第268話 クーヤちゃんのもう一つの夢
ホニャ毛装備のお絵描きが完了したので、ボクもグルミーダ狩りを手伝おうと思ったんだけど、冷静に考えたら何もすることがなかった。
必要なのはペカチョウのビリビリ攻撃だけなので、実はショタがいなくても全然問題なかったのです!
とはいえ森をフラフラすると護衛のタマねえに迷惑が掛かるし、彼女にはプリンお姉ちゃんのサポートもしてもらわなきゃならないので、とりあえず今は勝手な行動は慎むことにして、召喚獣集めは見える範囲だけでやることにした。
◇
「もうグルミーダが増えなくなったので、一掃してもらっていいですか?」
おっと、プリンお姉ちゃんがお呼びです!
ペカチョウに頼んでグルミーダを倒してもらわなきゃだ。
「あいあいさー!ペカチョウ、見える範囲のグルミーダを全部倒してください!」
『チュウ!』
バリバリバリバリッ!
ペカチョウの電撃は強烈で、プリンお姉ちゃんに襲い掛かっていたグルミーダが一瞬で全滅した。
「よし、回収だ!」
「クーヤ、間違ってストックしないように注意」
「おっと危ない危ない!ホントこれいっつも紛らわしいんだよね~。ペカチョウ、倒れているグルミーダを全部収納してください!」
『チュウ!』
実はさっき間違って1体ストックしてしまったのです。
いつもやってる『ストック』が口癖になっているというよりも、どっちも収納する感じだから紛らわしいのだ・・・。
何も考えてない時にミスってしまうみたいだから、次からはちゃんと意識してやらなきゃダメだな。
やってしまったものはしょうがないので、召喚獣にしてしまった1体はクーヤちゃん用のペットにでもしようかな?実は結構強いから護衛にもなるのですよ。
でもドーーーン要員なら、カブトムシの方が小さくて便利だよね。
家族が外出する時の護衛にした方がいいのかなあ?・・・まあ適当でいいか!
そうこうしている間にお昼になったけど、場所を変えて、持参したハンバーガーを食べながらグルミーダ狩りを続行する。
でも狩った獲物の解体もしなければならないので、狩りは日本時間の午後2時くらいまでにして『ドラゴン乗り場』まで帰還した。
◇
「こっちが15体で、そっちは13体か。今日は不作だったな~」
「うぅ、間違えて1体ストックしてしまったのです。ご容赦を!」
「収納とちょっと似てるもんな。まあ気にすんな!」
「昨日のと合わせて48体かな?肘まで手袋を1セット作るのに多く見積もって8体使うとすると、ピッタリ6人分あるけどどうする?」
「タマはすでに手袋持ってるから、クーヤの服の方に回して」
「クーヤちゃんの服を作るのが先だよ!防御力ゼロなんだよ!?」
「天使様の服を作るのに、グルミーダ何体分必要なんでしょうか?」
今解体したばかりの素材は濡れていたので、レオナねえが昨日の素材を取り出して、ショタの身体にペタペタと当てていく。
「30体、いや、少し多く見積もって40体分ありゃ十分じゃねえかな?」
「ハゲヅラの分もいいでしょうか?」
「んなもんいらねーだろ!あーでもフードの裏に革を当てれば頭も守れるな」
「いえ、それはそれで必要なのですが、ハゲヅラの分も欲しいのです!!」
「クーヤがおねだりするなんて珍しい。許可してあげよう」
「ホント変な子ちゃんねえ・・・。なんでハゲに拘ってるのかしら?」
お姉ちゃん達は全然わかってませんね!
「ハゲを光らせるのがボクの夢だからです!!」
その光景を思い浮かべたお姉ちゃんズが盛大に噴き出した。
「ぶわーーーーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
「あはははははははははは!それは思い付かなかった!!」
「ぷくくくく!あーっはっはっはっはっはっは!!」
「さすクー!目の付け所が違う!!」
「あはははははは!それは私も見てみたいです!光るハゲも作りましょう!」
よし、光るハゲも許可されそうです!
「あとね、今日ホニャ毛のオシャレ装備を考えたんだけど、本人達に見せる前にブロディさんに相談したいから、先に防具屋に寄ってもいいですか?」
「お?もう描き上げたのか!寄るのは全然構わんぞ」
「それすごく気になる!ノート見せてもらってもいい?」
ペカチョウにノートを出してもらい、アイリスお姉ちゃんに渡した。
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「どれも素晴らしい出来ね!」
「これならきっと喜んでくれるよ!」
「鎧のデザインがカッコイイな!でもブロディのおっちゃんって、こんなスゲー塗装出来るのか?」
「だから聞きに行くのです!」
「なるほど」
というわけで、全ての解体を終えたボク達一行は、ブロディさんの店に向かった。
◇
「・・・出来るわけないだろ!!」
ブロディさんにキレられた。
「そこを何とか!」
「青い塗料に黒い塗料を混ぜながら塗っていくにしてもだ。頭で考えているように上手く仕上がるとはとても思えん。十中八九失敗するだろうな」
グラデーション塗装って、『エアブラシ』とか『スプレーガン』でもなきゃ無理なのかもしれない。この世界にそんな物あるわけないしな~。
そんな特殊道具をアイテム召喚で呼び出すのも無理だろうし。
モコねえほどの情熱がある塗装マニアが近くにいれば可能かもしれんが。
うーん、しょうがない。
青い部分と黒い部分をきっちり分けて描き直そう・・・。
少しテンションダウンしてたけど、描き直してみると案外いい絵が描けた。
それをブロディさんに見せると、今回のは大丈夫だった。
まだリズお姉ちゃんに見せてもいない状態だけど、おそらく明日にでも塗装の仕事が入るので、準備運動しておくよう言ってから店を出た。
そして今度は冒険者ギルドに移動し、討伐依頼の素材を査定してもらっていると、ようやくホニャ毛の4人が入口のドアから現れる。
「オーイ、こっちだ!」
レオナねえが彼女らを呼び寄せると、何の要件か察したようで、4人揃って奥の部屋まで駆け込んで来た。
「オシャレ装備の絵が完成しました!」
「やったーーーーー!」
「もう描けたの!?」
「もふもふ隊の服がこんだけ格好良いのだから、やはり期待しちまうな!」
「突撃もふもふ隊だ!」
「どっちでもいいわよ!」
いつもの漫才を見てほっこりした後、床にノートを広げた。
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
描き直しでリズお姉ちゃんの鎧が後ろのページに行ってしまったんで、まずはシーラお姉ちゃんの白い鎧の絵を見せたんだけど、その絵を見た彼女の目が輝いているのを見て、今回も勝利を確信した。
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