第312話 ジグスレイドの目的が判明する
ドガッ! ガシャーーーーーン!
「げふォアッッッッ!!」
クマちゃんの右フックが炸裂し、短髪で小太りの男が鉄格子に叩きつけられた。
「ヒ、ヒイイイイィィィィ!!」
「この通りだ!勘弁してくれえええええ!!」
今さら土下座されたって、クマちゃんは止まりませんよ?
「クーヤ、少しの間攻撃を止めさせてくれないか?」
ん?
マグロのおっちゃんが後ろに来てたのか。
「何で?」
「奴らに聞きたいことがある」
あーなるほど!確かに今の状態なら、助かるために何でも白状しそうだな。目の前で短髪の男が瀕死の重傷を負ったことで、次は自分の番だって思ってるハズだし。
お姉ちゃん達を傷付けさせないためにクーヤちゃん自ら処刑してたんだけど、圧倒的恐怖を与えるやり方だから、ジグスレイドのヤツらを拷問して計画を吐かせるよりも、今の状況を上手く利用した方が簡単に白状しそうだもんね。
グシャッ!
ドガシャーーーーーン!
「ゲフッ!」
「ごあああアアァッッッ!!」
おっと、メルドアとレグルスも悪者を1人ずつ処刑したようだ。
7人いたから残りは4人か。よし、口の軽い人だけ見逃してあげよう。
「メルドア、レグルス、クマちゃん、一旦ストップ!」
召喚獣達が攻撃を止めて振り返った。
「ありがとな、クーヤ」
処刑が止んで、悪者達はキョトンとしている。
「お前らに聞きたいことがある。まず、大親友である俺の頼みだからこそ、この子が攻撃を止めてくれたってことを覚えておけ!俺の質問に嘘偽りなく答えなければ、また魔物の攻撃が再開されるからな!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
いや、言うほど大親友じゃないです。さっき出会ったばかりだし。
「じゃあ質問だ。ジグスレイドは首都に集まって何をしでかそうとしている?」
絶対に話せない一番嫌な質問が飛んで来たので、悪者達の顔が引き攣った。
「い、言えるわけないだろ!仲間を売ったりしたら俺が殺される!」
「クマちゃん」
ドガッ! グシャッ!!
「ギャアアアアアッッッ!!」
クマちゃん部屋にいた反抗的な男が処刑され、そっちはあと1人となった。
これで残るは3人だ。
「ヒイイイィィィィィ!!言う、言うから許してくれ!仲間達はレヴリオス公爵の命を受けて、首都を焼き払いに行ったんだ!」
「おいコラ馬鹿!何しゃべってんだ!!」
「メルドア」
バシュッ!
「ギャアアアアアッッ!お、俺の足があああアアア!!」
「うわああああああああああああああああ!!」
ワンワン部屋も1人減って、残るは2人となった。
しかし首都を焼き払うだって!?コイツらって、幕末に長州藩が京の都を火の海にしようとしてたのと同じことを企んでるわけ?
なんてこった!新選組局長であるクーヤちゃんが止めに行くしかないのか!?
いや、拷問してる最中だから、どちらかというと鬼の副長の方じゃん!
「首都を焼き払うだと!?オイ!それを裏付ける証拠はあるのか!?」
「ある!地下室にレヴリオス公爵からの密書が隠してあるハズだ!」
いや、そういうのって読んだら燃やして証拠隠滅するもんじゃないの?
なんで地下室に大切に保管してあるんだよ!!
「ち、地下室には俺が案内しよう!密書の隠し場所も知っている!」
お?ワンワン部屋の生き残りも口が軽くなったみたい。
特等席で仲間がやられるのを見てたからね~。
「では案内してもらおうか。だが逃げようなどとは考えない方がいいぞ?当然そこにいる魔物達も同行するからな!」
「ヒイッ!」
「に、逃げるつもりなどない!」
まあ、メルドア達から逃げるなんて無理だしね~。
一瞬でやられるのが分かってるだろうから、たぶん変な気は起こさないと思う。
生き残り2名を牢屋から出して振り向くと、後ろにいた子供達やお姉ちゃん達が全員いなくなっていた。
そうか!悪者を処刑している姿を子供達に見せないように、みんなを連れて廊下に移動してくれたんだ。流石はお姉ちゃん達です!
・・・と思ったら、タマねえだけ残ってた。
彼女は専属SPなので、ボクの方を心配してくれていたみたい。
本当に過保護なお姉ちゃんですね~。
ああ、生き残りって言ってるけど、クマちゃん達にやられた悪者も死んではいませんよ?とりあえず今のところは。
廊下に移動すると、やっぱりお姉ちゃん達がそこで待機してくれていた。
「・・・というわけで、俺とクーヤはちょっと地下室まで行って来る」
「ジグスレイドが悪事を働こうとしている確かな証拠か。それがあれば大義名分ができるんだな?」
「そういうことだ!」
「これは大きいですよ!邪魔が入ることなくジグスレイドを潰せます!」
「面白くなってきたね!」
子供達の護衛に召喚獣をいっぱい出してから、マグロのおっちゃんとタマねえと一緒に地下室へ向かった。
悪者2人の情報は間違いなかったようで、王弟であるレヴリオス公爵からジグスレイドへと渡された密書が大量に見つかった。
それ以外にも証拠となる物が色々見つかったので、全部ハムちゃんに持たせてから子供達がいる場所まで戻って来た。
当然のことながら、収納が出来る召喚獣までいることに、マグロのおっちゃんがメチャクチャ驚いてました!
「用事は終わったんだな?」
「これ以上無いほどの成果だ!」
「じゃあそろそろ脱出しない?」
「ジグスレイドの連中って、あとどれくらい残ってるんだ?」
「え~と・・・」
とりあえずもう屋敷の中に立っている人間は、ボク達以外にいないようだ。
「おお!どうやら制圧が完了したみたいです!死んだふりしてるヤツはいるかもしれないけど」
「十分だろ。屋敷の中に散らばっている召喚獣達はもう消していいんじゃないか?」
「じゃあメルドア達以外全部消すね」
念波で召喚獣達に労いの言葉を掛けてから、屋敷内にいるみんなを消した。
「ミッションコンプリート!」
「よし!囚われていた女性や子供達が腹を空かせているから、屋敷の外に出たら焼き肉パーティーでもするか!」
「いいね!」
「ちょっと人数が多いけど、お肉は十分足りるハズだよ」
「・・・は?もしかして、普段から大量の肉を持ち歩いているのか?」
「そんなの紳士の嗜みじゃないですか」
「いや、肉を持ち歩いてる紳士とかちょっと怖いぞ・・・」
「「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」
こうして第一次ジグスレイド征伐は、14代将軍レオナ率いるエロ幕府の大勝利に終わった。
すぐに第二次ジグスレイド征伐が始まると思うけど、今は祝勝会を楽しもう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます