第231話 グリフォンの鞍が完成!

 最近我が家で大流行しているのは動画撮影だけじゃなく、実は『スーパーマリモブラザーズ』もだった。


 スーパーマリモに1番ハマってるのはもちろんリリカちゃんなんだけど、プリンお姉ちゃんがリハビリのためにゲームをして遊んでいたのが切っ掛けでみんなが興味を持ち、普段それほどゲームをやらないティアナ姉ちゃんまでもがピコピコ遊んでるくらい大流行してしまったのだ。


 流石は全世界で大ヒットした伝説のゲームです!


 もっと新型の家庭用ゲーム機を手に入れることが出来れば、全てにおいてパワーアップした凄いマリモブラザーズを遊ばせてあげられるのにな・・・。


 まあゲーム本体だけじゃなく、その本体に対応したゲームもピンポイントで入手する必要があるから、遊ぶまでの道のりは長く険しいんですけどね。



 そして今日もみんなで楽しくゲームをして遊んでいると、来客をお知らせするブザーが室内に鳴り響いた。



 ブーーーーー



「あ、誰か来たよ?」


「はいは~い!」



 お母さんがスリッパをパタパタ鳴らしながら玄関に行くと、とっても聞き覚えのある声が聞こえてきた。



『こんにちは、お久しぶりです!』

『あら~~~!ライガーちゃんいらっしゃい』

『いや、ライガーちゃんって・・・。えーと、クーヤとレオナはいますか?』

『中でゲームをして遊んでいるわよ~。ほら上がって上がって~!』

『お邪魔します』



 ガチャッ



「おっ、二人ともいるな!グリフォンの鞍が完成したんで知らせに来たぞ!」


「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」」


 ライガーさんがこっちに歩いて来て、ピコピコ音が鳴ってるテレビを見た。


「またよく分からん謎の遊びをしていたのか。しかしクーヤがいると家の中全体が謎アイテムで埋め尽くされるな。あと無駄に召喚獣を放し飼いにしているし」

「すーぱーまりもだよ!!」

「スーパーマリモと言われても、俺にはさっぱり理解出来ん!」


 言われてみると、確かに我が家はちょっとだけカオスな気がしてきた。家電まみれだし、デカいペットはいるし、ハムちゃんはピョコピョコ歩き回ってるし。


 リリカちゃんが一生懸命マリモの説明をしているけど、ゲームをやる暇があったら筋肉を鍛えるのがマッチョという生き物だ。完全に相反してるので無駄だろう。


「よし、グリフォンの鞍を受け取りに行こうぜ!アイリスとナナに、今すぐパンダ工房に向かうよう伝えてくれ」

「わかったー」



 アイリスお姉ちゃん達の専属ハムちゃんに文字を書かせて用件を伝えると、すぐに『了解!』の合図が返って来た。



「しかし召喚獣を使って人を呼び出すってのは感心するな。スズメだったか?俺もああいう小型の召喚獣を何体か欲しいもんだ」

「スズメちゃんはたしか・・・、メルドアの森を越えた所にある岩場の辺りで手に入れたんだったかな?でもあの辺って魔物だらけだから危ないかも」

「だろうな。そもそも空を飛んでいる魔物を倒すってのが難し過ぎる。何か策を使えば入手可能なのかもしれんが」

「エサでおびき寄せるんだね!」

「そのエサで手に負えない魔物が寄って来たら、下手したら死ぬな」

「ダメじゃん!!」


 カブトムシさえゲットすることが出来れば、空飛ぶ魔物も倒せるんだけどな~。

 いや、そっちの方が遥かに難易度高いか・・・。


「そろそろ出発するぞ~」

「「あいあいさーーーーー!!」」



 というわけで、ボク・レオナねえ・タマねえ・プリンお姉ちゃんといういつものメンバーにライガーさんを加えた五人は、トナカイに乗ってパンダ工房へ出発した。






 ************************************************************






「あっ、来た来た!」

「なんかマッチョが一人混ざってない?」

「ライガーさんだね」


 アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんはすでに到着していたようで、これで悪そうなお兄さんを除く『牛丼愛好会』のメンバーが、パンダ工房に集結した。


 そういえば、ライガーさんにも牛丼を御馳走してあげなきゃな。


「オッス!」

「私達を呼び寄せたってことは、グリフォンの鞍が完成したってことかな?」

「大正解!あ、そういや鞍はどこにあるんだ?」

「屋内だ。案内するから俺について来てくれ」


 パンダ工房に入ると、フロントにラン姉ちゃんがいた。

 そういやアレから1週間以上経っているな。


「よし!レオナねえ、回収だ!」

「何を回収すんだよ?」

「このヘンテコな時計を?御冗談を!アーーーーッハッハッハッハッハ!!とか言ってた人がいましたよね?」

「あ~~~~~、いたな!!」


 レオナねえが工房の入口に掛けてあった時計を外し、元の時計に戻した。


「ええええええええええ!?何で元に戻しちゃうのよ!!」

「だってさ~、前にボクがこの時計に変えた時、みんな嫌がってたし?」

「おいクーヤ!ようやく慣れてきた所なのに、それを持っていくのかよ!」

「とりあえず回収します!この先どうなるかは・・・ラン姉ちゃん次第です!」

「ぐぬぬぬぬぬぬ!」



 唸ってるラン姉ちゃんは放っておいて、ボク達は工房の奥へと移動した。



 ガチャッ



 ドアを開けると、そこは天井の高い大きな作業部屋だったようで、中にはパンダ工房に貸し出したグリフォン10号がいた。そしてベイダーさんが背中に乗っていた。


 最終確認してるとこかな?



「連れてきたぞー!」


「早かったな。よし!実際に飛んでみて乗り心地を試してもらうか」


「そうだな。俺達が乗っても問題なかったとはいえ、体形が違うから不満な点が出るかもしれん」


「うむ。一応乗り手に合わせて調整出来るようにはしてあるが、乗るのがクーヤくらい小柄な人物となると少し心配だ」



 マッチョ二人の会話を聞きながら、前回試乗した資材置き場まで移動した。



「じゃあ人数分のグリフォンを呼び出してくれ」

「あい!」



 グリフォンを5体召喚すると、マッチョコンビがそれぞれのグリフォンの頭に鞍を被せていった。


 前面部分がグリフォンの胸の辺りにフィットしていてすでに良い感じだけど、ベイダーさんは更にそこから伸びているベルトを背中の鞍にガチャッと嵌め込んだ。


 上手いこと羽ばたく時の邪魔にならないポイントを見つけたらしく、これによって鞍がしっかりと固定されたということですね!流石の職人技だ。


 ちなみにプリンお姉ちゃんはまだちょっと無理なので、今回は見学です。



「クーヤ、鞍に乗ってみてくれ」

「あい!」


 ベイダーさんに、グリフォンの背中に引き上げてもらった。


「そこに跨って、この部分に足を乗せるんだ」

「あい!」


 教えてもらった通りに座ってみると、ベイダーさんが適当に調整した段階でもうすでにジャストフィットしていた。


「すごい!ピッタリだよ!」

「結構適当に調整したんだがな!手はハンドル部分を握るのを推奨するが、何ヶ所か握れる所を作ったから、疲れないよう臨機応変に切り替えるといい」


 なるほど!確かにハンドル部分が一番安定するけど、ずっと同じ姿勢じゃ疲れちゃいそうだもんな。そこまで考えてあるとは、パンダ工房すげええええええ!


 ベイダーさんが、鞍に内臓されている道具入れから何かを取り出した。


「調整の必要が無いのなら次に進むぞ?このベルトを腰に巻いてくれ」

「そんな所に道具入れまであったのかーーーーー!」


 言われた通りにベルトを装着した。


「そして鞍のこの部分にガチャッと嵌める。これは命綱だから絶対に忘れるな!」

「おおーーーーー!ガチャッとするだけでいいとか、めっちゃ楽ですね!」


 鞍があるだけでこうも違うんだな・・・。というかパンダ工房に頼んだのが正解だったのだろう。何から何まで完璧すぎる!


「よし!後は実際に飛んでみて、満足してもらえるかどうかだな」

「もうすでに大満足です!でもやっぱり飛んでみなくちゃね!」



 周囲を見回すと、レオナねえがライガーさんの説明を受けながら笑顔で話してる姿が見えた。命綱を付けているから、向こうも準備完了っぽいね。



 んじゃ早速、レオナねえと一緒に乗り心地を試して来ますか!

 

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