第288話 クーヤちゃんの服が完成!

 悪そうなお兄さんもグルミーダ狩りに参加することになり、翌日からはプリンお姉ちゃんの隣で盾を持って防御しまくる生活がスタートした。


 思った以上に神経を擦り減らす作業らしく、これを何日も繰り返しているお姉ちゃんズに尊敬の念を抱いたようだ。


 そして悪そうなお兄さんが抜けたことで燻製マシーンが一台空いてしまったわけだけど、ボクはハゲの修行で忙しいから、ぺち子姉ちゃんに二刀流をマスターさせることになった。


 ラン姉ちゃんが『後ろでピカピカして気が散るのよ!』と憤慨していましたが、そんなの知ったこっちゃないです。むしろ気が散った状態でも完璧なジャーキーが作れるようになれば、一人前の職人になったと言えるでしょう。


 それから3日ほど秘伝のタレ作りや燻製作りをこなし、ようやく弟子達がショタとお母さんの技を身に付けた感じなので、免許皆伝ということで手作りの免許状を与えた。ついでに燻製マシーンも1台ずつ授けた。


 ぶっちゃけますと、ジャーキー作りってわざわざ森に行く必要が無いんですよね。グルミーダ狩りにボクの召喚獣が必要だから、みんなと一緒に森に行ってジャーキーを作っていただけですので。


 なのでぺち子姉ちゃんとラン姉ちゃんは、パンダ工房でジャーキー作りをすることになりました。というか、今度は師匠となって、ジャーキー職人の育成を始めることになるみたい。


 少し寂しくなるけどしょうがないです。でも二人にはかなりジャーキーを作らせまくったので、しばらくの間遊んでてもボク達はジャーキーが食べられますよ!


 定期的にバッファローの肉を届けにいかないと彼女達の仕事が無くなってしまうので、ジャーキーを切らさないようにするには、しばらくパンダ工房に通わなきゃダメですけどね。


 でも悪そうなお兄さんが注文した大きな馬車が完成したので、バッファロー狩りは悪そうなお兄さんの部下達に任せられるようになりそう。


 あとフードプロセッサー式粉砕機も、もう少しで完成するらしい。


 ヨークノルの木の枝をパンダ工房まで運びまくらなきゃならないので、それもまた大変な作業だろうけど、マッチョを大量に抱えている馬車屋さんだからその辺は何とかなるかな?木の幹を試すとなったら苦労しそうだけど。


 まあ何にしても、ようやくジャーキーが独り立ち出来そうで良かった!

 さすがにボクもジャーキーばっか作っていられませんからね~。




「クーヤくん!服が完成したわよ!」



「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!」」



 いつものようにグルミーダ狩りから帰ったところで、クリスお姉ちゃんから吉報が伝えられました!



「やっと防御力ゼロから卒業できるのですね!!」

「ハゲ頭だけはカチカチだったけどな」

「クーヤ、着てみせて!」

「ちょっと待って、その前に洗面所で手を洗って来るのです!」

「私達も手を洗って地下室に肉を置いてきましょう」

「うん」



 手と顔を洗った後、クリスお姉ちゃんから紙袋を受け取り、自室に駆け込んで服を着替え始めた。




「でも黒い革の服って、あのクーヤに似合うのか?」

「可愛い子供が着るような服じゃないわね。サイズは子供用だけど」

「似合わない気がする」

「でも着ているうちに見慣れてくるんじゃないでしょうか?最初は違和感がすごいと思いますけど」

「長髪の男が丸刈りになったくらい違和感がありそうだな」

「そうかもしれないわね。でも髪型は一週間もすれば見慣れるわ」



 ガチャッ



 ―――――黒いショタがみんなの前に姿を現した。




「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」




 ・・・いや、なんでみんな無言なの?もしかして全然似合ってないとか!?



「へーーーーー!絶対似合わないと思ってたのに、意外と悪くねえな!!」

「イイじゃない!!可愛い顔した子が格好良い服を着るとこうなるのね!」

「クーヤ格好良い!!」

「いつもの天使様を知っているので違和感はすごいですが、アリだと思います!」



 めっちゃ褒められた。でも、それはそれで恥ずかしいのです!!



「あ、ありがとうございます。お褒めに頂き光栄で御座います」


「クーヤ、目が滅びないくらいのパワーで服を光らせてくれ!血の滲むようなハゲヅラ猛特訓で、もう手加減出来るようになったんだろ?」


「ん~~~、中にシャツとパンツを着てるけどたぶん大丈夫!」



 肌が触れていない部分があると、そこだけ光らないってわけでもないしね。むしろ一部分でも触れていれば、そこから魔力が全体に流れて行く感じなのです。


 っていうか、頭から魔力を流すのに比べたら全然余裕!



 ペカッ!



 今までのようにギャラリー全員の目を滅ぼすことなく、服をペカらせた。



「おおおおお!若干光が強いけど、デカいグルミーダだ!」

「へ~~~~~!全身が光るとこんな風になるのね!」

「白クーヤになった」

「ピッカピカですね!でも魔力の消費量が大きそうです」

「ああ、消費魔力はヤバそうだな。アタシらがこれを真似したら、すぐに魔力が枯渇するんじゃねえか?」

「クーヤくんより身長が高いから、服も大きくなっちゃうものね」

「やっぱり胸当ては必要?」

「戦士系がグルミーダの革だけに頼るのは危険だと思いますよ」

「戦闘中に魔力が枯渇したら、たぶんその場でぶっ倒れるからな」

「ムムム・・・、やっぱり手袋とブーツだけにしとく」

「どこを重点的に守るかは、それぞれの装備品と相談ですね~」



 実はもう肘まで手袋分の革は、全員分確保し終わっているのですよ。


 でも他にも、守りたい部分、硬化したい部分があるということで、グルミーダの革集めはまだ継続中なのだ。


 あ、そろそろブロディさんに注文した肘まで手袋が完成する頃かな?

 ホニャ毛の装備品の塗装もあるから大変だけど、ブロディさん頑張れ~!!

 

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