第351話 謎のお姉さん登場
レミお姉ちゃん
キョロキョロ
とりあえずご近所さんには気付かれなかったようだ。でも今の行動はよくないな。人んちの庭で叫ぶなんて近所迷惑になってしまうのです!
服が汚れてしまったので、あひるポンチョを一旦消してすぐに呼び出し、いつもの清潔クーヤちゃんに戻った。
しかしまだ外に出てから15分程度しか経っていないので、あの部屋に戻ったとしても一番危険と思われるシーンを目撃してしまうだけだろう。
しょうがないので、玄関のドアの前で体育座りして時間を潰すことにした。
すや~
◇
「あらあら?家の前に小さな子が座ってるわね~。一体どこの子かしら?」
トントン
すや~
トントントン
・・・ん?
誰かに肩をトントンされていることに気が付いて顔を上げた。
にょあっ!目の前に、どこかで見たような綺麗な女の人が!
「まあ!なんて可愛らしい子なのかしら!」
ヒョイッ
「わぷっ!」
謎の女性に抱き上げられて、顔が完全に爆乳に埋もれた。
「理想的な抱き心地だわ!こんな子が欲しかったのよ~♪」
「んぐぐ、むごごご」
「・・・でもどうしてウチの前で座っていたのかしらね?」
「ぐむむむむむむ~~~~!」
「あん!おっぱいがくすぐったいわ~♪」
ぷはあッ!
「死ぬかと思ったのですよ!!」
「あっ、そういうことだったのね!ウチの子になりたくて遠くから訪ねて来たに違いないわ!」
「いや、そんなわけないじゃないですか!」
「中で冷たいジュースを飲みましょうか!さあ上がって上がって~♪」
「上がっても何も、抱っこされてるからボクの意志が反映されてないのです!」
抱っこされたまま玄関で靴を脱がされ、強制的に家の中へ連れて来られた。
「これは間違いなく神アニメです!」
「漫画のキャラクターが動くなんて凄すぎるわ!でも何をしゃべってるのか自分で理解できなかったのが残念かな~」
「タマは半分くらい?でもこれは神アニメ。全てを理解する必要がある!」
「私にもわからない単語があったので、翻訳が半端で申し訳なかったのです」
「内容は大体わかったから十分満足よ!翻訳ありがとね!」
「タマももう少し勉強しなきゃ・・・」
「わからなかった単語はあとで調べておくです!あ、そうだ。もしニホン語を覚えたいのなら、わたしが教えてあげてもいいですよ?まだ勉強中の身ですが」
「本当に!?是非お願いするわ!」
リビングに入ると、アニメを見終わった三人がすごく盛り上がっていた。
謎の女性はこの家の人みたいだから、おそらくレミお姉ちゃんのお姉さんだと思うんだけど、モコねえ&タマねえという初めて見るお客さんに驚いている。
バタン
「えーと・・・、レミのお友達かしら?」
アニメで盛り上がっていた三人がこっちに顔を向けた。
「あ、ママ!おかえりなさ~い。今日は早かったのね!」
「おはようございます」
「あっ!お邪魔してますです!」
はあ?ママですって!?20代後半くらいだと思ってたんだけど!
仮にレミお姉ちゃんが22歳だとすると40歳くらいってこと?マジか!!
「いらっしゃい。ゆっくりしていってね~」
「ところでママ?いつの間にクーヤちゃんを抱っこしたの?」
「・・・クーヤちゃん?」
レミお姉ちゃんのママと目が合った。
「そうそう!家の前に座っていたから話し掛けたら、抱きつかれちゃったのよ♪」
「逆です!玄関先でレミお姉ちゃんのママに抱きつかれて以来、一度も地面に降ろしてもらえていません!」
「えーと・・・クーヤちゃんは、ウチの子になるために遥か遠くからミミリア王国まで訪ねて来たの。今日から家族の一員なのよ~♪」
「ボクはどこの国の人なんですか!!一人で三千里を旅して来たのですか!?」
「ごめんねクーヤちゃん。ウチのママってこういう人なの。話が通じない時は適当に流した方がいいわよ」
「あっ、冷たいジュースだったわね!」
ポテッ
やっと抱っこから解放してもらえた。
「うぅ、酷い目にあったのですよ!」
「外に行ってたですか?」
「んむ。男には一人になりたい時もあるのです」
どうでもいいけどこのチンチクリン、学校行かなくていいのか?
「クーヤ様に質問があるです!」
「どうぞ」
「このアニメってのはどうやって作るですか?」
アニメか~!
自分で作ろうと思ったことなんてないから、ほとんど知らないぞ?
「アニメはよく見てたけど、自分で作ったことはないのです!パラパラ漫画なら描いたことあるけど・・・」
「パラパラ漫画?」
「一番原始的なアニメですね~。アニメの長い歴史の原点みたいな感じ?」
「それちょっと描いてみてほしいです!」
「うぇええええーーーーー!?」
「面白そうね!」
「タマも見たい!」
ん~~~、簡単なヤツなら30分もあれば描けるか・・・。
「たぶん本気を出すと何日も掛かってしまいますので、簡単なヤツね?」
「簡単なので十分です!!」
2センチくらいある厚めのメモ帳を召喚した。
棒人間じゃちょっとつまらないので、あひるポンチョのクーヤちゃん風の簡単な絵を描き、左から右に歩いて行って、クルクル回りながら左に移動し、最後にハムちゃんを呼び出して二人にお辞儀させてみた。
それをパラパラやってみると、意外と出来が良く、クスっとしてしまった。
「できたーーーーーーーーーーーーーーー!」
ジュースを飲みながら談笑していたお姉ちゃんズが振り向いた。
「おお!見せて下さいです!」
「楽しみ!」
「クーヤちゃんって実はお絵描きが得意だったのね!」
みんな初心者だから、こんなのでも説明しなきゃですね~。
「一番上のページから描いたので、こんな風にメモ帳を持って、パラパラパラっとやってみてください!」
パラパラパラパラパラパラ!
「小さなメモ帳だから一人ずつ見た方がいいね。はいモコねえ」
「ほうほうほうほう」
モコねえが右手にメモ帳を持って、ボクがやったようにパラパラやり始めた。
パラパラパラパラパラパラ!
「お?おおおおおおおおおおおおおおお!!」
パラパラ漫画なんて一瞬で見終わってしまうので、モコねえはもう一度最初からパラパラっとやった。
「クーヤ様が、・・・あ、ネタバレは禁止ですね!とにかく凄いですよコレ!」
モコねえがタマねえにメモ帳を渡し、タマねえもパラパラ漫画に初挑戦した。
パラパラパラパラパラパラ!
「すごくいい!」
もう一度パラパラやってクスっとした後、メモ帳はレミお姉ちゃんの手に渡る。
パラパラパラパラパラパラ!
「クーヤちゃんが踊ってる!アハハハハハハハ!最後にお辞儀したわね!」
みんなで盛り上がってると、別の部屋で服を着替えたりしていたレミお姉ちゃんのママもボク達の方に歩いて来たので、パラパラ漫画を見せてあげた。
パラパラパラパラパラパラ!
「絵が動いてるわよ!?・・・え?これ、クーヤちゃんが描いたの!?」
「うん!」
「可愛いのに天才だったなんて!!」
「わぷっ!」
レミお姉ちゃんのママに引き寄せられて、またもや顔が爆乳に埋もれた。
「むぐぐぐ、んごごごごごご!」
ダメだ、この人のおっぱいは危険すぎる!もはや凶器じゃないですか!
窒息死する前に、早くこの家を脱出しないと!!
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