第226話 プリンお姉ちゃん七変化
タマねえの買い物も終わり、そろそろ大変身しているであろうプリンお姉ちゃんを見つけようと店内を探し回った。
「あっ、部長発見!」
部長ですと!?
うぇええええええええええ!?クリスお姉ちゃん、部長に昇進してたのか!!
パンダ工房のラン姉ちゃん達が可愛い服で馬車を売りまくっていたから、噂が噂を呼び、『シェミール』のゴスロリ服やメイド服が大ヒットしたんだなきっと。
それにクリスお姉ちゃんは、アイテム召喚でGETしたファッション雑誌で異世界の服を研究しまくっていたから、この店の服だけやたらと垢抜けてるんだよね。
魔物のスタンピードで服をダメにした人が多かったのか、店内を徘徊するマダムの数が半端無いし、おそらく毎日服が飛ぶように売れまくってるんだろな~。
そりゃ昇進もするか・・・。
「みんな良いタイミングで来たわね!着せたい服も大体揃えたから、今からプリンちゃんのファッションショーを開催するわよ!」
「「おおおおおおおおおおおおお~~~~~~~~~!!」」
いつの間にかプリンちゃん呼びになってるし!
クリスお姉ちゃんの方が年上なのかな?誰も年齢を教えてくれないけど。
「ファッションショーって・・・、えええええええええ!私がやるのですか!?」
「私が用意した服に着替えて、指定したポーズをとるだけよ?簡単簡単~♪」
「簡単って・・・。いや、そういうことじゃなくて、恥ずかしいのですが!!」
「審査員はクーヤくんとタマちゃんだけだから、安心していいわよ!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!」
結局プリンお姉ちゃんはクリスお姉ちゃんに説得され、さっきとは違う場所にある試着室まで移動した。こっちの試着室は中が少し広いらしい。
シャーーーーーッ
「「おおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーー!!」」
試着室のカーテンが開くと、そこにいたのはお人形さんだった。
「ナニコレ、超可愛いのが出て来たんですけど!!」
「ワンピースだ!でもタマが買ったのと違ってドレスみたい!」
パッと見はドレスなんだけど、薄めの生地でそんなにゴワゴワした感じではなく、それでいて肩が露出していてカジュアル風なのです。
色は黒に近いブルーで側面だけ白い斬新なデザインだ。そしてスカートの先がひらひらのレースになっていて、たぶんそれでお人形さんって印象を受けるんだと思う。
プリンお姉ちゃんは銀髪美女なので、こんなのを着ちゃったらもう無敵です!
ここが日本だったら、芸能界にスカウトされるのはもう確実でしょうな~。
「ぺろぺろしていいですか?」
「お客様、当店でのぺろぺろ行為は禁止となっております」
「なにィ!?・・・いや、さっきマダムに死ぬほどぺろぺろされたんですけど!」
「有難う御座います。マダムへのサービスは売り上げに大きく影響しますので、定期的にご来店して頂けると助かります」
「絶対嫌です!」
「ぺろぺろって何なんですか!!と、とにかくこの服はちょっと恥ずかしいです」
クリスお姉ちゃんと漫才をしていると、顔を真っ赤にしたプリンお姉ちゃんのツッコミが入った。
「じゃあ次の服に着替えるわよ~!」
「やっぱりまだやるんですね・・・」
カーテンが閉まって、プリンお姉ちゃんの着替えタイム。
今までファッションショーとか全然興味なかったけど、これは楽しみすぎる!
シャーーーーーッ
「「おおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーー!!」」
そこにいたのは、黒いチャイナドレス風の服を着たエッチなお姉さんだった。
クリスお姉ちゃんの指示によって、プリンお姉ちゃんは腰に手を当てて前傾姿勢のポーズをとっているんだけど、服の特性上、ボディーラインが全部出ていてスタイルの良さが一目でわかる!
「ぺろぺろしていいですか?」
「お客様、当店でのぺろぺろ行為は禁止となっております」
タマねえがフラフラと試着室に近寄って行き、プリンお姉ちゃんをぺろぺろした。
「ひゃいッ!?」
「あっ!タマねえだけずるい!!」
「ちょ、ちょっとそこはダメです、あん!」
「お客様、困ります!あれ程ぺろぺろ行為は禁止だと・・・」
困りますとか言いながらもクリスお姉ちゃんの口端が上がっていたので、タマねえと一緒に思う存分プリンお姉ちゃんをぺろぺろした。
しかしすでにノックアウト寸前だったにも拘らずファッションショーは継続され、クリスお姉ちゃんに着替えさせられてはぺろぺろされるという無限ぺろぺろ地獄により、女騎士はまたもや屈することとなった。
プリンお姉ちゃんはフニャフニャ状態でポンコツ化していたので、タマねえの時と同じく、プリンお姉ちゃんの服の代金も紳士であるボクが支払い、次の依頼をするために企画室へと移動した。
あ~、ちなみに購入したのは実用的な服だけですよ。
◇
「ドレスアーマーですって!?」
室内にクリスお姉ちゃんの声が響き渡った。
「うん!服屋さんに鎧を作れとは言わないよ。作ってほしいのはドレスの方なの」
驚くってことは、やっぱりこの国にはお洒落装備が無いのかもしれない。
ボクが知ってる冒険者って、男女共に無骨な装備品を着用してたんだよね。
レオナねえだけは、私服に鉄のビキニというクッソエロい格好してるけど!
頭に思い浮かべていたドレスアーマーを正確に伝えるため、紙に絵を描いてクリスお姉ちゃんに渡した。わかりやすいように色鉛筆で色も塗りました!
「何これ!鎧のくせにメチャメチャ可愛いんですけど!!」
「ただプリンお姉ちゃんは基本的に重装備だから、これを着せたら防御力が結構落ちちゃうのが少し心配かな~?完全にビジュアル重視ですので」
「いいえクーヤくん、この可愛い鎧を着る為ならば、それくらいのリスクを背負うのは仕方ないと思うわ!!」
「でね、ドレスは赤と青と黒の3色作ってほしいの。見た目はゴージャスに、それでいて実は軽くて動きやすいってのが理想かな?」
「なかなか難しい注文ね・・・。でもコレはやり甲斐があるわ!」
「胸当てとガントレットとグリーヴは絶対必要なんだけど、あとは・・・プリンお姉ちゃんに直接聞いた方がいいか~」
未だにフニャフニャ状態のプリンお姉ちゃんを連れて来て、ボクがお絵描きしていた席に座らせた。
「はい、そろそろ復活しようか!今ね、プリンお姉ちゃんの新装備をどうするか、クリスお姉ちゃんと話し合ってる所なの」
「・・・え?新装備!?」
やはり装備品には興味があるのか、プリンお姉ちゃんの意識が戻った。
「普通の服はもう十分だから、次は戦闘用の服だよ!」
「クーヤくんが描いた絵を見てもらえる?」
「天使様が描いた絵・・・ですか?」
僕の絵を見たプリンお姉ちゃんの目がキラキラと輝きだした。
「これが鎧なのですか!!こんなのって・・・、え?可愛すぎません!?」
やっぱりエサに食い付いた!!
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