第269話 稼ぎ時ですよ!

 グルミーダ飛び交う森の中、ホニャ毛専用オシャレ装備を必死に考えてノートに描いてきたクーヤちゃんだったが、あんな状態で描いたわりには良い出来だった。


 ちなみに絵の下の方に『シーラお姉ちゃん』って書いてあるので、誰のオシャレ装備なのかすぐわかるようになってます。


 自分が着る予定の白い鎧の絵を、目をキラキラさせながら見ていたシーラお姉ちゃんが、ようやく口を開いた。



「本当にクーヤくんがコレを考えたの?」

「うん。わぷっ!!」


 突然シーラお姉ちゃんに抱きしめられてビックリした!

 今日の彼女は鎧を着ていないので、おっぱいで窒息しそうです。


「凄く格好良いじゃない!なんて素晴らしいデザインなのかしら!!」

「にょわ~~~~~~~~~~!」

「白い鎧も格好良いが、この盾が最高じゃないか!」

「こっちの後ろ姿もすごいね~!白いマントに青い模様が格好良すぎるよ!」

「えーと、いつも着ている鎧に色を塗っちゃう感じ?」

「うん。ブロディさんが塗装の名人なのです」

「ブロディさん?ああ、西区の防具屋か!」

「アタシらのビキニも、ブロディのおっちゃんに色を塗ってもらったんだぜ?」


 でも塗装名人って噂が広まっちゃうと、そっちの仕事ばっか入るようになるかも。


「決めた!明日鎧を持ってく!」

「防具屋さんってマントも注文出来るの?」

「いや、マントは別の店だ。まあそういう細かい話は最後にするから、次のオシャレ装備にいくぞ!」


 えーと、次はアークメイジのミルクお姉ちゃんの服だな。



「次はミルクお姉ちゃんの服だよ」


 ペラッ


「わあ~~~~~!黒いローブなんだね!でも白いふわふわの服が可愛い!」

「おお!?予想外な服が出たな」

「大きな帽子!黒い服は着たことないけど、カッコイイのに可愛いくて、コレは好きかもしれない!」

「へ~~~~!アイリスっぽい服なのかと思ったら全然違った!こんな格好の人なんて見たことないからすごく目立ちそうね。面白いかも!」

「リナルナでも見たことないですね」

「タマもこの服すごく好き」


 たしかにタマねえは、こういう服が好きそうだね。

 なんか黒ポンチョ姿に似てるし。



「次はロコ姉ちゃん!」


 ペラッ


「おおおおおーーーーーーーーーー!めちゃめちゃ可愛い!!」

「これは間違いなくロコに似合う!」

「もう服だけでもロコ!中の人いらないかも」

「いるよ!中が重要なんだよ!」

「クーヤくんって凄すぎない?将来は服屋さんで決まりね!」

「服屋は大嫌いらしいぞ?」

「え?なんで?」

「クーヤちゃん、毎回マダムの大群に襲われてるもんね~」

「「マダムの大群!?」」


 服屋だけは全力でお断りします。


「でね、次のページはおまけ。誰の服って決めてないから、もし欲しい人がいたら作ってみるといいかも?って感じです」


 ペラッ


「フォオオオオオオオオオオ!こっちもイイ!すごくイイよ!!」

「ほわ~~~~~。さっきのと全然違う!シャキッとしてる!」

「へーーーーー、これも良いな。ただ戦闘には向いてないかもだ」

「そうね~。でも私服として作ってもらうのもアリじゃない?」


 たしかに、学生でもないのにわざわざ白い制服を着て戦闘する必要ないよな~。

 アニメなんかだと、学園の制服だからそんな格好で戦ってるだけだし。


 まあ強制はしませんのでお好きにどうぞ!



「次はリズお姉ちゃん!」


 ペラッ


「わあああああああああ~~~~~~~~~~!」

「なにこれ!!シーラの鎧と全然違うけど、すっごいド迫力だ!」

「へーーーーーーーーーー!こっちのデザインも素晴らしいわね!」


 リズお姉ちゃんを見ると、目を大きく開いて固まっていた。


「どんなのが来るかと思ったら・・・、スゲー格好良いじゃねえか!!」


 おお!気に入ってくれたみたいだ。


「次のページに色違いの鎧が描いてあるよ」

「なんだって!?」


 ペラッ


 さっきのは青い鎧だったけど、赤い鎧も同じくらい格好良いと思うんだよね~。


「うおおおおお!こっちも格好良いじゃねえか!」

「今度は赤だーーーーー!」

「うわ~~~、こっちもいいな~~~」

「わお!これは目移りしちゃうわね~。どちらか選ばなきゃならないんでしょ?」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ・・・」



 好きな方の色を選択してもらおうと思ったんだけど、どっちも気に入った場合、変に悩ませてしまうのか・・・。失敗したかな?


 5分ほど悩んだ後、リズお姉ちゃんがすくっと立ち上がった。



「両方だ。もう一つ鎧を買うぞ!」



「「な、なんだってーーーーー!?」」



 え?いや、鎧って結構お高いんじゃ・・・。



「っていうかな、そろそろ新調しようか考えてたとこなんだよ」

「そういえば前にそんなこと言ってたわね」

「なるほど!いい機会かも」

「ブロディさんのお店で鎧を買えば塗装代をまけてくれるかも!?」

「良い鎧があればな!」



 なんか、リズお姉ちゃんが鎧を買うって流れになってしまいましたけど?

 でもブロディさんには塗装以外でも儲けてほしかったから、渡りに船かもです。



「んじゃ全員オシャレ装備にするってことでいいんだな?完全オーダーメイドだから、服は10万ピリン前後かかるぞ?鎧の塗装料金は聞いてみないと分からん」

「もう買う気マンマンだよ!」

「10万か~!でもレオナ達の服を見ると、高くて当然って感じだよね~」

「塗装はそこまで高くないと思うけど、マントが結構な値段しそうね・・・」

「マントは別の店だとか言ってたよな?」

「服とマントは『シェミール』に注文する予定だ」

「そういえば、レオナのお姉さんがシェミールで働いてるんだよね?」

「このレベルの服を作れるのはシェミールだけと言ってもいいだろう。でもホニャ毛全員のオシャレ装備が完成するまでは内緒にしといた方がいいぞ」

「あ~そっか!他の人も服を注文したら完成が遅くなっちゃうもんね!」



 そういえば、シェミールは大丈夫なんだろか?


 最近悪そうなお兄さんから革ジャンの注文がいっぱい入ったから、今頃大変な騒ぎになってるような気がしますよ?


 ショタのグルミーダ服の注文も入るし、ホニャ毛の服の注文まで入ったら・・・。


 うん、頑張って荒稼ぎしてもらいましょう!

 

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