第302話 スイーツの国!?ハイドリムド
リナルナの首都であるルナレギンに到着したボク達は、ココに来る目的でもあった銀行に真っすぐ向かい、ミミリア王国の通貨である『ピリン』をセルパト連邦の通貨である『ラドン』に両替した。
これでまた持ち金を気にせず、お土産をいっぱい買って帰ることが出来ますね!
でも今回の旅の目的地はお隣のハイドリムドなので、この街で買い物をする気はないですぞ。
ただですね~、狩りをしたり、ギルドに寄ったり、移動をしたりで、夕方になってしまったので、高くもなく安くもない普通の宿屋に一泊しました。
目覚めてすぐに朝食を頂き、ほとんど何もしないままルナレギンを脱出。
グリフォンに乗ってハイドリムドとの国境を目指す。
ボク達一行は前日に学んだばかりだったので、国境の門が見えたと同時に地上へと降下。グリフォンからトナカイに乗り換え、門兵に冒険者カードを差し出した。
「今日は簡単に門を抜けることが出来たな!」
「チョロい門兵だった」
「シャンクルに乗り換えたおかげだね~」
「人類は失敗から学び、どんどん成長していくのです」
「クーヤちゃんが先生みたいなこと言ってる!」
「門兵が見えなくなりました。そろそろグリフォンに乗ってもいいかと」
「よし、グリフォンで最初の街を目指すぞ!」
「道なりに進めば街があるんだったよね?」
「大体の距離も聞いておけばよかったかな・・・」
「適当でいい」
「だな。旅なんてのは適当でいいんだよ!」
グリフォンに乗り換え、大空へと舞い上がった。
◇
遠かったらちょっと嫌だなーって思ってたけど、結局1時間ちょいくらいで大きな街に到着した。
もちろんここでもトナカイに乗り換えてから門兵に冒険者カードを見せて、かなりあっけなく『パララッタ』の街へ入ることが出来た。
「っしゃーーーーー!とうとうハイドリムドにやって来たぜーーーーー!」
「パララッタって名前の街みたいだよ?」
「なんかアホっぽい感じの名前で、ボクは結構好きかもです!!」
「そう?でも面白い響きだから覚えやすいかも」
「人がいっぱい」
「全然ルナレギンに負けていませんね!」
リナルナの首都に匹敵するほど活気のある街なんだけど、その街並みは独特な感じで、見ているだけでワクワクが止まりません!
街を歩く人々も身なりが良く、そんなに治安が悪そうな感じはしない。
ルナレギンの門兵に不吉なことを言われたから、もっとこう、街全体が
「とりあえず街をブラブラしてみる?」
「宿を取るなら早い方がいいよ」
「そうだな。街をブラブラしながら、その辺の人に良い宿が無いか聞くとするか」
作戦も決まったので、何か面白いものはないかと街をキョロキョロ見渡す。
「向こうに露店が並んでる」
「行ってみようよ!」
「少し腹も減ったし、適当に食べ歩きしてみっか」
露店の前まで来てみると、そこは甘い匂いが充満していた。
「いらっしゃいませ~」
どうやら20代後半くらいのお姉さんが、一人でスイーツを作っているようだ。
「こんなん買うしかないでしょ!」
「これってパンなの?」
「クレープ屋さんだ!!」
「くれーぷ?」
匂いからして知ってる味とは違うと思うけど、美味しい予感しかしません!
3種類から選べるみたいだったので、黄色い果物と白い何かが入っているクレープらしき物を指差した。
「ボクこれにする!」
「タマはこの赤いやつ!」
「じゃあ私は緑色を食べてみるとします」
アイリスお姉ちゃんがどれがオススメか聞いたけど、『人によって好みが違うから、食べ比べしてみるといいかも』と提案されています。
クレープ屋のお姉さんが商売上手なのはさて置き。美味しかったら全種類制覇するしかありませんな!
一人がまとめてお金を払った方が楽なんだけど、買い食いも旅行の醍醐味だということで、自分の分は自分で払う方式に決定。
生クリームをたっぷり使った豪快スイーツとかじゃないので、値段は200ラドンと、思った通りって感じの金額だった。
近くに座る場所が無かったので、お金を払った直後に、その場でかぶりついた。
カプッ
おおおおお!?
「意外と甘さスッキリって感じ。でも美味しいかも!」
「タマのはすごく甘い!」
「私のは甘くて酸っぱいって感じですね。個人的には好きな味です!」
ちなみにこのスイーツの名前は、クレープじゃなく『プルータム』でした。
折りたたんだ生地の中に果物と甘いソースが入っているんだけど、クレープよりもモッチモチで、そのくせ噛んだらプチっと千切れて、すごく面白い食感ですぞ!
みんなで回し食いしようと思ってたのに、気付くと全部食べ切ってしまっていた。
これはもう、お土産にたくさん買ってくしかないっしょ!
当然、お姉ちゃん達からの評価も高く、それぞれが味の違う二枚目のプルータムを注文した。
それを片手にハムハムしながら、色々な出店を見て回る。
「やっちまったな。いきなりの大当たりで、もう大満足だ」
「この出店からも良い匂いがするけど、これ以上は食べられないね~」
「もういらない」
「赤いプルータムで口の中があまあまでヤバイです。次は何かしょっぱい物が食べたいけど、もうずっと甘い匂いしかしない件」
「もしかすると、甘いお菓子に定評がある国なのかも!」
「私もこの国は初めて来ましたけど、ハイドリムドのお菓子が美味しいという噂は何度も聞いていましたよ」
「噂を聞いていたのにスルーしてたのか」
「どちらかというと、甘い物より辛いのやしょっぱいのが好きなので・・・」
そういえばプリンお姉ちゃんって、鳥の丸焼きが大好物だもんな。
可愛い顔して肉食派だったようです。
「わあああああ~~~~~!凄くカッコイイ人達がいる!」
「服に炎の絵が描いてあるじゃん!カッケーーーーーーーーーー!!」
「すごいね!冒険者かな?」
「こんな派手な恰好した冒険者なんて一度も見たことないぞ!」
タタタタタタタタッ
「お姉さん達って冒険者なんですか?」
「おいバカ、何話し掛けてんだよ!」
「またメイメイが暴走してる!」
「ホントあいつは!くそッ、もう俺達も行くしかねえ!」
なんか話し掛けられたと思ったら、その後ろから中学生くらいの男女3名が駆け寄って来た。
男男女女の仲良しグループかな?
リア充は爆発してください。
「ん?」
「えーとお~、こんな格好良い服を着た人達なんて初めて見たから、冒険者なのかなーって、話し掛けてみました!」
面と向かって格好良いと言われたお姉ちゃんズの口端が上がった。
「正解だ。とはいっても、ミミリア王国の冒険者だけどな!」
「ミミリア王国から来たんですか!?」
「あーーーーーっ!だから見たことなかったんだ!」
「それって南にある国だっけ?」
「南は帝国だろ!ミミリアは東の国だよ!」
しかしまあ、ずいぶんと騒がしい中高生グループですね~。
・・・それはいいとして。
「クーヤ」
「うん」
いきなり中高生が寄って来て騒がしくなったけど、ボクとタマねえは、その向こうに見えるガラの悪そうな2人の男に目を向けていた。
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