第301話 門兵のネタバレ

 次の国を目指してレッツゴーーーーー!!


 ・・・と一人で意気込んでいたわけですが、次の国に入ると両替所があるかどうか不明らしいので、やっぱりまずは首都・ルナレギンに行って、セルパト連邦の通貨である『ラドン紙幣』をもう少し調達することにした。


 事前に用意しておきなさいよ!って話ではあるんだけど、今ウチのメンバーには参謀がいなくて、全員気の利かない行き当たりばったり勢なのです。


 悪そうなお兄さんかライガーさんでもいれば、もっと用意周到な旅になるんだろうけど、まあいないものはしょうがない。


 それにボクとしてはミミリア王国の首都よりも、こっちの方が馴染み深かったりするんですよね~。というか、ミミリア王国の首都なんて行ったことないし!!


 とにかくそういうことになったので、ボク達を乗せたグリフォンはルナレギン目指して飛び立った。






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「なんだ!?」

「う、嘘だろ!?大量の『ラムシュクルーム』が襲ってき・・・はあ!?人が乗っているぞ!!」

「有り得ん!乗り物として使ってるのか!?」

「まさか、テイムに成功したのか!!」



 レオナねえ達がグリフォンから降りて、門兵の側まで歩いて行った。

 その間にグリフォンを消して、プリンお姉ちゃんとタマねえと一緒に鞍を回収。



「お前ら一体何者なんだ?ラムシュクルームに乗ってる奴なんて初めて見たぞ!」

「しかも随分と派手な格好だな。冒険者なのか?」

「ほれ」


 門兵が冒険者カードを受け取って確認する。


「Cランク?派手な割には意外と普通だな・・・」

「ちょっと待て!ラムシュクルームはどこに行った??」

「あんなの連れて街に入るわけにいかないでしょ」

「いや、そうじゃなくて!あのデカいのが全部いなくなってるじゃないか!」

「いなくなってるね」

「だから何故いなくなったのかを聞いている!」

「やっぱ説明しないとダメなのか?・・・まあいいか。消したからいなくなった。それだけの話だ」

「消したって・・・、はあ!?ま、まさか召喚獣サモンビーストなのか!!」

「正解!」

「嘘だろ!?そんな凄腕召喚士サモナーが存在するとは!!」

「・・・いやちょっと待て。それほど凄い奴がいるのにCランク冒険者なのか?」

「こいつらマジで何なんだよ!?」



 話し声は少し聞こえてたけど、なんか門兵と揉めてない?


 少し遅れて、ボク達も門兵に冒険者カードを渡した。



「・・・クーヤちゃん?」


 ボクの冒険者カードを見た門兵が首を傾げている。


「ん?クーヤちゃんですが何か?」

「あっ、思い出したぞ!!この子供は前に見たことがある!!」

「ム!あの時、ボクの名前を見て大爆笑した失礼な人じゃないですか!」

「いや、だからそうではなく、冒険者カードの名前が『ちゃん付け』だったから笑ったんだよ!」


 そういえば、前にそんなこと言ってたような気がしますね。


「そういや、この子もCランク冒険者なんだよな・・・」

「お!一人だけAランク冒険者がいたぞ!!」

「なにッ?」


 門兵二人がプリンお姉ちゃんに注目した。


「ドレス・・・の鎧?こんな派手な冒険者は初めて見るんだが」

「相反するまさかの組み合わせだな。お嬢さまなんだか戦士なんだか・・・」

「私のことはお構いなく。それよりも、そろそろ街に入りたいのですが」

「ああ、それはすまなかった。だが大量のラムシュクルームで降り立ったお前らにも問題があるぞ!危険人物をよく調べもせず街に通すわけにはいかないだろ」


 やっぱりグリフォンでそのまま街に来ちゃったのは失敗だったね~。

 門兵の気持ちになって考えてみると、『はいどうぞ!』なんて言えるわけがない。


「次はゴーレムに乗って来よう」

「うん」

「いや、そっちの方がもっとダメだろ!!」


 タマねえと次の乗り物の話をしていたら、レオナねえのツッコミが入った。


「よし、通ってもいいぞ。ただし、街中でラムシュクルームを出したりすのは禁止だからな?」

「アイアイサーーーーー!ところで隣国に入る時も、冒険者カードを見せるだけでいいの?」

「隣国に行くのか!『ハイドリムド』か?それとも『レスナゴンド』か?・・・あ、質問に答えてなかったな。セルパト連邦の国ならば冒険者カードを見せるだけで通れるハズだ。でもミミリア王国でそのカードは使えないからな」


 そういえばリナルナって、三つの国と隣接してるんだっけか。


「まあどっちでも構わないんだが、ハイドリムドの方に行こうと思ってる」


 門兵からの質問にはレオナねえが答えた。



「ハイドリムドか・・・」



 む、なんか含みのある言い方ですね?ボク達は旅行というより冒険を楽しみに来ているので、事前情報ほとんど無しの状態で突撃しようと思ってたんだけど。


「楽しみが減っちまうから国のことはあまり知りたくないんだが、そういう言い方をされると少し気になる。結構ヤバイ国なのか?」

「いや、そこまで荒んだ国ってわけではないぞ。ただ厄介なデカい組織が一つあってだな、お前らはかなり目立つから目を付けられる恐れがある」


 デカい組織って、ボクを誘拐したような悪者集団か!?


「チッ、面倒だな・・・」

「大丈夫。悪い組織なら前にクーヤが二つくらい潰した」


「「はあ!?」」


 タマねえ、その話はトップシークレットですぞ!!

 お姉ちゃん達に、デンジャラスショタだと思われてしまうじゃないですか!


「おい!そんな話聞いてねえぞ!!」

「えーと、あの頃はまだ私も血気盛んな若者だったもので・・・」

「今だって十分若者じゃねえか!」

「若者っていうか子供だね~」

「この子そんな危ないことしてたの?」

「天使様なら有り得ますね。それを知ってるタマちゃんも現場にいたのでは?」

「うん」


 レオナねえがハッとした顔になった。


「繋がった!それでガイアと知り合いだったのか!」


「「あーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 雪崩式に色々とバレたもよう。


「・・・なんかお前ら余裕そうだな?」


「まあ変なのに絡まれたとしても、たぶん何とかなるだろ」

「じゃあ予定変更しなくてもいいか~」

「ハイドリムドで決まりだね!」



 というわけで、門兵から少しネタバレされてしまったけど、行き先はハイドリムドで決定っぽいです。


 でもせっかく遊びに来たのに、バイオレンスな展開は勘弁してくださいね!

 

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