第237話 とうとうショタが先生に!

 言葉は分からなかったものの、初めてのアニメに感動した腐女子達は、『抱きしめて!僕の王子様』というBLアニメを、30分近く集中して見続けた。


 しかし吐血していたせいで気付かなかったのか、実はこのアニメって前後編に分かれていたので、『後編へ続く』って文字が見えた時点でDVDを一旦停止させた。


 アイテム召喚の時間が毎日どんどんズレていってるのもあって、もうみんな寝る時間なのですよ。腐女子達は興奮して眠れないかもですけどね~。



「え?これで終わりなのですか!?」

「何言ってるのか分からなかったけど、たぶんまだ途中だったよね?」

「ううん、終わりじゃないよ。まだあと半分残ってるんだけど、あの時計を見て下さい!そろそろ寝ないと、明日大変なことになっちゃいます」

「ああっ!もうこんな時間だったですか!」

「クーヤくん!続きが気になって眠れそうにありません!!」

「ティアナ姉ちゃんの部屋にポータブルDVDプレーヤーを持っていっていいよ。二人とも学校お休みなんだよね?それなら部屋に戻って続きを見ながら寝ても全然オッケーだし、まあ好きなようにしてください!」



 電源スイッチのオンオフだけでも十分そうだけど、一応再生ボタンと停止ボタンの説明をしておく。もし壊しても召喚し直せば完全復活するので、その辺にあるボタンをテキトーに押しまくっても大丈夫って伝えといた。



「うっひょー!『抱き僕』を見ながら寝るなんて幸せ過ぎる!!」

「あとは言葉さえ分かればなぁ・・・。まあそれは明日だね」



 モコねえが『抱き僕』と略してますが、プロ腐女子だからではなく、『タイトルなげーよ!』と思ったショタが適当に略したのを使っただけです。


 この世界の言葉の方で略したから本当はちょっと違うんだけど、イイ感じに略したのがお気に召したのでしょう。



 というわけで、ポータブルDVDプレーヤーはティアナ姉ちゃんが大事そうに抱えながら自分の部屋に運び、タマねえとプリンお姉ちゃんは家に帰って、本日はお開きとなりました!






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 翌日。


 少し寝坊してリビングにやって来たティアナ姉ちゃんとモコねえが、日本語を教えてほしいと懇願してきた。



「クーヤくんって、この国の言葉を勉強し始めてから、1ヶ月後にはもう普通に会話をしてたよね?」

「どうだっけ??正確には覚えてないけど、たぶん言葉を習い始めてから1ヶ月後くらいにこの家に来たような気がしますね~」

「あ~~~~~!そういえばウチに連れて来たのってそれくらいかも!んじゃやっぱり1ヶ月で言葉を覚えたんだよ!」

「クーヤ様、凄すぎないですか!?ゼロから言葉を覚えるのなんて、1年以上かかっても全然おかしくないと思うのですよ!」


 あの頃はボクも必死だったからね~。


「やる気の問題じゃないですかね?本気になれば人間は何だって出来るのです!」

「実際に成し遂げた人が言うと、すごく説得力あるな~」

「それならわたし達にも出来るハズ!『抱き僕』にかける情熱は、クーヤ様の本気に引けを取らないですよ!」

「うん!たとえ物覚えが悪くて半年かかっても、絶対言葉を覚えるまで頑張るつもりだよ!」


 確かに、この二人のBLに対する情熱は本物だ。転生者という謎生物のボクよりは時間が掛かるかもしれないけど、普通の人より早く日本語をマスターするかもね。


「二人の熱意に心を打たれました。日本語を教えましょう!!・・・というか、ティアナ姉ちゃんには言葉を教えてもらったのに、断れるわけないです!」


「「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 ―――――ティアナ姉ちゃんがBLアニメを再生した。



「ちょっと待ったーーーーーーーーー!翻訳はまだ先の話です!!」


「「ええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーー!?」」



 ダメだこの腐女子共・・・。

 目先のBLアニメのことしか考えてねえ!


 というわけで、前にアイテム召喚でゲットした大きな白紙に五十音を書いていく。そして『あ』の横にこの世界の『あ』と書き、それを『ん』まで完成させる。


 まだ文字を教えるつもりはないけど、日本語の基礎を知ってもらわなきゃならないので、コレだけは必要でしょう。


 そして説明をしようと思い後ろを振り返ると、タマねえとプリンお姉ちゃんとリリカちゃんも腐女子達の横に並んでいて、勉強する気マンマンの態勢だった。



「え?そっちの三人も日本語を勉強するの?」


「おそらくクーヤは近いうちに違うアニメを召喚する。今から勉強をしておけば、その時になって慌てなくてもよくなる」

「天使様の国の言葉を覚えれば、この先必ず役に立つと思いました!」

「リリカもーーーーーーーーーー!!」


「見上げた心掛けです!ボクがこのままアイテム召喚を続けていけば、間違いなく日本語の重要性が高まることでしょう!」



 タマねえとリリカちゃんは、すでにクエクエ効果でバイリンガルに育ちつつあるので、意外とすんなり頭に入って来るかもしれませんね。



 壁に五十音の紙を貼り付けた。



「ではこの表を見て下さい。日本語というのは、母音が5音、子音が13音しかないのが特徴です。『あ』『い』『う』『え』『お』の五文字が重要で・・・」



 こうして、クーヤちゃん先生による日本語教室が始まった。


 しかし生徒の中にリリカちゃんがいるので、幼女にも理解出来るように教えるのが地味にメチャクチャ大変かもしれない・・・。


 でも幼女だからこそ吸収力も大きいと思うので、将来的に一番頼りになる人材に育つかもですよね!



 ・・・うん、がんばろう。




※ 勉強の話は筆者も読者も辛いので今回限りかな?

  こんな感じで勉強を教えてますよという説明回みたいな話でした。

 

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