レミ。これだわ!!」
「凄かったでしょ?」
「アニメが完成するまで、スタジオ・モコティーは便器屋さんになるわよ!」
「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
その一言に、全員が驚きの声をあげた。
・・・なるほど。
どうやらティアナ姉ちゃんとモコねえは、便器屋さんに就職するみたいです。
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