第247話 最後の買い物はガントレット?
タマねえの胸当てのデザインも決まって、アイリスお姉ちゃんの革の鎧に取り付ける鉄のビキニも、満足のいくモノが見つかったようだ。
これで三人の装備品が美しくなることが確定したんだけど、そうなると一周回って、プリンお姉ちゃんはどうするのかと視線が集まった。
「私はもうすでにドレスが
たしかにドレスアーマーってのは、銀の煌めきがあってこそ映えるんだよね!
変に色を塗っちゃうと、ドレスの色と合わなくなるかもしれないしな~。
「確かにプリンアラートの場合は、鋼ありきの調和された美しさと言えるな」
「ドレスが三色あるって言ってたよね?装備品に色を塗ったら逆効果かも!?」
「私も今のままで良いと思う!」
「すでに完成されてるから、いじらない方がいい」
というわけで、プリンお姉ちゃんはすでに完全体でした。
あとは、タマねえのガントレットをどうするかだな~。
「タマねえ、ガントレットも買わなきゃ!」
「忘れてた!」
「ガントレットなあ・・・。アレは自分に合うヤツを探すのが大変だぞ?」
「ほとんどの人が妥協して使ってるよ」
「みんな手の形も指の長さも違うからね~」
「私は騎士団にいましたので、自分の手に合わせて作ってもらいました!」
「なるほど!騎士団なら装備品に金は惜しまないよな~」
そんな会話をしながら、ガントレットコーナーに移動。
「右が女性用だ」
「お?結構品数が揃ってるじゃん。でもタマの細指に合うヤツなんてあるか?」
「とりあえず試着してみる」
ブロディさんに教えてもらいながら、タマねえがガントレットを装着した。
・・・でも何だかしっくりこない顔をしている。
「クーヤ、バール出して」
「アイアイサー!!」
いつものように空中に出したバールを、タマねえが華麗にキャッチした。
ブンッ
「んーーーーー」
ブンッ
「すごく気に入らない。ガントレットが邪魔」
タマねえが、ガントレットを外してしまいました。
ブンッ!
「しっくりきた!」
「そりゃそうだろ!いつもと同じなんだから!」
「どういう風に気に入らなかったの?」
ブンッ!
「手が重いから、身体がもっていかれる感じ?」
「そういうことか・・・。おそらく攻撃に重さはプラスされるが、振り下ろした直後に大きな隙が生まれてしまうかもしれんな」
「慣れれば対応出来るようになるんじゃない?」
「でも気に入らない装備品を着用してると、それがストレスになるかも・・・」
「私はむしろ重量感が欲しかったので、人によって合う合わないがあるのかもしれませんね~」
「こっちのガントレットなら軽いぞ?」
次にオススメされたガントレットを、タマねえがしぶしぶ装着した。
ブンッ
「んーーーーー」
ブンッ
「やっぱりダメ。すごく気に入らない」
やっぱり気に入らなかったようで、すぐに外してしまった。
「たぶんタマねえは、腕が重いのがダメなんだと思う」
「気持ちはわかるぜ!アタシもガントレットが好きじゃないから、革の手袋とアームガードを着けて戦ってるしな」
「もうレオナと同じ感じでいいんじゃない?」
「フム・・・。軽いのがいいならコイツはどうだ?」
―――――ブロディさんが指差したのは、肘まである黒い革の手袋だった。
「!?」
タマねえの方から『キュピン!』って聞こえたような気がした。
ブロディさんに手渡された革の手袋を、タマねえが装着する。
ブンッ!
「いい感じ!」
ブンッ! ブンッ! ブンッ!
「全然滑らない!これ買う!!」
「ヨシ!これで一安心だな!」
「ちょっと待ったーーーーーーーーーー!!」
しかし、決まりかけたところでレオナねえが割って入った。
「その手袋ってまだあるか!?アタシも黒い革の手袋が欲しい!!」
「あ~、肘まであるタイプはそれで売り切れだ。『グルミーダ』の革を使ってるから希少品なんだよ。だが手首までのヤツならあるぞ?」
「へーーーーー!『グルミーダ』の革って真っ黒だったのか!手首までのヤツでいいから見せてくれ!!」
革の手袋を受け取ったレオナねえが、それを両手に装着した。
「カッケーーーーーーーーーー!大きさも問題なし!買った!!」
「毎度あり!!」
「あ、待てよ?折角だからアームガードにも色を塗ってもらうか・・・。クーヤ、あの服に合うようにデザインしてくれないか?」
「もうココまで来たら、やるしかないじゃないですか!」
「わははははは!悪いな、頼むわ!」
とりあえず、レオナねえがテーブルに置いたアームガードを紙に描き写した。肩から指の先まで真っ黒なので、炎柄か真っ赤にするのが良さそうだけど・・・。
・・・いや、違うな?
もうすでに中二病ファッションとして完成してるのだから、自らを主張せず、ここは引き立て役に徹してもらおう。
アームガードは真っ黒にし、銀の金具を四つ並べたようなデザインにした。実際に金具を付けると戦闘の邪魔になるだろうから、あくまでもそういうデザインです。
「完成です!」
絵が完成するのを待っていたレオナねえが、ボクのすぐ後ろに立った。
「ん?なんか服と比べるとイマイチじゃね?」
「もうレオナねえの服は完成されているのですよ。あまり派手に主張すると全体的に野暮ったくなるので、この子には裏方に徹してもらうのです」
「なるほど!!」
「うはっ!クーヤちゃんのセンスが神すぎる!」
「目から鱗だよーーーーー!」
「クーヤは鱗かわいい」
「いや、それは全く意味が分かりません!!」
思わずプリンお姉ちゃんがツッコミを入れてしまうほど、『鱗かわいい』は理解不能ですぞ!
「よし、これで全員買う物が決まったな!」
「完成が待ち遠しいよ!」
ようやく注文が決まって、ブロディさんが口を開いた。
「塗料を塗ったり金枠を付けたりだから、完成まで少し時間が掛かるぞ?」
「ああ、それは大丈夫だ!装備品以外にも服を注文してるから、そっちが出来上がるまでどうせ時間が掛かるしな。だから急がず丁寧にやってくれ!」
「わかった。完璧な物を渡すと約束しよう!しかし今日は本当に考えさせられる一日だったな。お前さん達がこの防具を装着して街を出歩いたら、オシャレ装備を求めて客が殺到するかもしれん・・・」
「ハハッ、そうかもな!アタシら絶対自慢するし!!」
「いいデザインをいっぱい考えとかなきゃだね~」
「ウーーーム、しばらくその子を貸してもらえないか?」
「ダメ。こう見えてクーヤは毎日忙しい」
「そうか・・・、ならば自分で何とか考えてみるしかないな」
というわけで、後は服と装備品の完成を待つだけとなりました!
格好良くなった仲間達との次なる冒険が楽しみですね!
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