第349話 チンチクリンに襲撃される
昨日は旅のメンバー全員で黒眼鏡屋敷に突撃したんだけど、今日は二手に分かれて行動する予定。
レオナねえ・アイリスお姉ちゃん・ナナお姉ちゃん・プリンお姉ちゃんの4名は、ホニャ毛にお土産を渡すためにグルミーダの森へ。ボクとタマねえは森には行かず、レミお姉ちゃんの家へスイーツを渡しに行くことになりました!
そう言えば、昨日はちょっと失敗したな~。
悪そうなお兄さんが麻雀セットを完成させていたのに、そのことにまったく触れずに家へ帰ってしまったのだ。
サングラスだけならともかく麻雀セットは作るのが大変なので、グリフォンの鞍と同等の価値があると考えていいんじゃないでしょうか。
すなわちこれらを人数分作ってもらうことで、グリフォンを1体貸し出してもいいかなって思ってるんですよ。
悪そうなお兄さんも麻雀セットの特許を取りに行く話をしてこなかったけど、あのワチャワチャ状態じゃ頭から飛んじゃうよね~。
忘れてたなら近い内に向こうからその話を持ち掛けてくるかな?特殊なゲームの特許だから類似品なんて無いだろうし、すぐ審査に通るような気がする。
とにかく麻雀セットの特許を取ったら、売れた時にボクにもお金が入って来ることになるので、麻雀を流行らせるのはボクの利益にもなるわけです。
ボクやお姉ちゃんズの手元に麻雀セットがあれば、あちこちで流行させることが出来るかもしれない。
そうそう!最近麻雀の面白さを知ったマグロのおっちゃん経由で、ハイドリムドで麻雀が大流行する可能性だってあるわけですよ!
どこまで流行するかは謎だけど、意外と儲かる商売だったりしてね!
「あーーーーーっ!クーヤ様発見!」
タマねえと一緒にレミお姉ちゃんの家に向かって歩いていると、どこからか知ってる声が聞こえてきた。
ん?今クーヤ様って言わなかった?
そんな呼び方をする人物といったら、1人しかいないじゃないですか!
タタタタタタッ
「今日はタマちゃんと一緒に散歩ですかにゃ?」
「うわ、なぜモコねえがこんなところに!?『かにゃ?』とか言ってるし!」
「レミねえにスイーツを届けに行くところ」
「レミねえって誰ですか?」
「えーと、レミお姉ちゃんのことなのです」
「あーーーーー!そう言えば一昨日ハムちゃんを連れたティアナが現れて、ウチもスイーツまみれにされたですよ!!」
「せっかく教えてあげたのに無視されたし!」
そういえばティアナ姉ちゃんに任務を与えたら張り切ってたもんね!
パンダ工房に行った日に、モコねえの家でもスイーツ爆弾が炸裂していたらしい。
「おーーーーー!そっちでもスイーツ爆弾が!」
「スイーツに囲まれて一歩も動けなくなったハズだけど、家族みんな揃ってた?」
「はい!ティアナに逃げられたから、みんなでスイーツを食べまくりながら道を切り開き、隣の部屋にいたウチのハムちゃんを連れて来てようやく助かったです!」
「にゃはははははははははは!そのシーン想像したら笑える!」
「学校が終わってからティアナねえが向かったとしたら、夕方くらい?」
「夕食前だったのです!わたし達の夕食がスイーツ定食になったですよ!!」
「「あーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!」」
ぺち子姉ちゃんのお昼もスイーツオンリーになってたけど、モコねえ一家も甘い物だけでお腹いっぱいになってたのか。やっぱスイーツ爆弾って面白いな~!
てくてくてくてく
「モコねえ」
「はいな?」
「どうしてずっとボク達について来ているのでしょうか?」
「そんなの面白そうだからに決まってるじゃないですか!」
「っていうか、レミお姉ちゃんが誰かわかってるんですかあなた?」
「えーと、クーヤ様と一緒に漫画を買いに来たお客様のことじゃないですか?」
前にレミお姉ちゃんと一緒にコミケに行った時、モコティー先生の漫画を大人買いしていたのを思い出した。
「くっ、正解です。でも残念ながらレミお姉ちゃんの家は腐女子お断りなんです」
「な、なんですとーーーーー!?」
「タマも初めて知った」
「いや、そんなわけないじゃないですか。モコティー漫画を大量に買っていったってことは、あのボインボインのお客様も腐女子仲間です!」
「くっ!漫画を買ってくお客さんなんていっぱいいるハズなのに、なんでボインボインだったことまで覚えているのですか!」
「そんなの、ボインボインだったからに決まってるじゃないですか~」
「たぶん顔なんか覚えてないと予想」
こやつ、顔じゃなくておっぱいで覚えたのか!!
「っていうかですね、ティアナ姉ちゃんは学校に行ったハズなんだけど、何でモコねえは街をフラフラしてるの?」
「あ~それはですねぇ、寝る前に『抱きしめて!僕の王子様』を見ていたら、気付いた時にはもう明るくなっていて、さっき目覚めたところなのです」
「思いっきり遅刻してるじゃないですか!!」
「だから急いで学校に向かっていたのですよ~」
「じゃあ学校行きなさいよ!」
「もうこんな時間になったら、あと1時間遅れようが誤差の範囲なのです!」
「わかる」
ダメ人間の発想だ!タマねえも共感するんじゃありません!
「あ、レミお姉ちゃんの家に着いちゃった」
「おお~~~~~!ここがボインボインの家ですか!」
「ボインボインって呼ぶのやめなさい!」
ボクからしたら『ボイン』はとっくに死語なんです!
どうもモコねえが一緒だと、いつもツッコミ要員にされてしまうなあ。
この人、存在自体が天然過ぎて、ツッコミ所しかないんだもん!
ブーーーーー
玄関のドアの横に取り付けられていたブサーを押した。
少し待つと中からバタバタ音がして、レミお姉ちゃんの声が聞こえてきた。
『あれ?誰もいなくない??・・・ハッ、もしかして!!』
誰もいないとか言ってるけど、タマねえはともかく何でモコねえまで死角に移動したのさ!?この家に来るとみんな隠れるのはなぜなのか!
ガチャッ
ドアを開けて中から出てきたレミお姉ちゃんと目が合った。
前来た時と同じように、彼女の顔が歓喜の表情に変わる。
「やっぱりクーヤちゃんだったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「わぷっ!!」
レミお姉ちゃんに抱き上げられて、顔が完全に爆乳に埋もれた。
「あれ?どこかで見たような顔が・・・」
「モコティー先生の片割れなのですよ~」
「あっ、モコティー先生だ!タマちゃんもいるわね~」
「おはようございます」
「おはよ~♪」
ぷはーーーーーっ!やっとおっぱいから脱出できた。
「レミお姉ちゃんにお土産を持って来たのです!」
「お土産なら、この前いっぱい貰ったわよん?」
「最近またセルパト連邦まで遊びに行っていたのです!」
「あらそうだったのね~!えーと、とりあえず上がって上がって~♪」
レミお姉ちゃんの家の中は、相変わらずセンスが良くて綺麗だ。
生活空間見ると一人暮らしではないと思うんだけど、他の家族はまだ見たことがないんだよね。ここに来る時っていつも明るい時間だしな~。
「じゃあ早速だけど、お土産を渡すのです!」
「あーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
・・・ん?
「クーヤ、アイテム召喚するの忘れてる!」
そういえば昨日アイテム召喚するのを忘れて、朝やるか~って言ってたんだっけ。
「・・・いや、モコねえがいるので帰ってからにします」
「何言ってるですか!そんなの今すぐやるに決まってるじゃないですか!『抱きしめて!僕の王子様』の続編を、首を長くして待っていたであります!!」
「もったいないから今すぐやるべき」
「エエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「ん?一体何のことかしら?」
モコねえの前でだけは絶対やっちゃいけないのに、なぜこのタイミングで!!
でも確かに今やらないと、アイテム召喚の時間がどんどんズレちゃうんだよな~。
・・・ぐぬぬぬ、しゃーない。やるか!
部屋の一番広いスペースに移動した。
「今日こそは絶対BL漫画もBL動画も出さないのです!アイテム召喚!」
ヴォン
レミお姉ちゃんの家のリビングが眩い光に包まれたけど、まだ午前の明るい時間なので目は滅びなかった。
しかし目の前に出現していたブツを見て、グシャッと床に崩れ落ちた。
『好き好きレミィお姉ちゃん!』
そんなタイトルの、エッチな『おねショタ』アニメDVDだったからだ・・・。
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