第350話 好き好きレミィお姉ちゃん!
そのブツを見てリビングの床に崩れ落ちたショタとは対照的に。2枚目のDVDを欲していたチンチクリンの目が光を放つ。
「なんかエロ可愛いのがキターーーーーーーーーーーーーーー!!」
床に鎮座している『好き好きレミィお姉ちゃん!』を手に取ったモコねえが、DVDのパッケージを見て大興奮している。
当然近くにいたタマねえとレミお姉ちゃんもモコねえの側に駆け寄り、可愛らしいショタがエッチなお姉さんに抱きついている絵を見て目を輝かせ始めた。
「何コレ!?私が常日頃から夢見て思い浮かべていたワンシーンが、そのまま描かれてるんだけど!!」
「すごくいい!この子ちょっとクーヤに似てる!!」
「下を見るのです!ホラこれ!お姉さんと一緒にお風呂に入ってるですよ!!」
「もしかして色が付いた漫画なの!?」
「ん~、本じゃないような気がする」
「ぐぬぬぬ・・・漫画じゃないっぽいですけど、すごく良い予感がするですよ!」
パカッ
「あっ、割れちゃった!」
「ちょっと!」
「いきなり壊しちゃダメ!!」
「あれ?中に見たことあるような丸いモノが・・・」
おぉ・・・、もうだめぽ。
モコねえの頭の上に『!』が飛び出し、持っていた学校鞄を漁り出すと、中からDVDプレイヤーが出てきた。
いや、何でそんなもん学校に持って来てるのさ!!
教科書は!?ノートは!?
カチャッ
「やっぱり『抱きしめて!僕の王子様』と一緒のヤツ!アニメで確定です!!」
「おおおおおおおおおお!!」
「アニメ?それは何なのかしら?」
「それは見ればわかるのです!あっ、その前にクーヤ様!例の『ストック!』ってヤツをやって下さい!こんなお宝、もし壊しでもしたら大変ですから!」
モコねえめ、もう何度も見てるからアイテム召喚に詳しくなってやがる・・・。
「そんな物騒なアイテムは、この世から消え去った方がよくないですか?」
「ごちゃごちゃ言ってないで、早くストックってやるのです!」
モコねえの目が血走っていたので、怖くて言う通りにした。
おねショタDVDを呼び出し、モコねえに手渡す。
「む、外れない。でもストックってのはやったから、もし壊れてしまっても新品になって復活するみたいだし・・・、えいっ!おお、外れたです!」
モコねえが、DVDプレイヤーの中に入っていた『抱きしめて!僕の王子様』を取り出し、パッケージに入っている『好き好きレミィお姉ちゃん!』と入れ替えた。
そして蓋を閉めてから起動ボタンをポチ。
モニターに読み込み中と表示される。
ぐぬぬぬ・・・、こんな危険なDVDを見せてしまうとショタの身が危ないってのはわかってるんだけど、何だかんだでボクも少し興味あるんだよな~。
おっ、始まった!
青い髪の綺麗なお姉さんが洗濯物を干しているシーンからか。
レミお姉ちゃんの髪はもう少し紫に近い色だけど、エロい雰囲気が似てるな~。
「わああああ~~~~~!漫画の絵が動いてるわ!!」
「それがアニメというモノなのですよ~!」
レミお姉ちゃんが動く漫画にカルチャーショックを受けている。
初めて見るアニメですし、そりゃあもう驚いたでしょうね~。
『今日もユーヤちゃん遊びに来るかな~?』
このエッチなお姉ちゃんが主人公なのかな?
タイトル的にショタ目線かなって思ってたんだけど・・・、いやまだわからん。
それはそうとショタの名前!『ユーヤちゃん』とか、ボクと似てるのヤメてください!お姉ちゃんの名前もレミィだし。何なの?この色々と危険なアニメは!!
ピンポーン
『来たわ!』
青い髪のお姉ちゃんがスリッパをパタパタ鳴らしながら廊下を歩いて行き、玄関のドアを開けた。
現れたのは『あひるポンチョ』こそ着ていないけど、クーヤちゃんに負けず劣らずのとても可愛らしいショタだった。
『レミィお姉ちゃんだーーーーー!』
『まあ!ユーヤちゃんだったのね~♪』
お姉ちゃんがしゃがんで両手を広げると、ショタが大きなおっぱい目掛けて飛び込んでいった。
・・・ウーム。少し違うけど、どこかで見たような光景だな。
二人が抱きしめ合っている画面のまま、『本当に可愛いわ~』とか『今日は一緒にお風呂に入ろう!』とか、レミィお姉ちゃんの心の声が聞こえてくる。
「声が聞こえるけど、何と言っているのかわからないわ!」
「これは『ニホン』という謎の国で作られたアニメですから、しゃべってるのは『ニホン語』なのですよ~。しかーし!『抱きしめて!僕の王子様』を見るためにニホン語をマスターした私が翻訳出来るから大丈夫です!」
「もう言葉を覚えたの!?モコねえ凄い!!」
そうそう!
モコねえもティアナ姉ちゃんも、すでに日本語を覚えたみたいなんですよ!
『抱きしめて!僕の王子様』を見たいがために異世界の言葉をマスターするとは、腐女子パワー恐るべし!
ただあのBLアニメで使われていない単語がこっちのアニメで使われたりしていそうだから、ボクが頑張って作った教科書で意味を調べる必要があるでしょうね。
でも教科書に載ってなかったらボクに質問が飛んでくるので、また忙しくなるかもしれんなあ・・・。DVDが出るのマジで怖すぎるんですけど!
そんなことを考えていたら、ピコピコした可愛らしい曲が流れ始め、オープニングムービーが始まった。
レミお姉ちゃんだけじゃなく、モコねえもタマねえも初めて聞く曲に感動し、キラキラと瞳を輝かせている。
―――――今のところ問題なし。でも本番はここからだ!
キャラクターの立ち絵に声優さんの名前が書かれているところなんかは微笑ましかったんだけど、その後すぐエロいシーンが映し出され始めた。
レミィお姉ちゃんとユーヤちゃんがお風呂に入ってるシーンだ。
いきなりお風呂とは、ちょっと飛ばし過ぎじゃない?
・・・ふむ。ほのぼのしているだけで、まだ全然許容範囲内だな。
しかし無邪気で可愛らしいショタを見て自分の唇をペロッと舐め、うっとりしながらショタの頬に唇を近づけていくシーンや、もぞもぞと右手を動かしてハァハァしているシーンが見えて、やはり18禁だということが判明。
最後にもう一人可愛らしいショタが出てきて、妖艶な顔をした下着姿のレミィお姉ちゃんがまた唇をペロッとしたところで、オープニングムービーが終わった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
大興奮して顔を赤らめている三人は『おねショタアニメ』に夢中だ。
正直なところオープニングムービーは結構ソフトな感じだったと思うんだけど、しかし本編ではその先どうなったかまで全部やるハズ!
うぅ・・・、こうなったらもう過激な内容じゃないことを祈るのみだ。
それにしても、あのユーヤちゃんってショタがボクと似ている感じなのが非常によろしくない。あの子をボクと重ね合わせて見てしまう恐れがあるじゃんさ!
いや、むしろソフトな内容の方が同じようなことをされそうで危険かも・・・。
うん。とてもじゃないけどこの空気の中にいるのは無理です!
スッと立ち上がり玄関まで移動して靴を履き、レミお姉ちゃんの家の外に出た。
「うがーーーーー!あの空気ってBL動画よりキツイじゃんさーーーーー!おねショタDVDを呼び寄せたのって絶対レミお姉ちゃんじゃん!!」
そう叫びながら、庭をゴロゴロ転がりまくったのだった。
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