第270話 庭でバッファロー肉を焼いてみる

 ボクが考えたホニャ毛メンバー全員のオシャレ装備はすべて採用されることに決まったんだけど、今日はもう夕食前って時間だったので、ブロディさんの防具屋には明日の朝行くことになった。


 彼女達だけで行かせるとブロディさんからの質問に答えられないので、ボク達も同行する予定です。


 あと作ってもらう服が描いてあるノートは、帰ってすぐにクリスお姉ちゃんに見せるつもりなんだけど、彼女達の身体のサイズを測らないと服が作れないので、防具屋の用事が済んだら彼女達にはそのままシェミールに向かってもらいます。


 でもシェミールにはボク達まで付いて行く必要が無いので、防具屋の用事が終わったら今日もグルミーダ狩りに出発って感じかな?狩りする時間が少し短くなってしまうけど、まあ今回ばかりはしょうがないでしょう。



 そしてようやく我が家に到着。



 今日はあのバッファロー風の肉を食べる予定だったので、アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんもウチにやって来ました。


 せっかくだから庭で焼肉大会を開こうってことで、鉄板だけ出してあとはレオナねえ達に任せ、お母さんに肉を切ってもらうためにボクとタマねえは家の中に入る。あの肉は地下室に置いて熟成させているのです。


 熟成は言い過ぎかな?まあ何にせよ、そろそろ食べ頃らしいです。


 そしてお母さんが肉を切っていくのを、タマねえとリリカちゃんと一緒に見ているのですが、やっぱりこのバッファロー風の肉って豚肉の感じと違いますね。


 日本のスーパーで売ってるような肉しか知らないから、牛肉・豚肉・鶏肉としか比較できないんだけど、やっぱり牛肉に一番近いんじゃないかなあ?


 すでにレオナねえ達がササッといくつかのブロック肉にした後なので、どこがどの部位なのかさっぱりわからないけど、やっぱり赤身よりも脂の乗った部位の方が美味しそうな予感がします!


 おっ!今切ってる辺りがヒレ肉じゃない?ここが一番美味しそうな気がするぞ!



「お母さん、この肉絶対美味しいよ!」

「タマも美味しい予感しかしない!」

「おいしそう!!」

「本当に美味しそうなお肉よね~♪お母さんも食べるのが楽しみ!」



 そうこうしている間にクリスお姉ちゃんとティアナ姉ちゃんが帰宅し、レオナねえ達も準備完了したらしく、みんな洗面所に手を洗に行った。



「今日は庭で焼肉パーティーなのよね?」

「これ何のお肉?」



 あれ?そういえばストックしてないから、なんていう名前の魔物なのか知らないままだな。他の人も初見の魔物らしいから知らないと思う。



「名前はわかんないけど、たぶん牛丼と一緒のヤツです!」


「「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 クリスお姉ちゃんもティアナ姉ちゃんも牛丼の味を知ってるので、これで更に期待度が高まりましたな。タマねえも牛丼愛好会のメンバーなので、今の会話を聞いて目を輝かせていますね!


 ・・・全然違う味だったらどうしよう?



 まあ何にしてもみんな用意が出来たようなので、庭に出て鉄板に火をかけた。そして肉を切った時に出た脂身を鉄板に塗ってから全員分のステーキを乗せ、塩胡椒を振っていく。


 しかし鉄板って有能すぎませんかね?


 防御力はフルアーマー以上だし、ドラゴンを倒した実績を持つ武器でもあるし、料理でも大活躍するのですよ。


 最初にアイテム召喚で出て来た時は部屋が狭くなって迷惑なだけだったけど、今まで呼び出したアイテムの中でコレが最強だったとはなあ・・・。



 ジュワー パチパチパチパチ



 良い感じになってきたステーキ肉をひっくり返して、お母さんが裏面にも塩胡椒を振った。もう正直匂いだけで気絶しそうです!



「もういいんじゃねえかな?」

「焼き過ぎると硬くなっちゃうもんね」

「コレ絶対美味しいよ!そういえば、なんていう名前の魔物なの?」

「知らん。召喚獣にしてないからクーヤも分からないそうだ」

「美味しかったら大発見ですね!」



 お母さんとクリスお姉ちゃんが、庭に設置してあったテーブルから皿を持ってきて、ステーキを一枚ずつ乗せていった。


 テーブルにはサラダと千切りキャベツが置いてあり、自分で好きなだけ取って食べることになってます。もちろんマヨネーズもドンと置いてあります。


 千切りキャベツと呼んでるけど、実際は似ているだけの野菜なんですけどね。


 自分の皿に千切りキャベツを盛り付け、マヨネーズをもりもりかけた後、早速ステーキをフォークで切ってみると、肉汁が溢れ出すのが見えた。


 ・・・うはっ!こんなん美味いに決まってるやん!



「それじゃあ早速頂きましょうか~!」


「「いただきまーーーーーーーーーーーーーーーす!!」」



 肉を口に入れた瞬間少し獣臭さを感じたけど、そんなものは爆発的な美味さで完全にかき消された。


 思い描いていた牛肉とは少し違うような気がするけど、ぶっちゃけ牛肉よりもこっちの方が美味いかもしれません!



「「うんまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 当然ながら、ウチの庭で歓喜の雄叫びが轟いた。



「来ました!大当たりです!!」

「おいしーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「ぐぬぬぬぬ、牛丼に匹敵する!」

「ビックリね!こんなお肉を食べるの初めてだわ」

「美味しすぎる!肉汁がじゅわーって!」

「お母さんも、こんなお肉を食べるの初めてなのよ~♪」

「やっべーーーーー!この肉今まで食った中でも最強じゃねえか?」

「うひゃ~、これは当たりだね~!」

「本当に美味しいです!」

「これは・・・。グルミーダだけじゃなく、次回からはあの魔物も狩らなきゃ!」



 ナナお姉ちゃんの言う通り、バッファロー狩りもする必要が出てきましたね。


 牛一頭分の肉があるからしばらくは安泰だけど、みんなの家族にもご馳走したいし、知り合い全員にお裾分けしたいからな~。


 パンダ工房や孤児院は人数が半端ないので、いっぱい狩らなきゃだね!

 

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