第341話 ぺち子姉ちゃんの部屋に爆弾を仕掛ける
ジャーキー工房組をスイーツで包囲し一歩も動けなくしたボク達は、ラン姉ちゃんに場所を聞いて、今度はぺち子姉ちゃんの部屋に向かった。
そう、ぺち子姉ちゃんにも個別のお土産を用意していたからです!
ただ脱ぎっぱなしの服が散らばっていたりと結構部屋が汚れていたので、『しょうがないヤツだ!』と勝手に掃除し、十分なスペースを確保してからお土産ハムちゃんを召喚し、食べないと寝る場所も無いくらいスイーツで埋め尽くした。
「よし、完璧だな!」
「ぺち子姉ちゃんは甘い物が大好きなので、泣いて喜ぶに決まってるのです!」
「お昼がスイーツオンリーになったみたいだけど、それでも喜んでくれるかな?」
「部屋がお菓子まみれになるなんて、すべての女の子の夢だよ!」
「糖分が足りてなさそうな顔をしていました」
「今頃、仕事仲間とスイーツの取り合いになってる。アレじゃ全然足りない」
「いやいやいやいや!どう考えたって生き地獄じゃないのさ!」
旅の仲間達はスイーツ地獄を経験しているので、こういう展開になると全員が悪乗りしてしまうのです。ツッコミ担当のラン姉ちゃんがいて助かりました!
「次はラン姉ちゃんの番なんだけど、もうスイーツ爆弾を見られちゃってるから、帰りにお土産ハムちゃんを置いてくので、家をスイーツまみれにして家族を驚かせてやってください!」
「私が仕掛け人になるのね!?アハハハハハ!いいかも!すごく面白そう!!」
「じゃあランはいいとして、次は社長室か?」
「もう馬車の試乗が終わった頃じゃない?」
「あの二人もお昼を食べに行くハズだから、その間にスイーツを仕掛けよう!」
「それはそうと、馬車は売れるのでしょうか?」
「絶対売れる!タマの予想では、ハイドリムドであの馬車が大流行する」
「ありえるかも!!」
「他の貴族達もゾロゾロとやって来たら、街が大騒ぎになりそうだな・・・」
そんな会話をしながら社長室に戻って来た。
ガチャッ
「しかし本当に驚いたな!ほとんど振動を感じない馬車が存在したとは!」
「素晴らしい乗り心地でした!あの馬車なら王妃様も満足して下さるハズです」
「有難う御座います。日夜研究を積み重ね、馬車もどんどん進化しておりますので、乗り心地の良さには絶対の自信を持っております!」
「ならば、王家専用の馬車を作るということでよろしいでしょうか?」
「
「それは願ってもない!頼めますでしょうか!?」
「此方としても、ハイドリムドまで帰ってから王妃様に叱られて作り直しなんてのは御免だからな!」
「近場に良い宿屋があれば、そこを紹介して頂きたいのですが」
ほほう・・・。どうやら馬車を作るのはほぼ決定で、マグロのおっちゃん達が指示を出すって流れになったみたいですね。
王家が好む馬車なんて庶民のマッチョ二人にはサッパリわからないだろうから、細かく指示を出してくれた方がありがたいのかも。
「西区に評判の宿屋なんてあったか?」
「聞いたことないな。中央広場の通りにある宿屋なら満足して頂けると思うが」
「中央区か。此処まで通うには少し遠いか・・・」
「しょうがないですね~。じゃあ馬車が完成するまでトナカイを2体貸し出してもいいですよ」
大人勢4人がこっちを振り返った。
「それは助かる!」
「でも長い間ボクから離れるとストレスが溜まると思うから、たまに何か美味しい食事でも与えて機嫌をとってください」
「もちろ・・・いや、召喚獣って一体何が好物なんだ?」
「魔物だった頃に好きだった食べ物ですね。ほとんどの魔物が肉食獣ですので、その辺の露店に売ってる串焼き肉とかをあげれば喜ぶんじゃないかな~」
「なるほど。しかしクーヤが召喚獣に何か食べさせてる姿って、一度も見たことが無いのだが?」
「召喚獣ってのは基本的に魔力が御馳走なのです。でも生前にお肉を食べてたわけだから、食べたい欲求ってのはあるのですよ!別に食べなくてもいいけど、貰ったら嬉しいって感じですね~」
「そういう感じだったのか。了解した!」
「ハハッ!ウチの社長は草食だけどな」
「社長??」
「草食??」
そういえば、マグロのおっちゃん達に副社長の紹介しかしてなかった。
「そこに座っているじゃないですか。彼がパンダ工房の社長です」
『ブモ?』
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
当然ながら、マグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんがフリーズした。
「微動だにしないから、置物か何かだと思っていた・・・」
「大きな動物だったんですね!・・・え?アレが社長ですか!?」
「社長ですな。あまり仕事をするタイプではありませんが、たまに中央公園の辺りで馬車を引いてます」
「子供に大人気ですぞ!」
「うわははははははははは!動物が社長とは面白い!」
「あっ、思い出した!馬車にあの顔が描いてありました!」
「気付きましたか!パンダ工房のマークは社長の顔だったのです!」
「「わーーーーーっはっはっはっはっはっは!」」
やっぱり社長がパンダってのは、いい話のネタになりますね!
お客さんと一瞬で打ち解け合うことができるってのは、すごく大きいですよ~。
グウ
「あ、すみません!腹が鳴ってしまいました」
「そういえばもうとっくに昼を過ぎていたか。そうだ、マグナロックさん達も一緒にウチの食堂に行きませんか?」
「それは助かる!ファリーもそれでいいか?」
「メルです」
「・・・メルもそれでいいか?」
「お腹ペコペコです!」
「レオナ達はどうする?」
「アタシらはもう食ってきたから気にしなくていいぞ!」
「そうか、じゃあちょっと行って来る!」
というわけで、腹ペコ大人勢はお昼を食べに食堂へと向かった。
「・・・行ったな?」
「さあ、社長室をスイーツで埋め尽くすよ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
お土産ハムちゃんを召喚し、部屋の奥の方からスイーツを敷き詰めていく。
ハムちゃんが頑張ってる間に、ボク達もテーブルの上にケーキの箱を置いたりしてるんだけど、みんなニヤニヤと悪い顔になってますね~。
バタン
そして完璧に準備が整ったところで社長室を出た。
ただですね、気になったことが一つあるのですが、ラン姉ちゃんがずっと同行したままなのですよ。
この人、いい機会だからって仕事をサボってませんかね!?
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