第264話 次の目標が決まりました!

 魔力を流し込んだ瞬間、手袋から強烈な光が放たれ、クーヤちゃんの挑戦を見守っていた全員が目をやられて悶絶した。


 当然のことながら至近距離で見ていたボクの目も滅んだので、慌てて魔力を流すのを止めた。



「ビックリしたーーーーーーーーーー!」


「クーヤちゃん眩しすぎ!!」

「挑戦者がクーヤだってことを完全に忘れていた・・・」

「魔力を流し過ぎると、あんなことになるんだね~」

「流石クーヤ、手袋で目を破壊するなんて予想外」

「なるほど!天使様くらいになると、そういう使い方も出来るのですね」



 おぉ~、クーヤちゃんの新必殺技・目眩ましだ!

 サングラスを掛けた大佐とかにすごく効きそう。



「お騒がせして申し訳ありません。次こそ成功させます!」



 すごく手加減して魔力を流す感じで・・・。


 ペカッ!


「どれくらいの光だったっけ?これくらい?」

「タマより少し明るい気がするけど、クーヤだからこれくらいでいい」

「明るさの調節が出来る時点でおかしいけどな!!」

「クーヤちゃんを光らせておけば照明のかわりになるね」

「みんな間違ってるよ!手袋は照明じゃなくて防御力を上げるアイテムだよ!」

「天使様の場合、魔力切れとか絶対しなさそうですね」


 ボクもそんな気がします!

 何にしても、タマねえの手袋が壊れてなくてよかったーーーーー!


 カイーン カイーン


 両手を叩くと、鉄と鉄がぶつかったような音が鳴りますね。

 たしかにこれはかなり防御力がありそう!


 ペカッ!


「あ、手袋が光りました!!」


 プリンお姉ちゃんもレオナねえの手袋を借りて挑戦してたんだけど、ようやく魔力を流すことに成功したみたいですな!


「結構難しかっただろ?」

「ええ。ですが魔力を流し込むというヒントがあったので出来ました!」

「魔力切れになると気持ち悪いから、気を付けた方がいい」

「1時間でしたよね。でも今日はもうそんなに遊んでる時間が無いので、最後にアイリスさんとナナさんが手袋を光らせることに成功したら街に戻りましょう」

「あ~、そうだな」



 プリンお姉ちゃんが手袋に魔力を送るのを止めて、真っ黒に戻った手袋をアイリスお姉ちゃんに渡しので、ボクも肘まで手袋をナナお姉ちゃんに渡した。


 そして普段から魔法を使用しているナナお姉ちゃんは3分ほどで手袋を光らせることに成功し、アイリスお姉ちゃんも15分ほどで光らせることが出来た。



「なるほど!クーヤちゃんほど光らせるのは無理だけど、流し込む魔力量で光度の調節が出来るみたいだね~。光りが強いほど防御力が上がるのかも!」

「エーーーーー!?光の調節なんて出来ないんですけど?」

「練習すれば出来るかもだが、戦士系には限界があるかもな~」

「それに私達の場合、注ぎ込む魔力量が多いとすぐ活動限界が来てしまうのではないでしょうか?タマちゃんの実験で十分な防御力が証明されましたから、もし光度の調節が出来たとしても通常モードで使った方がいいのかもしれません」

「通常モードで1時間だろ?ここぞの場面でだけ手袋を光らせる作戦なら、多めに魔力を注ぎ込んでも長時間戦えるんじゃねえか?」


「「それだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 そうか!連続稼働だと1時間でポンコツになってしまうけど、防御する時だけ光らせれば活動限界なんて考えないでいいのかも。クーヤちゃんくらいの魔力お化けなら、光ったまま寝ても余裕そうですけどね!


 いや~本当に奥が深い装備品だな~。魔力で防御力を上げられるとは!


 ・・・ん?


 これってひょっとして、クーヤちゃんの何も装備できない問題が解決しない?

 手袋だけじゃなく、全身をグルミーダの革でコーティングすれば・・・。


 うおーーーーー!鎧なんか着てる場合じゃないですぞ!

 魔力量がモノをいう装備品なんて最高じゃない!!


 でもグルミーダの革で服を作ると、全身が真っ黒になっちゃうんだよね。

 あの黒眼鏡の殺し屋みたいになってしまうぞ。


 だからといって常時光ってるショタもどうかと思うし・・・。


 あ、服の裏地にすればいいのか。もしくは生地と生地の間にグルミーダの革を挟めば、光ってもあまり目立たないかもしれない。


 これはクリスお姉ちゃんに相談するべきかな?


 いや、今はまだ捕らぬ狸の皮算用だし、相談はグルミーダの革をいっぱい集めてからにした方がいいな。


 でもこの流れからいって、もう間違いなく全員分の肘まで手袋を作ることになるよね。今の段階では、ボクの分を優先してくれなんて言える状況ではない。


 ショタのコンパクトボディー分とはいっても、グルミーダは小っちゃいから、かなりの数を狩る必要があるしな・・・。


 こうなったらもう、みんなと別行動してでも集めまくるしかないでしょう!


 別にコソコソやる必要は無いので、みんなにボクの考えを話す。



「それだ!クーヤの防御力ゼロは、アタシもかなり気にしてたんだよ。いくら何でも一撃もらったら終わりってのは危険過ぎる」

「あははははは!クーヤちゃんをグルミーダの革で包めば、フルアーマーよりも硬くなるかも!」

「むしろ、みんなの手袋よりもクーヤちゃんを優先しなきゃだよ!」

「一人であの森は危険。クーヤはタマが護衛する」

「では明日からしばらくの間、二手に分かれてグルミーダ狩りですね~」

「クーヤだけじゃなく、ナナの防御力も上げときたいとこだな」

「キリがないけど、他のみんなの防御力も少しずつ上げていきたいね」

「うんうん!」



 というわけで、ボク達はしばらくの間グルミーダ狩りを続けることにしました!

 難題だった防御力アップのチャンス到来ですから、必死に頑張りますよ~!

 

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