第263話 手袋の秘密を解き明かそう!

 グルミーダが戦闘中に光ったという話から、タマねえが手袋を光らすと言い出したんだけど、彼女のその無謀な挑戦を、みんなほっこりしながら眺めていた。


 まあ、そりゃそうですよね。だって革しか残ってないんだから。


 でも間違っていたのはほっこりギャラリー達の方でした。

 まさか彼女が本当に手袋を光らせるとは!!



 ピカピカと青白い光を放つタマねえの両手に、全員の視線が集中する。



 いやいやいやいや!


 グルミーダが硬化するために光ったのはわかるけど、なんで革の手袋になった状態でも光るのさ!?これは一体どういうこと??



「嘘・・・だろ?」

「何これ!?手袋が光るとか意味分かんないんですけどーーーーー!!」

「本当に光らせてしまうとは驚きですね!」

「事件発生だよ!ちょっと一旦シャンクルから降りない?」

「そ、そうだな。街に入るのはこの謎を解いてからだ」



 とりあえず全員トナカイから降りて円陣を組む。



「タマ、一体どうやって手袋を光らせたんだ?」

「んーーーーー?頑張ったら出来た」

「それじゃ分かんないよ!」

「レオナねえも手袋を装着してるんだからチャレンジだーーーーー!」

「あ、そうか!」

「成功したら謎が全て解けるかもしれませんね!」

「レオナがんばれ~!」



 タマねえに出来たのだから自分だって出来るハズだと、レオナねえも手袋を光らせようとウンウン唸り出した。



 ―――――そのまま15分ほど経過。



 ペカッ!



「「光ったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



「ハアッ、ハアッ、ハアッ、やっと成功した~~~~~!」



 そういったレオナねえが、地面に大の字になって寝転がった。



「あーあ、服が汚れちゃうよ?」

「そんなに難しかったの?」

「うむ。でもようやくやり方が分かったから、次からは苦労しなくて済むハズだ」

「どうやって光らせたのですか?」

「まだ確証はもてないが、魔力を流し込んだら光った感じだな」

「え?魔力??レオナの職業って『グラディエーター』だよね?」


 グラディエーターって剣闘士のことじゃなかった?

 実は魔法が使えるとか!?


「アイリス、戦士系の職業でも魔力が無いわけじゃないんだよ?魔法として放出する手段が無いだけで、どんな人にも魔力は存在するの。だから魔物の気配を感じることが出来るんだ~!」


 なるほど!そういえばボクやナナお姉ちゃん以外の人も、森の中で魔物の気配を感じ取ってたもんな~。


 魔物の魔力を感じ取れた時点で、魔力を知っているってことになるのかな?自分が魔力を持っていなければ、それがどんなモノなのかもわからない気がするし。


「へーーーーー!魔法は使えないけど、魔力を流すくらいなら出来るんだね!」

「でも何かに魔力を流すなんて行為、レオナは今まで一度もやったことがないよね?だから難しかったのかな?」

「すげー難しかったぞ!タマが成功していなければ、一生知らないまま寿命を迎えてたかもしれねえな」

「人類の輝かしい一歩」

「タマねえ凄すぎ!!」

「手袋が光った状態の時って、グルミーダのように硬化されているのですか?」

「凄くカチカチ!指も動かせない」

「ホント!?」


 タマねえの光る手を触ったら、本当にカチカチだった。


「うわーーーーー!カッチカチです!」

「・・・これって、とんでもない大発見じゃないですか!?」

「その胸当てよりも頑丈だったりして」

「実験しよう!」


 金属バットを呼び出して、タマねえの光る手袋を叩いてみた。


 コツンッ


「全然効かない。というかクーヤの力じゃ雑魚すぎてダメ」

「なんですとーーーーー!!」

「私がやってみます。バットを貸して下さい」

「タマねえを懲らしめておやり!」


 プリンお姉ちゃんに金属バットを渡した。


「とりあえず腕が折れないくらいの力でいきますね!」


 カイーン!


 ボクの時よりもいい音が鳴ったけど、これって手袋を殴った音じゃないよね!


「衝撃はあったけど全然痛くない。もっと強くても大丈夫」

「本当ですか!?じゃあもっと強くいきます!」


 カキーーーーーン!


 ・・・いや、金属バットが少し凹んでるんですけど。


「全然余裕!手袋強い!」

「ちょっ、その手袋強過ぎないですか!?」

「マジかよ!?今ので無傷ってやべえだろ!!」


 ボゴッ!


 レオナねえが地面を殴ると、拳がめり込んだ。


「パンチの威力が上がったかどうかはよく分からんかったが、確かに全然痛くねえ!少なくともガントレット並みの防御力はあると思うぞ」

「手袋凄すぎーーーーーーーーーーーーーーー!」

「それがガントレット以上の防御力ならさ、みんなタマちゃんみたいな肘まで手袋を作った方がいいんじゃない?」

「手袋でガードが出来るしな!まあ、この手首までの手袋でも十分使えるけど」



 ―――――そうこうしている間に1時間くらいが経過。



「なんか身体の具合が悪くなってきた・・・」

「えええええ!?タマねえ大丈夫?」

「実はアタシもちょっと具合が悪い」

「え?レオナも?」


 それを聞いて、ナナお姉ちゃんが原因に気付く。


「あっ、もしかしてそれって魔力切れかも!体調不良だけじゃなく身体に力が入らないんじゃない?」

「うん。全然力が入らない」

「言われてみると確かにそんな感じだな」

「手袋に魔力を流すの止めて!じゃないと気絶しちゃうよ?」



 二人とも魔力の止め方がわからず困惑してたみたいだけど、なんとか止めるのに成功したようで、普通の黒い革の手袋に戻った。



「うぇえええ、魔力切れってこんなに気持ち悪くなるのかよ・・・」

「目が回る~」

「えーと、手袋を光らせてから1時間くらい?」

「1時間ちょっとだね」

「なるほど。光る手袋の活動限界が分かったのは収穫かな?」

「でも活動限界が1時間ってのは、戦士系の職業だからかもしれませんね。ナナさんや天使様なら、もっと長時間光らせていても大丈夫なのかも?」

「ほうほうほうほう!ねえねえタマねえ、ちょっと手袋貸してもらっていい?」

「うん」



 タマねえの肘まで手袋を貸してもらった。

 早速装着してみたが、ショタの場合、腕まで手袋ですな。


 えーと、手袋に魔力を流すのってどうやるんだろ・・・。


 実際にやってみると、レオナねえが苦労してた意味がわかった。

 召喚士も魔力を放出する機会がないから、難易度は戦士系と変わらんのです。



 苦戦すること10分。

 ふとした拍子に、手袋に魔力が流れていくのを感じた。



 ピカッ!!



 その瞬間、腕から超絶眩しい光が溢れ出す。



「「目がーーーーーーーーーー、目があああああーーーーーーーーーー!!」」



 目があああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

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