第266話 リリカちゃん大興奮

 オシャレ装備の発案者が目の前にいるあひるポンチョのショタだと知ったホニャ毛四人衆に、驚きの目でガン見された。


 最近はずっと『クーヤちゃんだから』って感じで謎生物扱いだったけど、僕のことをよく知らない人からすると、普通の可愛い子供でしかありませんからね~。


 でももう今更なので、変な子ちゃんでいきますよ?



「えーとレオナねえ、あと4人分追加ですかにゃ?」

「忙しいのに悪いな!あまりクーヤに負担はかけたくなかったんだけど、ホニャ毛の4人分だけ頼む!キリが無いから、他の冒険者の面倒まではみないつもりだ」

「じゃあ4人分だけね!でもまだ彼女達のことをよく知らないから、どういう服が好みなのか教えてくれないと描けないよ?」

「クーヤちゃん、無茶言ってごめんね!もう時間が無いから今日は服の好みだけ聞いて、余裕がある時にゆっくり考えようか」



 あー、それならグルミーダ狩りをしながらでも考えることが出来るか。


 ひたすら防御してグルミーダを呼び寄せながら、ペカチョウに電撃をくらわしてもらうだけだから、狩りしてる間はそんなに忙しいわけでもないのです。


 タマねえが護衛してくれるって話だから、お絵描きしてても大丈夫な気がする。


 しかし、まだネタ切れはしないと思うけど、あまり親しくない人のストライクゾーンを見極めるのは結構な難易度ですよ?



「えっと~可愛いのがいいけど、いきなりだからすぐには思い浮かばないよ?」

「だよね!ナナのローブが可愛いかったから、いいなーって思っただけで・・・」

「当然格好良い鎧を着たいが、それって単に金をかけりゃいいだけじゃねえのか?」

「そうねえ・・・、やっぱり格好良さが重要よね~!」


「なるほど、大体わかりました!」


「「え!?」」



 ロコ姉ちゃんとミルクお姉ちゃんが可愛い系で、リズお姉ちゃんとシーラお姉ちゃんが格好良い系ね。それと今の格好を覚えておけば何とかなるかな?



「あっ!みんなの職業だけ教えてください!」


精霊使いエレメンタラーだよ!」

「アークメイジです」

「ウォーリアだ!」

「パラディンよ」


「おおおおおーーーーー!なんかみんな格好良い職業だし!!」



 ロコ姉ちゃんの職業は前に聞いてたから知ってたけど、ミルクお姉ちゃんの『アークメイジ』ってのは何だろ?


 『大魔導士アークメイジ』って感じ?

 賢者との違いがよくわからないけど、魔法使いの上位職って感じがするよね。


 リズお姉ちゃんの『ウォーリア』ってのもメッチャ強そう!

 ただレオナねえの『グラディエーター』との違いがよくわからん。


 んでシーラお姉ちゃんが噂の『パラディン』なのか!

 前にティアナ姉ちゃんが、剣と回復魔法を使えるとか言ってたな。


 なるほど、確かにこれはバランスが良さそうなチームだ。

 Aランク冒険者って、職業からして強そうなのばっかだな~。


 なんかファンタジー要素満載な話になると、中二心が疼いてきますね!



「フムフム。なんとなくイメージ出来ました!でもちゃんと考えるから、少し時間をください!」


「おおーーーーー!クーヤちゃんってもしかして天才!?」

「可愛いだけじゃなかったんだね!すごく楽しみ~♪」

「職業を聞いただけで何か閃くものなのか?」

「天才は一を聞いて十を知るのよ!なーんてノリで言ってみただけですけど!」


 うーむ、期待が高まってますね。ガッカリさせない絵を描かなきゃな~。


「おっと、査定が終わったみたいだ」

「お腹も空いてきたし、とっとと帰ろう!」

「明日なら、あのお肉が食べられるんだけどね」

「アレ気になってた!」

「美味しいお肉だといいですね~」


 そうだ、明日は牛肉祭りだ!

 バッファロー風だからといって、味が牛肉に似てるとも限らんけど。



 というわけで、今日のところはホニャ毛と別れて家に帰ることになった。

 絵が完成するまでもう少し待っててね~!






 ************************************************************






 今日はもう寝るだけなので、アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんは自分の家へと帰って行った。


 そしてタマねえとプリンお姉ちゃんとも家の前で別れて、レオナねえと二人で我が家へと帰宅。



 ガチャリ


「「ただいまーーーーーーーーーー!」」


「あらあら~、お帰りなさい!」


「「おかえり~!」」



 リビングに入ると、クリスお姉ちゃんもティアナ姉ちゃんも帰って来ていた。


 洗面所でうがい手洗いをし、スーパーマリモで遊んでいるリリカちゃんの側まで歩いて行く。



「リリカちゃん!かわいい召喚獣をゲットしてきたよ!」


「エーーーーーーーーーー!かわいいしょーかんじゅう!?」


「え、なになに?また何か捕まえて来たの?」

「もしかしてまた大きい召喚獣じゃ・・・」


 クリスお姉ちゃんが警戒してますね。

 安心してください!今日のは小っちゃいですよ!



「じゃあ呼ぶね。モルモット召喚!」



 シュッ


 目の前に、黒いモコモコが出現した。



『ムキュ?』



 リリカちゃんがジッと黒いモルモットを見ている。

 そして次の瞬間、ぱああああああ~~~~~っと笑顔になった。



「わあああああ!かわいいーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 リリカちゃんがゲームのコントローラーを投げ出して、モルモットを小さな手のひらに乗せた。そして手を顔の前まで持ってきて、目をキラキラさせている。


 その愛くるしさに、お姉ちゃん達もこっちに駆け寄ってきた。


「ちょっと何これ!?可愛すぎるーーーーー!!」

「ええええええ!本当に可愛いのが出たよ!!」


「実はですね、もう1体かわいい召喚獣を捕まえて来たのです!」


「なんですって!?」

「まだいるの!?」


「黒いモコモコよりも、もっとリリカちゃんが喜びそうなヤツです!」


 それを聞いたリリカちゃんがこっちを見た。



「ってことで、ウサギ召喚!」



 シュッ


 目の前にピンク色のウサギが出現した。



『ミュ?』



 当然ながら、お姉ちゃん達の目がキラキラ輝いた。



「うわーーーーー、すごくかわいい!!」

「まあ!!今回の召喚獣って当たりばかりじゃない!!」



 なぜかリリカちゃんが静かなので『どうしたんだろう?』と思って顔を見ると、顔を赤くして目に涙を浮かべていた。


 そしてモルモットを床に置き、今度はウサギを優しく顔の前まで持ち上げた。



「かわいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 うおっ!モルモットの時以上に大興奮してるじゃないですか!!

 これほど喜ばれるとは、がんばって捕まえた甲斐があるってもんです。


 やっぱりリリカちゃんって、ピンク色が大好きなんだな~。

 

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