第274話 大量生産することになりました!

 ジャーキーで盛り上がった後、いつもの様に冒険者ギルドに寄ってから家に帰って来たのですが、ホニャ毛の人達は現在防具が無いので、やっぱり狩りはお休み中みたいですね。


 レオナねえも、オシャレ装備が完成するまでクッソだらけてたもんな~。


 でも服が完成してからは、グルミーダの件もあって、もう毎日のように狩りをしてるので、ホニャ毛もきっと新装備でやる気MAXになるんじゃないでしょうか?



 夕食を頂いてからお風呂に入り、お休み前の寛ぎタイム。


 いつもなら、お寿司・牛丼・味噌ラーメンという『クーヤちゃん三種の神器』や、お菓子なんかを食べながら談笑するんだけど、今日はもちろんグルミーダの森で作って来たアレをみんなに御馳走します!



「みなさまにご報告です!とうとうボクは『ジャーキー』を完成させました!」



 レオナねえ以外のみんなが頭に『?』を浮かべた。



「ジャーキー?」

「何かしら?」

「えーとですね~、お母さんに切ってもらったバッファローの肉なんだけど、今日の朝ティアナお姉ちゃんに乾燥してもらったでしょ?」

「うん」

「それを森に持って行って、燻製にしてきたのです!」

「なるほど~!あの時のお肉なのね~♪」

「お肉をわざわざ燻製にしたの?」

「あれ?そういや干し肉にしてから燻製にするのってどんな意味があるんだ?乾燥させただけだと、あの美味さにはならんとかか?」


 ボクも何となく調べた時の知識が頭に入ってるだけだから、もしかしたら間違ってる可能性もあるけど・・・。


「えーとですね~、香り付けもあるのですが、素人が作った干し肉はそのまま食べるとお腹を壊す可能性があります。でも2時間くらいかけて燻製にすると、煙と熱で菌を全部やっつけることが出来るので、食べても大丈夫になるのです!」


「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」


 あと塩漬けにすりゃ大体何でも大丈夫って感じがするけど、塩って実は殺菌作用があるわけじゃないらしいんだよね。塩の浸透圧で脱水された結果、菌が死滅するってのを、昔何かで読んだことがあるのだ。


 魔法で乾燥させた場合でも、おそらく菌は生きてると思うんだよな~。

 何にしても燻製にすりゃ間違いないのです!面倒臭いけどさ。


「クーヤくんが博識すぎる!」

「天才かよ!」

「よく分からないけど、一人で凄いことやってるわね・・・」

「お母さんもさっぱり分からないわ~」


 リリカちゃんもこっちを見てるけど、何言ってるのか理解不能っぽいですな。



「というわけで!コレが、ボクが作った『ジャーキー』です!」



 みんなに1枚ずつジャーキーを手渡した。

 もちろんボクもレオナねえも食べますよ!



「なんか良い匂いがする!」

「見た目は薄い干し肉なのね~」

「食ったら驚くぜ?」

「あらあら~、干したらこんなに薄くなっちゃうのね~」

「なにこれーーーーーーーーーー!」

「カチカチなので、繊維に沿って細く引き裂いてから食べてみてください!」



 手に持ったジャーキーを見て感想を述べたお母さん達が、ジャーキーを引き裂いて口の中に入れた。



 クチャ クチャ クチャ クチャ


 クチャ クチャ クチャ クチャ


 ごくん



「美味しい!!」

「ちゃんと味が付いてた!!へーーーーー、これは美味しいわね~!」

「お母さんこれ大好きかも!」

「おいしーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「やっぱジャーキーうめーーーーーーーーーー!」

「ジャーキーは最強なのです!」


 よっしゃ!やっぱり肉好き一家にジャーキーは大正義だった!


「でもギルドに寄った帰り道でも食べてたから、これでストックが切れました」

「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」

「エーーーーーーーーーー!この一枚だけなの?」

「クーヤくん、これだけじゃ足りないわ。もっといっぱい作って!」

「今回はお試しだったから、失敗したら肉がもったいないのでそんな大量には作らなかったのですよ。あと燻製マシーンにも入る限界があるのです」

「なるほど・・・。お試し期間なのはともかく、燻製マシーン一個じゃ足りないってことか」


 それなりに大きい燻製マシーンではあったけど、あまりにも需要がありすぎた!


「あっ!乾燥肉を縦にビッシリ並べたらもっといっぱい入るかも?」

「そうかペラペラだもんな!でも殺菌を考えたら詰め込み過ぎは危険か。よし、燻製マシーンをもう一つ買おう」

「それならいっぱい作れるのです!あとはスモークチップがあれば、もっと上手くいくと思う」

「スモークチップって何だ?」

「木の枝をそのまま使ったから火力調整が難しかったのです。えーとスモークチップってのは木を粉々にしたヤツです。あんまり粉過ぎるとダメだけど」

「ほうほう。ナナに頼むしかねえな」

「えーと、ハンバーグを作る時に使う道具じゃダメなの?」

「あ、それいいかも!でも変な物を入れたら壊れそうじゃない?」


 あーーーーー、フードプロセッサーか!木の枝なんか入れたら壊れそうな気もするけど、壊れても召喚し直せば問題ナシじゃん!


「ティアナ姉ちゃん、素晴らしいアイデアです!壊れても召喚し直せばいいだけだから、とりあえずやってみます!」



 というわけで、ジャーキーの大量生産に向けて家族みんなで動き出すことが決定しました!


 でも今日はもう遅いから明日からだね。

 ちょうど明日が休日だったクリスお姉ちゃんも手伝ってくれることになりました。


 赤身じゃなきゃダメだってことを説明したら、『全部使えないの!?』とガッカリしていましたが、牛一頭丸々ジャーキー化はクーヤちゃんが死んでしまいます!


 まあでも冷蔵庫に全部入るのかという問題も出てくるだろうし、てんやわんやな事態になりそうですね。


 あっ、ボクも秘伝のタレを作らなきゃ!こりゃ明日は結構大変だぞ・・・。

 

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