第229話 スーパーマリモブラザーズ

 セルパト連邦から帰って来て、早速みんなにお土産を配ってからサングラスの特許を取りに役所へ行き、パンダ工房にグリフォンの鞍の注文をしてからクリスお姉ちゃんの職場で服を購入し、ドレスアーマーの注文もした。


 やることいっぱいで大変だな~と思ってたけど、とりあえず必要な物の注文は全部終わったかな?


 あとレミお姉ちゃんに頼んであった時計もほとんど受け取ったので、今日はアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんが時計を受け取りに来ることになってる。


 すでにウチとタマねえの家とパンダ工房と孤児院に設置してあるから、残るは悪そうなお兄さんの分だけか・・・。まあ頃合いをみてお届けしよう。


 というわけで、後は依頼品が出来上がるのを待つだけって状態になったので、最近はゲームなんかをして、まったり遊んで過ごしています。



 ♪デデッデッデデデデッ



 リリカちゃんの操るマリモが、歩いているタコをやっつけながらどんどん進んで行き、土管の中に入って行った。



「おおおおおーーーーーーーー!コインがいっぱいだ!!」



 ♪チャリーン チャリーン チャリーン チャリーン



 土管の中にはコインがたくさん浮いており、マリモがピョンピョン飛び跳ねてそれを全部回収。そして次の土管の中に入ると、また地上の世界に戻って来た。



 リリカちゃんが遊んでるゲームは『スーパーマリモブラザーズ』なんだけど、実は最初やった時に即死しまくったのがトラウマで、今までずっと封印してたのだ。


 でも数々のゲームでテクニックを磨いたリリカちゃんは、即死しまくった昔とはまるで違っていて、完全にトラウマを克服した。


 予想外の健闘に、もう一つのコントローラーを握りしめているプリンお姉ちゃんの順番がなかなか来ないけど、ゲーム初心者の彼女も楽しそうにリリカちゃんのプレイを眺めている。


 彼女はまだ初代マリモのレクチャーを受けたばかりのバリバリの初心者なんだけど、テレビゲームという摩訶不思議な遊びに興味津々で、意外とゲームにハマってしまいそうな予感がしますね!


 まだ右手が上手く動かない状態だけど、ボタンを押すくらいの動きなら可能だったので、遊んでるように見えて実はリハビリも兼ねているのです。



 ♪デデッデデデンデデンデンデデン



「あーーーーーーーーーーっ!やられちゃったああああああ」


「次はプリンお姉ちゃんの番だね~」

「私ですか!?頑張ります!!」



 ♪デデッデッデデデデッ



 プリンお姉ちゃんの操るルイジがテケテケ歩いて行き、最初のタコと対峙した。


 まあ即死だろな~と思って見ていると、意外にもジャンプしてタコを踏んづけこれを撃退。どんどん先に進んで行って、リリカちゃんが入った土管を通り過ぎた。


 ジャンプをミスってブロックに頭をぶつけてしまうと、偶然にもそのブロックから『タケノコ』が出現し、前方にスーッと流れて行ったタケノコが土管で跳ね返り、ルイジの方に向かって来た。


「そのタケノコは、ジャンプで避けないで食べるといいよ!」

「た、食べるんですか!?変な物を食べたらお腹壊しません?」

「たけのこひめ!!」

「ゲームなんだから、そういうのは深く考えちゃダメ!」

「ほえええええええええ~~~~~」



 ♪ミョンミョンミョンミョン


 タケノコを食べたルイジが大きくなった。



「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」



「天使様!食べたら大きくなりました!!」

「大きくなったら敵にぶつかっても一撃耐えられるようになるんだよ!小さいルイジに戻っちゃうけど」

「すごい!めちゃめちゃおもしろーーーい!!」

「スーパーマリモがこんなに奥深いゲームだったとは、タマにも予想外」

「不屈の名作ですからね!!」



 みんなが楽しそうにゲームをしている姿を見ていたら、何枚か写真に撮っておきたくなったので、カメラを持って来た。



 パシャリ パシャリ パシャリ



「天使様、それは何ですか?」

「カメラだよ!説明すると長くなるから、後で見せるね~」

「えーと・・・、よく分からないけど分かりました」



 ・・・いや待てよ?



 そろそろ動画撮影機能を解禁してもいい頃なんじゃなかろうか?

 最近みんな写真を撮らなくなってきたし、今こそ新機能を披露する時だろう。


 説明書で使い方を調べてから、動画撮影モードに切り替えてみた。

 今までやろうとしてなかっただけなので、実は超簡単でした。


 ゲームに夢中になっているリリカちゃんの姿を撮りながら、ゲームの邪魔をしないように正面側に移動し、楽しそうにしている三人を録画していく。



「カシャッて聞こえないけど、クーヤは写真撮ってるんじゃないの?」

「へへーーーん!今日はいつもと違うことしてるんだよ!」

「違うこと?」

「ちょっと待っててね!」



 録画したままカメラを固定し、ショタも画面内に飛び込んだ。



「ペカチョウもこっち来て!あのカメラに向かってハムちゃん体操だ!」


『チュウ?』


 リクエスト通りにちょっとだけ体操してくれたけど、意味不明すぎてすぐヤメてしまった。まあハムちゃん体操は別の機会に撮ろう。


「あーーーーー!やられちゃったよ?」

「天使様が意味不明なことをしているので、全然集中できません!!」

「よし、そろそろ十分かな?」



 動画撮影を終了し、ちゃんと動画が撮れているのか確認する。



『カシャッて聞こえないけど、クーヤは写真撮ってるんじゃないの?』

『へへーーーん!今日はいつもと違うことしてるんだよ!』

『違うこと?』

『ちょっと待っててね!』


 カメラからさっきの会話が聞こえたので、驚いた全員がこっちを見た。


「なに!?」

「今の声って、天使様とタマちゃんのさっきの会話ですよね!?」


『あーーーーー!やられちゃったよ?』

『天使様が意味不明なことをしているので、全然集中できません!!』

『よし、そろそろ十分かな?』


「えええええええ!?いまのってリリカのこえ!?」

「凄い!!カメラの中でみんなが動いてる!!」

「こ、これは!?最新式の魔道具なのですか!?」



 もうみんなゲームどころではなくなってしまったので、一旦ゲームをやめてデジカメをテレビに繋げた。


 そして大画面で動画を再生する。



「なにこれーーーーーーーーーー!!」

「写真が動いてる!!」

「これは一体何なんですか!!ええ!?アレって私ですか!?」

「実はこのカメラってね、写真だけじゃなく動いてる姿も撮ることが出来るのですよ!」


「「えええええええええええええええええええええええええええ!?」」



 にゃははははははは!やっぱりみんなメチャクチャ驚いてる!!

 あとで他の家族達にも見せてあげよーっと!

 

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