第280話 弟子どもを連れてグルミーダの森へ

 昨日決めた予定通りに1時に西門に集合したボク達は、ドラゴン乗り場でもある『ネジポイント』まで移動。そこで人数分のグリフォンを召喚した。



「わぁ~、グリフォンがいっぱい!」

「ラン姉ちゃんってグリフォンに乗ったことあるの?」

「ないわよ?」

「やっぱりか!だと思ったから1時集合にしたんだ。まあ命綱があるから地面に落下することも無いし、クーヤに直接ランのグリフォンに指示を出してもらうから、鞍にしっかり掴まってるだけでいい」

「緊張するわね・・・」

「テキトーに乗ってれば慣れるにゃ」

「アンタは少しくらい緊張しなさいよ!」



 ぺち子姉ちゃんは、初めて乗った日に行方不明になるほど遠くまで飛んで行った命知らずだからな~。ぶっちゃけ全然参考にならんと思う。


 ボク、レオナねえ、アイリスお姉ちゃん、ナナお姉ちゃん、タマねえ、プリンお姉ちゃん、悪そうなお兄さん、ぺち子姉ちゃん、ラン姉ちゃん。


 グリフォン10号はパンダ工房にいるので、これでフル稼働ってことになる。


 とにかく使い勝手が良くて使用頻度が高いので、セルパト連邦であと10体くらい捕獲して来た方がいいかもしれないな~。


 グルミーダ装備が完成したらまたセルパト連邦に旅行する予定なので、その時いっぱい捕まえて来よう!



 とか考えてる間に、レオナねえ達によって全てのグリフォンに鞍が装着された。



「じゃあ乗ってくれ!」

「ちょっと待って!どうやって乗るの?」

「ん?ああ、クーヤ方式にすっか」

「クーヤ方式??」


 タマねえにポイッと投げられ、グリフォンの鞍にガシッとしがみついた。


「はあ!?クーヤ方式ってもしかして、今のメチャクチャ適当なヤツ!?」

「一瞬で乗れるからクーヤは喜んでるぞ」


 ラン姉ちゃんがタマねえに抱えられた。


「嘘!?ちょ、ちょっと待っ、どひゃーーーーーーーーーー!!」


 ガシッ


 ラン姉ちゃんもグリフォンに乗れたようだ。


「痛ッ!ちょっと!!鼻をぶつけたじゃないの!!」

「この部分に足を乗せるんだ。んでそこの道具入れにベルトが入ってるから、腰に巻いてココにガチャッと嵌める」

「もう!全然私の話を聞いてないし!!」


 文句を言いつつも、ラン姉ちゃんは言われた通りに命綱を装着した。


「素晴らしい鞍じゃねえか!あの頃と違って文明を感じるぞ!」

「あはははは!最初はメッチャ原始的だったもんね~」

「この道具入れにベルトが入ってるから、それを腰に巻くの」

「おお~、道具入れがあるのは便利でいいな!」


 悪そうなお兄さんは原始時代に何度もグリフォンに乗っているから、空の旅が快適になったことに感動しているみたいですね。


 アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんが丁寧に説明しているから、あっちは全然問題ナシでしょう。


 ぺち子姉ちゃんはパンダ工房のグリフォン10号を何度も乗り回しているので、乗り方を説明する必要はありません。



 とまあ、案の定ラン姉ちゃんの参戦で少し時間が掛かったけど、文句を完全スルーして一行は空へと飛び立った。



「どっひゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」






 ************************************************************






 グルミーダの森の入り口に到着。



「空の旅って最高ね!」

「だろ?」

「鞍のおかげで全然疲れなかった。しかし本当に便利な乗り物だな」

「空には障害物が無いので、シャンクルよりも断然早いですからね~」


 ん~、この先パンダ工房と運命共同体になることだし、悪そうなお兄さんにもグリフォンを1体貸し出してあげようかな?


 ただパンダ工房に貸し出す条件として、鞍の料金をタダにしてもらっているわけだから、何か同じくらいの条件を考えておかなきゃだね。


「んじゃ森に入るぞ~」

「魔物が出るから三人とも前には出ないでね」

「俺とそっちの獣人は戦えるぞ?」

「ん~、まあとりあえずは慣れてる私達だけで戦うよ。三人はクーヤちゃんの弟子ってことで来たんだから」

「わかった」



 でも毎日のように通り道の魔物を間引きしているので、何事もなく『スプーンポイント』まで進むことが出来た。


 そこで風ハムちゃんとメルドアを召喚し、レオナ班のお供をするように頼んだ。最近はずっとこの組み合わせなので、しっかり連携もとれているようです。


 こっちは新米冒険者の多いわちゃわちゃ班なので、向こうの班と対になる風ハムちゃんとレグルス以外に、ペカチョウと白くまも召喚する。



「うおっ!白いローグザライアじゃねえか!!」

「でっか!なんか凄いのが出て来たし!」

「こんにゃ魔物知らにゃいにゃ。強いにゃか?」

「強い。たぶんメルドア並み」

「冒険者10人で戦っても全滅するほど強いですよ?リナルナでは誰もがローグザライアの縄張りに近寄らないようにしていましたから」



 そんな会話をしながら、クマちゃんを先頭にレオナ班と反対側の方角に進んで行き、ボク達はキョロキョロとグルミーダを探す。



 ドガーーーーーン!



 クマちゃんアッパーで、バッファローが宙を舞った。



「アレだよ!」

「・・・何がだ?」

「ジャーキー」


 タマねえの一言で、三人組がハッと気づいた。


「今の魔物がジャーキーにゃか!」

「ローグザライアがヤバすぎて、魔物の強さがまったく分からなかったぞ!」

「そもそもあんな凄まじい魔物を、どうやって召喚獣にしたのさ!?」

「えーと・・・、ボクの召喚獣に倒してもらったの」

「アレを倒せる召喚獣をどうやって倒したのさ!?」

「がんばって倒したよ!」

「それじゃ全然わからないわよ!」



 ドラゴンのことはトップシークレットですので、誤魔化しきりますよ?


 ペカチョウにバッファローを収納してもらった。

 クマちゃんが少し不満そうだったけど、他の魔物で満足してください。



「グルミーダ発見」


「ん?・・・ほんとだ!」

「いましたね!じゃあ行きます!」



 プリンお姉ちゃんが盾を構えてグルミーダに突撃して行った。

 戦闘モードに入ったグルミーダが、青白い光を放つ。



「さて、ジャーキー作りを開始しますよ~」


「いやちょっと待て。プリンアラートが戦闘中だろ!」

「プリンお姉ちゃんが突撃したから、ジャーキーを作れるようになったんだよ?」

「全然意味わかんないし!」

「やっと始まるにゃか!!」



 うるさい弟子どもですね~。

 ビシバシしごいて一人前のジャーキー職人に育て上げるぞ!

 

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