第220話 パンダ工房にお土産を持って行く
今日はちゃんと朝早く起きることが出来たので、クリスお姉ちゃんとティアナ姉ちゃんにいってらっしゃいしてから、レオナねえと一緒に外に出た。
まだ家から出てくるのが少し早かったので、ハムちゃん5体を呼び出し、みんなでハムちゃん体操をしていると、タマねえとプリンお姉ちゃんが合流。
1人だけ向かい合う形になっているペカチョウの動きをトレースするのが『ハムちゃん体操』なんだけど、今日のペカチョウは機嫌が良いらしく、新たに3種類ものモーションが追加されていて、更に難易度が跳ね上がった。
「あはははははは!みんなでハムちゃん体操してるよ!!」
「・・・あれえ?あんな動きあったっけ??」
アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんが、トナカイに乗ってやって来たようだ。
「ペカチョウが新しいのを3種類も追加しやがったんだ!」
「両手を広げて腕をフニャフニャさせるのは、アホっぽくないですか?」
「ペカチョウは絶対だから、ちゃんとやらなきゃダメ」
「プリンお姉ちゃんは左手だけでいいからね~」
「もう痛みはないので、リハビリも兼ねて頑張ります!」
「おおーーーーーーー!ちゃんと湯治の効果が出てるんだね!」
ちなみにハムちゃん体操をみんなが知っている理由は、セルパト連邦からの帰りにペカチョウが変な踊りをしてるのを発見して、クッソ面白かったのでボクが真似をしていたら、全員がやり始めたのが切っ掛けだからです。
不思議なことに適当に踊っていたワケではないらしく、毎回同じモーションをしてそれを繋げていくので、『ハムちゃん体操』として恒例の行事となったのだ。
新たに2名様が参加し、10分ほど新モーションの練習をしてからハムちゃんを全部消して、コピー屋さんに向かって出発した。
◇
ティアナ姉ちゃんに教えてもらった場所に行くと、そこにあったのは小さなお店だった。いや、お店というよりは事務所みたいな感じだね。
カウンターの中にいたおっちゃんに麻雀ノートを渡して、レオナねえがコピー枚数や紙質などを指定すると、『これくらいならすぐに終わるから、時間があるならそこに座って待っていてくれ』と言われたので、コピーが終わるのを待つことにした。
モコティー先生くらいの偉大な作家になると、依頼するコピー枚数も膨大な量になるので、後日受け取りに来るのが普通みたい。
あと表紙はどうするか聞かれたので、シンプルに『麻雀ルールブック』とだけ書いた紙をおっちゃんに手渡した。質素過ぎると思って、文字の下に緑色のインクが出るペンで一本だけ線を引いたけどね。
なんかクーヤちゃんの
この『ルールブック』はこの世界の文字で書いてあるんだけど、『麻雀』の文字をそのまんま漢字で書いたら、その珍しさからかすごく評判が良かったので、異世界なのに『麻雀』だけは漢字で認知されるかもです!
―――――そして10冊の『麻雀ルールブック』が完成した。
バラバラにならないよう側面を何かでくっつけてあり、ちゃんとした説明書みたいになっていたので、正直おっちゃんのテクニックに感動した。
流石は、モコティー先生オススメ店だけのことはありますね!
あんまり出来が良かったのでもう10冊追加依頼したら、おっちゃんも褒められて気分を良くしたのか、さっきより早い時間で追加分をササッと作ってくれた。
この内の一冊は
とにかくこれだけルールブックがあれば、ライガーさん達が麻雀にハマった時にサッと渡すことが出来るので、絶対無駄になることはないでしょう!
麻雀セットを作ろうとしている悪そうなお兄さんにも、量産するための真っ新なルールブックが必要だろうから、彼には二冊渡した方がいいかもだね~。ついでにこの店の場所を教えておけば、後は向こうで勝手に動いてくれると思う。
大満足したボク達は、コピー屋さんにお礼を言ってから、パンダ工房に向かって出発した。
◇
「レオにゃんにゃ!あれ?ししょー達もいるにゃ!!」
「よう!真面目にやってるようだな」
「ぺち子姉ちゃん、久々だね~!」
「ム!?見ない間に野生化してる。そろそろお風呂に入れなきゃ」
「うにゃっ!?お風呂は嫌いにゃ」
「どうしてまた風呂嫌いに戻ってんのさ!?」
結構長い間ぺち子姉ちゃんを放置してたからな~。
こりゃあ、連れ帰って丸洗いしなきゃダメですね!!
「ライガーさんとベイダーさんいる?」
「えーと・・・、今日はいるハズにゃ!」
「ナイスタイミング!お土産もあるから、ぺち子姉ちゃんも一緒に行こう!」
「お土産!?どこか行ってたにゃか?」
「1週間ほど旅行してたんだよ。それでみんなのお土産を買って来たの!」
「う~~~~~、でも仕事だからココを動くわけにはいかんにゃ」
「素晴らしい心掛けですな!用心棒の鑑じゃないですか。じゃあ代わりの用心棒を置いてけばいいってことだよね?」
ゴーレムを2体呼び出して、ぺち子姉ちゃんの代わりにパンダ工房入り口の警備をするよう頼んだ。
「カロリーゼロにゃ!!」
「これなら安心でしょ?じゃあライガーさん達の所に案内して!」
「うにゃ!たぶん社長室にいるにゃ」
ぺち子姉ちゃんの案内で社長室に行ったけど、そこには誰もいなかった。
「いにゃいにゃ。あっ、もうお昼だったにゃ!彼らの居場所は食堂にゃ!!」
「おっと、もうそんな時間だったか」
「コピー屋さんに寄って来たからね~」
馬車が大ヒットしたパンダ工房は今では大きな会社となり、建物も随分と立派になったので、社長室も広かったけど食堂もかなり大きかったハズだ。
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
「やっぱりお昼だったにゃ!こっちにゃ!」
ぺち子姉ちゃんに連れられ、社長専用テーブルの方へと移動。
「いたにゃ!しゃちょー、お客さんを連れてきたにゃ!」
「パンダ社長、お久しぶりでございます!」
『ブモ?』
「いやいやいやいや、なぜそっちに話し掛ける!?」
「クーヤじゃないか!最近見なかったが元気そうだな!」
「あっ、やっぱりクーヤだし!随分と久しぶりじゃない?」
お?歩いている所をラン姉ちゃんに見つかったらしい。
「1週間ほどセルパト連邦まで遊びに行ってたの!」
「連邦の1番東にあるリナルナって国なんだが、すげーいい所だったぞ!」
「「セルパト連邦!?」」
にゃははは!やっぱり驚いてるね~。
「でね、パンダ工房のみんなにお土産を買って来たから、ここで出しちゃってもいい?今すぐ食べられるようなモノもあるよ!」
「本当にセルパト連邦に行っていたのか!しかしみんなにお土産っていっても、昼飯時だからほとんど全員揃ってしまってるぞ?」
「お土産は有難いが、こんな状態だと取り合いになってしまうだろう。後で社長室で出した方がいいんじゃないか?」
「大丈夫だよ!」
どうしても絶対に今すぐ渡すと押し切ったら、ベイダーさんが『何が何でも今すぐなのか・・・』と言った後、食堂にいた全員に聞こえるように大声で『今からクーヤがセルパト連邦で買って来たお土産を出すぞ!』と説明してくれた。
静かに話を聞いていたお姉ちゃん達は、当然ニヤニヤしていた。
「じゃあ、セルパト連邦で買って来たお土産を出すから注目なのです!」
―――3体のお土産ハムちゃんを召喚し、広い食堂をお土産で埋め尽くした。
「「なんだこりゃあああああああああああああああああああああああ!!」」
にゃははははははははは!お土産作戦、大成功です!!
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