第311話 子供達を救出する
タタタタタタタタッ
骨をバキバキに折られて気絶した悪者はその場に放置し、ボク達は助けたメイドを連れて、囚われている子供達の所へと向かう。
ちなみに喉をゴロゴロ鳴らしていたライオンちゃんが可愛かったので一緒に連れて来たんだけど、さっきまで襲われていたメイドが顔を引き攣らせていた。
「その半開きのドアの向こう側にいるみたい!」
ドガッ
レオナねえが半開きのドアを蹴り開いて視界が広がると、奥のドアの前にキツネちゃんがちょこんと座っているのが見えた。かわいい。
「キツネちゃんだ!」
タタタタタッ
「子供達はこのドアの向こうにいるの?」
『タウッ!』
相変わらず変な鳴き声ですね。
「ほうほうほうほう、女の人も?」
『タウッ!』
「なにっ!悪者がいっぱい入って来たって!?」
『タウタウッ!』
どうやらこのドアの奥に牢屋があって、そこに子供がいっぱい閉じ込められているらしい。そして子供達の牢屋の隣に女性達も囚われているそうだ。
でもボクに報告した直後に数人の悪者が牢獄に逃げ込んで来たらしく、キツネちゃん1体じゃ手に負えないので、何とかこっち側に避難したみたい。
「素晴らしい判断です!この状況で子供達に危害を加えてる暇なんか無いだろうし、逃げても全然問題ないよ!」
キツネちゃんの頭を撫でて褒めてあげた。
嬉しいって感情が流れ込んで来て、ほっこりしますね!
「クーヤ、何か分かったのか?」
「このドアの奥に牢屋があって、女性と子供達が閉じ込められているんだけど、何人かの悪者が逃げ込んだらしくて、そいつらを倒す必要があるみたい」
「わかった。しかし子供達が見てるんじゃ殺すわけにゃいかねえな・・・。本気でぶん殴るくらいにしとくか」
「本気ってことは、手を光らせるんだよね?」
「もしかしたら死ぬかもしれんけど、血は流れないから問題ねえ!」
それって、問題ない・・・のか!?
「奴らが逃げ込んだのなら、このドアって鍵が掛かってるんじゃない?」
「魔法で壊す?」
「でもドアの向こうに子供がいるしな・・・」
魔法だとちょっと被害が大きそうですね。
「こういう時こそクマちゃんの出番なのです!」
『ンゴ!』
クマちゃんがトコトコとドアの前まで歩いて行った。
そして二本脚で立ち上がった。
ドガッ! バキッ! ズガッ! ゴシャッッ!
『うわああああああああっっっ!!』
『嘘だろオイ!?ドアが破壊された!!』
『クソッ!もう逃げ道なんてねえぞ!』
『戦うしかねえのか!?』
『もしかして牢屋の中の方が安全なんじゃねえのか!?』
『ガキ共を外に出して魔物の生贄にしようぜ!』
『それだ!お前頭いいな!!』
ドタドタドタドタ
クマちゃんが破壊したドアの向こうからゲスな会話が聞こえて来た。
聞いてるだけで耳が腐りそうな内容に、お姉ちゃん達のコメカミに青筋が立った。
ガシャガシャッ! ギギーーーッ
『ガキ共、全員外に出ろ!』
『早くしろ!ぶん殴るぞ!!』
『『うわあああああああ~~~~~ん!!』』
ガシャン!
『お前らもだ!』
『とっとと外に出やがれ!ぶっ殺すぞコラ!!』
『『きゃああああああああああーーーーーっ』』
怒りのお姉ちゃんズと一緒に壊れたドアから中に入ると、囚われていた女性達と子供達が牢屋の外で震えていて、ジグスレイドの悪党どもが牢屋に入っているという、摩訶不思議な逆転現象が起きていた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
うん、なんか知らんけど子供達を助けるのが楽になったっスね。
「近くにちょっと怖い魔物がいるけど、悪者しか襲わないから安心してくれ!アタシらはジグスレイドに拉致された人達を助けに来たんだ!」
それを聞いた女性達の目が大きく開いた。
「た、助けに?私達を・・・ですか?」
「そうだよ!子供達も全員だよ!!」
「この屋敷にいたジグスレイドの連中は、クーヤちゃんの仲間達にボコボコに処刑されたから、もう安心していいんだよ!」
「それになぜか此処に逃げ込んだ悪者共は、牢屋に入っているみたいですしね!」
その言葉を聞き、魔物の生贄にされかけていた女性達がようやく安堵した。
助かったことを理解して笑顔になっている子供もチラホラいますね!
―――――しかし、会話を聞いていた悪者達は激怒した。
「大量の魔物に屋敷を襲わせたのは、お前らの仕業だったのか!!」
「許せねえ!仲間が出払ってる隙を狙いやがったな!?」
「クソが!!テメーら分かってんのか!?ジグスレイドに喧嘩売って、タダで済むとでも思ってんのか!!」
「だからもう少し人を残せと言ったんだ!」
「そのツラ覚えたからな!もうお前ら全員死んだぞ!!」
「俺達に喧嘩を売って、この国で生きていられると思うなよ?」
「絶対ぶっ殺す!!」
威勢がいいのはともかく、牢屋の中からギャンギャン吠えられても滑稽なだけなんですけど。
トコトコトコトコ
「ん?何だこのガキは?」
「この黄色・・・、どこかで見たな?」
「何でこのガキが此処にいる?向こうの牢屋にぶち込んだハズだぞ!」
「お姉ちゃん達をぶっ殺すって言ったよね?」
「殺すに決まってるだろうが!ここまで派手にやって逃げられると思うな!」
「牢屋に入ってるくせに、よくそんなこと言えますね?馬鹿なの?死ぬの?」
「自分から入ったんだから、出られるに決まってるだろうがボケ!」
「ふ~ん。じゃあお姉ちゃん達を殺されないようにするには、オジサン達を全員殺すしかないのか・・・」
「あ?」
まあ殺す気は無いけど。
「クマちゃん、おいで!」
『ンゴ!』
悪者を逃がさないようにドアの向こうを見張らせていたクマちゃんを、牢屋の前まで呼び寄せた。
「「なっ!?」」
その辺にいる魔物とは全然違う、圧倒的な凶悪さしか感じることが出来ないローグザライアの出現に、悪者達は驚愕した。
「この人達を生かしておくと、お姉ちゃん達が殺されちゃうみたいなんで、グチャグチャにしてやって!」
『ンゴ!!』
「ま、待て!今のは全部嘘だ!!」
「お前のお姉ちゃん達には絶対手を出さない!本当だ!」
「ヒイイイイィィ!!か、勘弁してくれ!謝る!この通りだ!!」
悪者が土下座し始めたけど、もう知ったこっちゃないです。
こいつらの言うことなんて信用できないし。
「メルドアとレグルス消えて!こっちに召喚!」
シュシュッ
『オン!?』
『ガウ!?』
目の前に、驚きで目を大きくした2体の獣が出現した。
「勝負の最中にゴメンね!これが終わったら続きをしていいから、その前にこっちの牢屋にいる悪者どもを切り刻んでほしいんだ」
『オン!』
『ガウ!』
突然のことなのに、二人は気持ちいい返事をしてくれた。
「嘘だろ!?このガキが
「いや、何も無い所に魔物が出現したような・・・」
「もしかして
「ヒイイイイイイイイィィィィィィィィ!!」
とか言いながらも召喚獣達に念波を送り、『でも殺さないようにね!』と伝えてから攻撃を開始させる。
「「ぎゃああああああああああああああああああああ!!」」
子供達が見ているので、お姉ちゃん達に処刑を任せても殺すことはできない。
でもボコボコにするのは確実だから、奴らの殺意がお姉ちゃん達に向いてしまうのです。だからボクが動きました。
要は、仕返しをしようなんて考えられなくすればいいのですよ。
もう二度とお姉ちゃん達を傷つけようなんて思えなくなるほど、真の恐怖を叩き込まれるといいです。
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