第262話 GOGOランプ

 バッファローみたいな魔物を、丸々1体食べ尽くしたクマちゃん。


 さすがにそんだけ食べれば大満足したようで、少し進んだ所でまた現れたバッファローはボクが頂戴しました!


 トラよりも弱いし別に可愛い魔物ってわけでもないので、急いで召喚獣にする必要性を感じなかったから、食用にしようと思ってハムちゃんに持たせる。


 ただ、ひ弱なショタに解体なんてのは無理なので、お姉ちゃんズにお願いしなきゃならないんですけどね~。


 バッファローはアイリスお姉ちゃんも初めて見た魔物らしく、肉が美味しいかどうかは食べてみなければわからないとのこと。


 解体にも時間が掛かるので、今日はこれくらいにして引き返すことにした。




「あ、もう戦闘が終わってる!」

「引き返して正解だったね~」



 バッファローをゲットしてから、帰りにハトみたいな鳥の魔物を撃ち落としたりしてたので、結構時間が経ってたみたい。もちろんハトは召喚獣になりました!



「あ、帰って来たよ!」

「遅いから迎えに行こうと思ってた所だぞ!」

「白くまを出してるってことは、何か大物を捕まえたのかも」

「ローグザライアの戦闘は、一度見てみたかったですね~」


 みんなと合流したので、あの後どうなったのか聞いてみる。


「グルミーダはどうなったの?」

「20体ゲットしたぜ!」

「帰りに防具屋に寄って手袋にしてもらう!」

「小さいからそんなに数は作れないだろうけどね~。でも硬化する魔物だから防御力はかなり高いんじゃないかな?」

「私も同感です!小さな魔物ですが、かなりの掘り出し物だと思います!」

「アタシの革の手袋ならグルミーダ2体で両手分作れるけど、タマが着けてる肘までタイプは6体から8体くらい必要だな」

「肘までのヤツ作ってもいいの?」

「その為に頑張ったんだからそれは当然の権利だ。つーか大量に狩ることが出来んだし、折角だから全員分作ってもらおうぜ!」

「やったーーーーー!」

「私の分もいいの!?何もしてないんですけど」

「細けぇことは気にすんな!」



 グルミーダって、ボクが両手で持って少しはみ出るくらいの大きさだったもんな。

 そう考えると肘までタイプって、かなり奮発して作られたヤツだったのか。



「ボク達の成果はねえ、大きな召喚獣が2体と小さい召喚獣が2体。それと肉!」

「肉??」

「うん。クマちゃんが美味しそうに食べてたから、その魔物は召喚獣にしないで食べようと思って普通に持ち帰ったの」

「ローグザライアの味覚が私達と同じとは限らないけどね!」

「へーーーーーーーーーー!んじゃドラゴン乗り場んとこで解体しなきゃな」

「ここには川が無いもんね~」

「じゃあもう帰る?」

「解体するのでしたら、狩りはこれくらいにしておいた方がいいですね」

「だな!んじゃ帰るぞーーーーー!」


「「アイアイサーーーーー!」」



 念のためにクマちゃんを出しっ放しにして先頭を歩いてもらったんだけど、帰り道での戦闘は無かった。


 簡単に森を抜けてスタート地点に戻って来てしまったので、クマちゃんにお礼を言ってから謎空間に帰す。


 そしてグリフォンを6体呼び出して鞍をセット。


 さっきレオナねえがドラゴン乗り場と言った『ネジポイント』目指して、一行は大空へと飛び立った。






 ************************************************************






 ドラゴン乗り場に到着。


 そこでグリフォンからトナカイに乗り換えて、少し北に行った所にある川の近くまで移動し、バッファローの解体が始まった。



 アイリスお姉ちゃんだけじゃなく、ナナお姉ちゃんもレオナねえもプリンお姉ちゃんも初めて見る魔物だったけど、普通の獣タイプだから、解体のやり方がそう大きく変わることもないらしいです。


 当然ながら足手纏いでしかないショタの出る幕はなく、邪魔にならない場所でモルモットとウサギとハトを出して戯れる。


 タマねえもこっち側の人だと思ったのに、解体を覚えたいとのことで、お姉ちゃんズの方に行ってしまった。


 たぶんボクも解体テクは覚えた方がいいとは思うんだけど、本当に超絶非力ショタだから、何一つ出来ないに決まってる。


 こればかりは、試すまでもなく明らかなんですよね・・・。


 まあ、誰も7歳児のお子様に期待なんかしていないので、とりあえずショタのうちはお姉ちゃん達に甘えていようと思います!



 ―――――解体は2時間くらいかかった。



 すぐにでも手袋を作ってもらうために、バッファローだけじゃなく、グルミーダの解体も終わらせたみたい。


 タマねえに『鋼扇屋』の包丁を貸してあげたんだけど、とても切れ味が良くて使いやすかったって言われた。


 他の人も包丁の切れ味に驚いてたみたいだけど、いつものナイフと形が違うから失敗しそうだということで、結局普段通りにやったらしい。


 いくら切れ味が良くても、ぶっつけ本番で失敗こくわけにゃいかんもんね~。

 大事な手袋だからこそ、いつもと違った行動はとらない方がいいのだ。


 ただ解体後の肉はカチカチらしいから、牛肉を食べるのは明日にしようってことになった。


 『だったらじっくり熟成させた方がいいんじゃない?』って言ったんだけど、魔物の肉は魔力があるせいか、何日か寝かせてもあまり変わらないらしい。美味い肉は最初から美味いし、臭い肉は何をどうしようが臭いみたいです。



 ということで、あとは冒険者ギルドに『マーダーハウド』を持って行けば依頼達成なんだけど、北門は貴族用で一般市民は使えないから、結局西門から街に入って中央区まで歩かねばならない。


 ・・・ほんとコレ何とかしてほしい。


 未開の地が危険ってことで、北門を伯爵軍の兵士で守るためにこういう作りにしたんだろうけど、冒険者からしたら不便でしかないんだよね。


 貴族街を冒険者が歩くのが気に入らないから貴族専用の門なんだろうな~。まあこっちも貴族なんかに絡まれたくないから、北門は無い物として考えた方がいいか。



 そんなわけでボク達一行はトナカイに乗り、普通に西門に向かって歩いていた。



「でもあの手袋、めっちゃカチカチだった」

「そういや、クーヤはあんなのどうやって倒したんだ?」


 ん?


「カブトくんを飛ばしただけだよ?ああ、最初は光ってなかったから倒せたのかも」

「近寄ったら硬化するって話だからね~。遠くから倒すのが攻略法なのかな?」

「やっぱり何か魔法を使ったんでしょうか?」

「だろうね~」

「おおーーーーー!タマも手袋光らす!」

「いや、手袋になっちまったらもう無理だろ」



 今の話を聞いて感心したタマねえが、手袋を光らせようとウンウン唸っている。



「にゃははは!本当に光ったら面白いけどね~」



 ペカッ!



 あ、光った。



「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」



 

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