第227話 プリンお姉ちゃんに暴露される

 ドレスアーマーに興味津々のプリンお姉ちゃんに、クリスお姉ちゃんと一緒になって、女性なら実用性だけじゃなく華やかさも必要だと熱く語った。


 盗賊との一件があったばかりだから、プリンお姉ちゃんは防御力が低下することが気になっているようだったけど、美しい鎧に興味深々だったのも事実なので、防御力が低下するデメリットだけじゃなくメリットの方も考えてみる。



「そもそもフルアーマーに身を固めるプリンお姉ちゃんの戦い方って、騎士団ならではともいえる戦争を意識した戦い方だと思うんだよね。防御をガチガチにして大きな盾を持って、集団でじわりじわりと前へ進んで行く感じでしょ?」

「そうですね。確かに私が徹底的に叩き込まれたのは、集団での戦い方と仲間との連携が中心でした。・・・ん?天使様は何で戦争のことまで詳しいのですか!?」

「それくらい紳士の嗜みです。というかボクのことはどーでもいいのです!」

「本当に不思議な人ですよね~!こんな小さいのに」

「不思議生物のクーヤくんだからね~」

「クーヤは知的かわいい」


 ぶっ!『知的かわいい』とか、その組み合わせを聞いたのはたぶん初めてだぞ!


「とにかく!プリンお姉ちゃんは冒険者になったのですから、一人で集団戦をする意味が無いと思うのですよ。冒険者にもタンクを担当している人はいるけど、タンクって基本的にソロ活動なんかしないでしょ?」

「思えばそんなことをしていた冒険者って私だけだったかも・・・」

「タマねえを見て下さい!」

「ん?」


 お姉ちゃん達の視線がタマねえに向いた。


「どう見ても普段着ですよね?でもタマねえは、その格好のまま盗賊集団に突っ込んで行って、何人もボコボコにしていました。あと魔物の群れの中だろうが平気で突っ込んで行きます!」


「「はああああああああああああああああああ!?」」


「要するに、当たらなければどうということはないのです!」

「いやいやいやいやいやいや!タマちゃん無茶し過ぎよ!!」

「普段着のまま、あの盗賊達と戦ったのですか!?」

「鎧なんて持ってない。バールさえあれば十分」

「ただボクも毎回ヒヤヒヤするから、せめて胸当てとガントレットくらいは装備した方がいいかも?」


「黒ポンチョアーマー!?」


「「ぷっ!!」」


 何だそれは!

 ネタ装備としか思えんけど、女の子が着ると可愛いかも!!


「少し予定変更だね。タマねえの装備も考えなきゃ!」

「でも黒ポンチョがメインなのだから、必要なのは防具の方よね?」

「あ、そうか!タマねえは普通に防具屋さんに行って、必要な防具を買うだけでいいのかも」

「でも重いと動きにくいから、買うのは最低限でいい」

「んじゃ帰ったらレオナねえに相談してみようか。今はプリンお姉ちゃんのドレスアーマーの方です!」

「何で黒ポンチョの話になったんでしたっけ?」


 そういや何でだ?


「ああ!ボクが言いたかったのは、その身軽さも大事ってことなの。レオナねえも鉄のビキニしか付けてないけど、メチャメチャ強いんだよ!」

「そういえば最初に見た時、そんな感じの格好でしたね~」

「装備を軽くすることで敏捷性が上がるから走り回れるようにもなるし、ドレスアーマーを着た状態で盾を持つのもアリだと思う」

「ほうほうほうほう!」

「それにね、可愛い恰好をすることで気分も高揚するから、いつも以上に力が出るかもしれないよ?」

「わかるわ!!新しい服を買って初めて着た時って、すごく気分が良いもの!」

「タマもわかる!まだ試着しかしてないけど!」


 自分がドレスアーマーを着ている姿を想像しているようで、プリンお姉ちゃんの目がキラキラしている。


「天使様の言う通りかもしれません!冒険者としての戦闘スタイルを見直す良い機会ですよね!?」

「うんうん!じゃあ決まりってことで、今からプリンお姉ちゃんの装備を出すから、絶対必要な装備品を教えてください!」



 ペカチョウを呼び出して、プリンお姉ちゃんの装備品を全部出した。


 そしてプリンお姉ちゃんがドレスアーマーの絵を見たりしながら、必要な物と無くてもいい物を振り分けていく。


 一番重要なのはビジュアルだ。


 即死しなければ白ハムちゃんの治療で何とかなるってことで、最初にボクが言った[胸当て][ガントレット][グリーヴ]の他に、頭を守る[サークレット]など細かい物を数点だけ残し、美しさと敏捷性を優先することにした。



「プリンちゃんは女神の湯で湯治中だから、鎧は着ないわよね?何日か此処に預けてもらってもいいかしら?」

「えーと・・・、そうですね。剣が持てるようにならなければ戦えませんし、問題ありません」

「治りそう?」

「もう痛みも無いですし結構回復したと思います。本当に少しだけですが、最近は右手に力が入るようになってきたので、治るんじゃないかと思い始めました!」


「「おおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~!!」」


 そんなに良くなっていたのか!

 女神の湯スゲーーーーーーーーーーーーー!


「というかですね・・・、毎日天使様とタマちゃんにとんでもない場所まで洗われるので、早く治して自分で身体を洗えるようにしないと!」

「何それ?詳しく」

「えーとですね・・・」



 不意にプリンお姉ちゃんによる暴露が始まってしまい、タマねえと磨き上げた丸洗いテクニックの全てをクリスお姉ちゃんに知られてしまった・・・。



「・・・クーヤくん、タマちゃん」


「何かね?」

「なに?」


「今日は私も丸洗いを希望するわ!プリンちゃんだけずるいじゃない!!」

「ぶッ!!」


「えええええええ!そっち!?」

「えええええええ!今日は大変だーーーーー!」



 お嬢さま風のクリスお姉ちゃんを丸洗いですって!?

 叱られるのかと思ったら、自分も試すとか言い出すとは!!


 そういえばこの世界の女性達って、基本的にエロいんだった・・・。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る