第335話 あれ?隣の家が・・・

 マグロのおっちゃん達が参戦した麻雀大会は盛り上がり、気付くと夕方になってたので、いい感じの場所を見つけてドラちゃんに着陸してもらった。


 ただバッファローの肉はすべて使い切ってしまったので、今日の夕食は鳥の丸焼きを食べることになりました。


 冷めた肉を頂くのもな~ってことで鉄板で温めなおしたんだけど、野外で食べたせいか前回イルプシアの宿屋で食べたヤツくらい美味しかったです!


 ルナレギンの宿屋で食べた鳥の丸焼きまでは届かなかったけどね~。


 お腹が膨れたところで、チョコレートアイスケーキを呼び出した。

 召喚獣リストの名前が間違ったままだったので、ちゃんと書き替える。


 さっきと同じように8等分したんだけど、8人いるからちょうどピッタリです。


 職人さんの先読みも見事としか言い様が無く、上のチョコレートも8個乗っており、8等分すると全員に可愛いチョコレートが1個ずつ付いてくるのですよ!



「食後のケーキか~。肉食った後だからいいかもな!」

「こんな真っ黒いケーキなんかあったっけ?」

「しかも上に乗ってるお菓子が全部可愛い!」

「リムディアースで買ったヤツか?こんな黒いケーキを見たのは初めてなんだが」

「私も知らないです!新作でしょうか!?」



 あえて何も言わず、タマねえとプリンお姉ちゃんと一緒にニヤニヤしながら、全員が口にするのを待つ。



「「!?」」


「冷たッ!なんだこりゃ!?普通のケーキじゃないぞ!!」

「これってアイスじゃない!?」

「チョコレート味だよ!しかもパリパリした食感だ!」

「な、なんだこのケーキは!思ってたのと全然違うぞ!」

「メチャメチャ美味しくないですか!?」


 そうなのですよ!チョコレートアイスの内部にも薄いチョコレートが入っていて、それがパリパリしてメチャウマなのだ!


「にゃははははははは!実はさっきアイテム召喚したらこれが出たのです!『チョコレートアイスケーキ』って名前なんだよ」

「何度食べても美味しい!今まで食べた中で一番最強!!」

「本当に美味しいですよね~!今回は動物チョコレートが上に乗ってます!」


 チョコレート大好き少女のタマねえはともかく、肉食系のプリンお姉ちゃんもすごく気に入ってくれたみたい。


「アイテム召喚で手に入れたヤツなのか!ってことはだ、このチョコレートアイスケーキって、どれだけ食っても太らない最強スイーツじゃん!」

「神スイーツキターーーーーーーーーー!」

「しかも食べ放題だよ!」

「何の話だ??」

「食べ放題とか太らないとか、聞き捨てならないことを言っているのですが!」



 そんな会話をしながら全員がスイーツを食べ終え、このままこの場所で一泊することに決まったので、身体を拭いたり歯を磨いたりしてから、ゴンドラをお休みモードに切り替え就寝。


 うぅ、早く帰ってお風呂に入りたい・・・。






 ************************************************************






 何事も無ければ今日の夕方くらいに到着予定なんだけど、もちろんレオナねえ達は朝から元気良く麻雀大会だ。


 ボクとタマねえとプリンお姉ちゃんによる『良い子同盟』は、ソファーでチョコレートアイスケーキを食べながら談笑し、空の旅を満喫していた。



「チョコアイスのおかげで、空の旅が10倍楽しくなった!」

「わかります!しかもいくら食べても太らないなんて凄すぎます!」

「今回のお土産って全部スイーツなんだけど、なんかみんなチョコアイスケーキの方を食べそうじゃない?」

「せっかく買って来たのにそれは許されない。少なくとも二つ三つ食べさせてからチョコアイスを出そう」

「私もその方がいいと思います」

「そうだね~。まずはハイドリムドのスイーツを堪能してもらわなきゃ!っていうか今回はスイーツ地獄だから、少しでも数を減らしてもらわないと・・・」



 たぶんお土産の半分以上、近所にお裾分けすることになるだろうけどね。

 クリスお姉ちゃんの同僚とかにも、いっぱい流れて行くことになると思う。



「あ、もうすぐネジポイントだ。レオナねえ!そろそろ到着するよ~!」



 それを聞いたレオナねえがショックで固まった。



「くっそーーーーー!メッチャいい手だったのに、もう到着かよ!」

「はい残念!麻雀はここまでだね~」

「急いで清算するよ!」

「もうミミリア王国までやって来たのか!」

「早っ!遊んでたら一瞬ですね!」



 バサッ! バサッ! バサバサバサッ!



 ドラちゃんがネジポイントに着陸したので、速やかにゴンドラを取り外し、みんなで労いの言葉をかけてから謎空間に送り返した。


 そして今度は人数分のトナカイを召喚。



「暗くなる前に到着できそうだ!じゃあオルガライドの街目指して出発!」



「「オーーーーーーーーーーーーーーー!」」



 今回も1週間程度の旅行だったのに、あまりにも内容が濃すぎたので、久しぶりに帰って来たって感じですな~。


 旅行というよりも、戦争しに行ったようなもんですけどね!


 北は貴族街だから一般人は北門を利用出来ないとかマグロのおっちゃん達に説明しながら、西門からオルガライドの街に入った。


 アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんは帰る方向が違うからココで解散しても良かったんだけど、話が盛り上がってたせいか何となく我が家までついて来た。



「・・・ん?なんだこの看板?」



 ボク達の家のお隣さんの前を通り過ぎようとして気付いたんだけど、なぜか敷地がロープで囲われていて、大きな看板が地面に刺さっていた。


 隣といってもタマねえの家じゃなく、その反対側の家です。



「売地になってるじゃない!」

「ホントだ!」

「エエエエエエエエエエーーーーーーーーーー!?」

「この1週間の間に何があったんだよ!?」

「これはビックリ」

「どこかへ引っ越したのでしょうか?」



 古い家で若干お化け屋敷風ではあるんだけど、敷地も広くて結構お金持ちなのかなって思ってた。住んでる老夫婦があまり人付き合いしないタイプで、ウチとはほとんど交流が無かったんだよね~。


 プリンお姉ちゃんの言うように、王都にでも引っ越したのかもしれない。



「・・・ちょっと待て。こんなん買うしかないだろ!!」


「「はあ!?」」



 いきなりレオナねえが買うとか言い出したんですけど!



「大金を手に入れた直後に隣が売地になったんだぞ?これはもはや天啓としか思えねえ!ココに『大奥』を造るぞ!!」



 その言葉を聞いて、レオナねえが14代将軍だったことを思い出した。



「「まだ諦めてなかったんかーーーーーい!!」」



 もちろん全員からツッコミが入った。でもアリかもしれない!


 レオナねえは『大奥』とか言ってるけど、出資者なら好きなようにカスタマイズできるし、アパートにして部屋を貸し出せば家賃を回収できるじゃんね~。


 ・・・うん。買うしかないような気がする!

 

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