第279話 話がどんどん大きくなってきました!

 悪そうなお兄さんから相談を受けたライガーさんが、両腕を組んで考えている。


 貧民街スラムの住人って普段どういう生活をしてるんだろ?

 まともな職に就けなかったから貧民街スラムの住人なんかやっているわけで・・・。


 西区も実は結構広いから住民だってかなり多いハズ。これを何とかするのって、ライガーさんの知略をもってしても結構難しそうですね・・・。



「ふむ、ウチでやろうかずっと考えていたことなんだが、忙しくて手を出せないままだったアレでいくか・・・」



 お?ライガーさんが何か閃いたっぽいぞ!



「とは言っても、これもクーヤ絡みの案件なんだがな」

「ボク??」

「ガキ絡みの案件か・・・。だが確かにコイツは金の成る木だからな。本人はまったくやる気が無いが、やろうと思えばいくらでも稼げるネタの宝庫といえよう」

「効果があり過ぎて、血を吐くほど忙しくなるけどな!」



 うん。だからボクは自分から動きたくないのです!

 でもたぶん稼げるネタはいっぱい持ってるような気がしますね~。



「ズバリ言うと『ハンバーガー』だ。アレを流行させる!」



「「オオオオオーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 そうだ、それがあったね!孤児院で作らせて販売すればって考えたことはあったんだけど、パンダ工房と繋がりを持ったから生活が安定してしまったんだよな~。


 貧民街スラムの人員を派手に使って、『食の革命』を起こすのはアリかもしれない!



「なるほど!ガキに貰って何度か食ったが、確かにアレは美味かった!」

「しかしそうなると、早いとこクーヤに特許を取らせた方がいいな。王都でも見たことが無い食い物だから特許が取れないなんてこともあるまい。料理の特許なら時間もそう掛からんハズだ」

「同時に『ハンバーグ』の特許も取る必要があるな」

「えーと、それはいいんだけど、挽き肉を作るのが大変かも?」

「いつだったか、ハンバーグを作る時にクーヤが出した挽き肉を作る道具を使ったことがあったよな?あの道具って作れると思うか?」

「フードプロセッサーのことだよね?刃の部分を回転させることが出来ればって感じだけど、手動のだと挽き肉を作るのが大変かもです。魔石を使って自動で動くように出来れば最高ですね~」



 フードプロセッサーを召喚した。



 ウィーーーン



「なるほど!本当に刃を回転させるだけか。これなら形状を真似するだけでいいから、そう難しい物でもないな。魔石を使って自動化させるのもおそらく可能だ」

「フム。完成したらそいつも特許を取らんとな」


 パンダ工房も儲かりそうな件。


「あのソースの作り方は知っているのか?」

「ん?ああ、ハンバーガーならウチでしょっちゅう作ってるから、いつでも完璧なソースを作れるぜ?」

「マヨは?」

「あ~、マヨはちょっとわかんねー。まあ別にソースだけでも美味いから、マヨ無しでもいいんじゃね?」

「とりあえず試作品を作ってみて、改良はそれからで良いのではないでしょうか?」

「だな」


 マヨネーズな~。作る時に生卵を使うから、変に作り方を教えると大惨事になっちゃうかもしれないんだよね。


 雷魔法で殺菌出来そうな気もするけど、ハンバーガーには貧民街スラムの未来が懸かってるから、迂闊な真似はしない方がいいでしょう。



「ねえねえ!ついでに『メメトンカツサンド』も販売しない?」


「「メメトンカツサンド??」」


「メメトンカツは知ってるでしょ?アレをパンに挟むだけだよ」

「あーーーーー!そんなの絶対美味いに決まってるだろ!」

「そいつは名案だ!肉にかけるソースはハンバーガーと同じモノなのか?」

「ウチでは違うソースを使って食べてるけど、一緒でも全然問題ないよ?」

「いや、両方売りに出すならば、味を少し変えた方がいいだろう」

「私も味を変える方に賛成です!」



 悪そうなお兄さんんが、顎に手を当てて考えている。



「えーと・・・それらを毎日販売していたら、メメトンが不足しないか?」



「「あ!」」



 それは盲点でした!おそらく両方とも飛ぶように売れるからこそ、メメトンそのものが尽きてしまいかねない。



「だったら貧民街スラムでメメトンを畜産すればいい。もちろんエサ代は必要になるが、いくらでもメメトンが手に入るようになるし、貧民街スラムの住人達に職を与えることも出来るぞ!」


「「オオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 なるほど畜産農家か!メメトンを無限増殖させられるし、かなりの数の貧民街スラムの住人達に職を与えられる一石二鳥案がキマシタ!


 やっぱライガーさんに相談したのは正解だね!



「畜産農家って案が出るとは完全に予想外だった。しかし『ハンバーガー』と『メメトンカツサンド』の販売までがセットとなれば、どれだけ初期費用がデカくとも元が取れるのは確実か・・・」

「この街の人達がハンバーガーに食べ慣れて売り上げが落ちたとしても、他の街に行くだけでまた爆発的に売れるポテンシャルがあるからな。この作戦に失敗は無いと断言してもいいだろう」

「だよな。よし、貧民街スラムの未来の為だ!本気で動き始めるぞ!その前にまずはジャーキーの方からだけどな」

「そうにゃ!まずはジャーキーにゃ!」

「うぇええええ!メンドクサ~~~~~~~~~~!」


 そうでした!ハンバーガー作戦も大事だけど、ボクは3人の弟子を育て上げなきゃならんのです!


「んじゃ、早速明日からでも一緒に狩場に行くってことでいいんだな?」

「問題無い。待ち合わせ場所は?」

「そうだな・・・、明日の1時に西門に集合ってことにしよう」

「1時!?うぇえええ~、早くない?」


 1時ってことは、日本時間で午前7時10分ですな。

 いつもより出発時間が早いけど、たぶんラン姉ちゃんがいるせいだ。


「グリフォンに乗って行くから、早めに動かないと何だかんだ時間が掛かるんだ」

「うそッ!どこまで飛んで行く気なのよもう!!」

「ワクワクするにゃ!」

「グリフォンを使うのか!久々だから緊張するな・・・」

「大丈夫なのです!専用の鞍を作ったからちょー楽ちん!」

「あの頃とは全然違う」

「本当に安全で、気持ち良い空の旅が出来ますよ!」

「ほーーーーー、そりゃ楽しみだ!」



 というわけで、明日は3人の弟子を連れてグルミーダの森へ出発です!

 

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