第255話 ラグナスレイン
―――――構成員A視点―――――
バタン
・・・ん?
さっき慌てて飛び出して行ったガイアの兄貴が帰って来たんかな?
いい感じの黒眼鏡が出来たんで一応報告しとくか。
カツッ カツッ カツッ カツッ
「ブホッ!!」
何だありゃ!?ガイアの兄貴かと思ったら、殺し屋じゃねえか!!
ヤベえぞ、どうする!?
って考えてる暇なんかねえ!仲間を呼ばないと殺される!!
「おう、デレク。今帰ったぞ」
ちょっ!なぜ俺の名を知っている!?
いや待てよ?今の声って・・・。
「もしかして・・・ガイアの兄貴っスか?」
「はあ!?見りゃわかんだろ!・・・あ、この格好じゃわかんねーか」
カツッ カツッ カツッ カツッ
こっちに歩いて来た殺し屋が、俺の目の前で止まった。
遠くで見るよりも怖いんスけど!!
―――――殺し屋が黒眼鏡を外した。
「ガイアの兄貴じゃないっスか!!」
「だから、そうだっつってんだろ!!」
「いきなりそんな格好でアジトに入って来たから、殺し屋が襲撃して来たかと思ったじゃないっスか!あ~ビックリしたーーーーー!」
「お前には俺が殺し屋に見えたのか。フム・・・、どうやら意図せず威圧感が溢れ出てしまったようだ」
いや、だから何なんスかホントに!!
「正面からですらプレッシャーを感じたってことは、背中を見せたら小便を漏らしてしまうかもしれんな。こりゃ迂闊に背中を見せられねえぞ・・・」
「そんなこと言われたら、逆に気になってしゃーないんスけど!」
「見せてやってもいいが、小便漏らすなよ?」
「漏らすわけないじゃないですか!!」
「んじゃ見せてやっから3歩後ろに下がれ」
よく分からんけど、言われたように3歩下がった。
「刮目せよ!」
そう言うと、兄貴が後ろ向きになった。
「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」
兄貴の背中に描かれていたのは、非常にリアルな骸骨だった!
いや、ローブを着た骸骨か・・・。もしかしてこれって
小便を漏らすなって言われたけど、それよりもメチャクチャ格好良いぞ!!
こんな凄い服、一体どこで手に入れたんだ!?
あーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
そうか!この服を手に入れる為に、慌ててアジトを飛び出して行ったのか!
「ヤバい!格好良すぎる!!こんな凄まじい服、初めて見ましたよ!」
「ん?なんか思ってた反応と違うな。小便漏らすんじゃなかったのか?」
「ガイアの兄貴だって分かってるんだから漏らしませんよ!それよりも服の凄まじさに感動してます!」
「流石だな。お前にもこの服の良さが分かるか!」
「マジでカッケエ!こんなのどこに売ってたんスか!?」
「どこにも売ってねえぞ。コイツは俺専用の特別装備だ」
「エエエエエーーーーーーーーーー!?」
店に売ってないのかよ!俺もこんな服が欲しかったのに!
「だがもう一つの服の方なら『ラグナスレイン』のメンバーに限り、俺が注文してやってもいいと思ってる」
「ウチの組織限定っスか!?えーとそれって、兄貴が持ってる紙袋の中にあるんスよね?もう一つの服の方も見たいです!!」
「フム、良かろう。鏡のある部屋に移動するぞ」
「ハイ!」
ガチャッ
部屋のドアを開けると、ハルがソファーに座って寛いでいた。
「おうハルもいたか。面白いもん見せてやっからコッチに来い!」
「あ、ガイアさんお帰りなさ、・・・え?なんかメチャメチャ格好良い服を着てません!?えーと、面白いモノですか?」
ハルが近寄って来た所で、ガイアの兄貴が紙袋から服を取り出した。
革で作られた黒い上着だが、兄貴が着ている服より丈が短いな。
「前から見てもかなり格好良いが、ヤバイのは背中に描かれた絵だ!」
兄貴が服を裏返すと。この服にも死を
「「おおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーー!!」」
こっちの服もスゲー格好良いぞ!!
確か『ラグナスレイン』のメンバー限定で手に入るとか言ってたよな?
値段は聞いてないけど、もうこれ買うしかなくね!?
「デレク、試着してみるか?」
「いいんスか!?もちろん着ます!」
「この上着の名前は『革ジャン』だ。覚えとけ」
「ほうほうほうほう!」
兄貴に手渡された『革ジャン』を着てみた。
「おーーーーー!スゲー似合ってるじゃねえか!」
「マジっスか!?着心地も最高ですよ!」
鏡を見ると、想像以上に格好良い俺が映っていた。
兄貴の服とは違うけど、コイツも全然負けてねえじゃん!
クルっと振り返って背中を確認すると、後ろ姿の格好良さが天元突破していた。
「何なんですか、このメッチャ渋い骸骨は!?凄い!本当に格好良い!」
「思った以上にヤベーな。自分がコレを着て街を歩いてる姿を想像してみろ」
「コレを着て街を!?」
・・・最高すぎる。間違いなく他の組織の奴らが震え上がるぞ!
「よし、ちょっとハルも着てみろ!」
「それってデレクの服じゃないんですか?」
「いや、そいつは試着用の革ジャンだ。さっきデレクにも言ったが、もし気に入ったら『ラグナスレイン』のメンバー限定で注文を受け付けるぞ!」
「ラグナス限定で!?」
革ジャンを渡すと、早速ハルが革ジャンの袖に腕を通した。
「おお!ハルも革ジャンが似合う男だったか・・・」
「マジでスゲー似合ってんじゃん!」
「ホントですか!?」
鏡の前でクルクルと後ろ姿を見たり、黒眼鏡を着用して似合ってるか聞いているハルの姿を見て、コレを買わないなんて有り得ないということが分かった。
「「買います!!」」
ウンウンと頷いたガイアの兄貴が『これ程の服だから10万ピリンするぞ?』と言ったけど、どう見ても高級な革で作られてるから決意が揺らぐことは無かった。
俺の革ジャンが届く日が待ち遠しいぜ!!
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