第218話 レミお姉ちゃんのポイントが100に!

 お昼は中央区の大広場に並んでいる露店で、串焼き肉を買って食べた。

 そう、ボクが若い頃ガールハントに勤しんだ思い出の地だ。



「この肉すごく美味しい!」

「本当に美味しいですね!」

「コレですよコレ!すごく懐かしい味~」


 〆は隣の露店で買ったサラダだ。


 これにマイマヨネーズをかけて食べるのが最高に美味いのです!

 タマねえとプリンお姉ちゃんのサラダにもかけてあげた。


「マヨのおかげで野菜も美味しい!」

「露店でサラダが売ってるなんて珍しいですね」

「たしかに珍しいかも?でもみんな買ってくから繁盛してそう」


 この街の人々って割と健康的なんですよね。おかげで特許を取った『ダンベル』と『エキスパンダー』の売れ行きも良く、結構な収入があったりします。


 健康とはあまり関係ないけど、サングラスの特許も取れれば、かなり期待できるかもしれないぞ!麻雀も流行れば結構売れそうだしね。


 別に大金持ちを目指してるわけじゃないんだけど、お金はあって困るようなもんじゃないですし?


 あ、そういえば専属SPのタマねえに給料を払わなきゃだね。


 もうすぐタマねえが冒険者ギルドに登録してギルドカードを所持するようになるから、給料は毎月そのカードに振り込むって形にしよう。手渡しだと縦の関係みたいになっちゃいそうで、そういうのは嫌だから。


 プリンお姉ちゃんは、右手が治ったらどうするんだろ?


 彼女は心に少し傷を負ってるから、冒険者をやるにしても、レオナねえのチームに入れてもらうのが良いのかもしれないな。


 もしくはショタの専属SP2号か。

 そうなったら二人分の給料を払わなきゃいけないので、やっぱり稼がなきゃ!



「さてと!このままブラブラ歩きながら、レミお姉ちゃんの家に行くよ!」

「時計を取りに行くの?」

「うん。そろそろ一つくらい出来てると思うんだよね」

「あ~、ゴンドラにあったヤツですね?」

「アレは小さかったけど、大きい時計を注文したんだ!」

「なるほど~」



 ということで、西区にあるレミお姉ちゃんの家までレッツゴー!




 ◇




 ブーーーーー



 玄関のドアの横に取り付けられていたブサーを押してみた。

 少し待つと中からバタバタ音がして、レミお姉ちゃんの声が聞こえてきた。



『あれ?誰もいなくない??・・・ハッ、もしかして!!』



 ガチャッ



 ドアを開けて中から出てきたレミお姉ちゃんと目が合った。

 前来た時と同じように、彼女の顔が歓喜の表情に変わる。



「やっぱりクーヤちゃんだったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「わぷっ!!」


 レミお姉ちゃんに抱き上げられて、顔が完全に爆乳に埋もれた。


「あっ!そっちの女の子はタマちゃんだったかしらん?って今回はもう一人、大人の女性がいるわね~」

「こんにちは~」

「プリンアラートと申します。初めまして時計屋さん」

「と、時計屋さん!?こっちは本職じゃないんですけど~!でも今は無職だし、時計屋さんって呼ばれている方がいいのかな?」

「無職??うぇっ!?レミお姉ちゃん、学園の先生やめちゃったの!?」

「だって、もうあの学園にはクーヤちゃんがいないんだもん」


 なにィ!?クーヤちゃんが学園を卒業したから先生を辞めたんかい!!子供なら他にもいっぱいいるし、レミお姉ちゃん的にハーレム状態だったハズなのに・・・。


「でも絶対来年までに何とかするつもりだから期待しててね!」

「期待?・・・うん」

「ただ暇なのよね~。おかげで時計をいっぱい作っちゃったわ」

「いっぱい!?えーと、何個注文したんだっけ?」

「大きいのが7個、ゴンドラ用のが1個、あと目覚まし時計を1個注文してた」

「全部覚えてるなんてタマちゃん偉いわ~!大きい時計の方は、もう全部完成してるわよん!」

「「全部!?」」


 天才かよ!!でもノートを書き写すようなもんで、完成品が一つあれば案外ポンポン作れたりするもんなのかな?それでも絶対に大変だろうけど。


「じゃあ完成品を見せるから、上がって上がって~!」

「あい!」



 レミお姉ちゃんの家の中は、相変わらずセンスが良くて綺麗だ。

 すぐに時計を持って来て、リビングの床に全部並べてくれた。



「おーーーーー!やっぱり時計屋さんみたい!!」

「すごいすごい!7個とも時間がピッタリで動いてる!」

「ゴンドラの時計よりも大きいですね!」

「残り二つは、もう少しだけ待っててね~」

「まだ1個くらいしか出来てないと思ってたから、むしろ作るのがとんでもなく早いのです!レミお姉ちゃんありがとーーーー!」

「喜んでもらえて良かったわ~!」


 あ、お土産を渡さなきゃ!


「そうそう!ボク達1週間ほどセルパト連邦に行ってたから、レミお姉ちゃんにお土産を買って来たのですよ!」

「えーーーーーーーーーーー!セルパト連邦ですって!?」

「すごく楽しかった!でね、プリンねえはセルパト連邦から一緒に来た」

「天使様に誘われて、ミミリア王国にやって来ました!」

「て、天使様!?それってクーヤちゃんのことよね?・・・なるほど、天使様とは上手いこと言ったわね~!」

「じゃあ時計は全部回収して、お土産を出すね!」



 お土産ハムちゃんとペカチョウを呼び出した。



「うぇえええええ!何?この可愛い動物は!!」

「ハムちゃんだよ!ペカチョウ、お金出して~」


 とりあえずレミお姉ちゃんに時計の代金を支払った。

 また断られたけど、コレは取引きなので受け取ってもらわないと困ります。


「んじゃお土産ハムちゃん、そこにお土産を並べていってください!」


『チュウ!』


 最初は目をキラキラさせていたレミお姉ちゃんだったけど、放出されるお土産がまったく止まらず、次第に慌て出した。


「ちょ、ちょっと待って!多すぎ!!多すぎだから!!」

「大丈夫なのです!ウチで出した時よりは少ないから」


 我が家の時は4人分のお土産でしたからね~。

 こっちはレミお姉ちゃん1人なので、お土産の排出量も1人分となっております。


 それでもリビングはお土産まみれとなった。


「・・・・・・クーヤちゃん、嬉しいんだけど食べ物は絶対腐らせちゃう!」

「それも大丈夫なのです!レミお姉ちゃんもポイントが100たまったから」

「意味が分からないわ!それって何のポイント!?」

「ポイントが100になると、ハムちゃんが1体貸し出されるのです!」



 モコねえの時のように、レミお姉ちゃんにもハムちゃんの説明をした。


 ハムちゃんが荷運び出来ることや、時間遅延効果で収納した物が腐りにくくなることを知ったレミお姉ちゃんの目がキラキラと輝き出す。


 彼女はクラフターという物作りに特化した職業なので、荷運びが出来るハムちゃんとの相性が抜群なのですよ!


 レミお姉ちゃんが選んだのは、白に黄色の縞模様が入ったハムちゃんだった。魔法よりも見た目が可愛いのを選んだみたい。


 それでも雷の魔法が使えるから、攻撃力にも期待出来ますよ!


 早速、黄色ストライプハムちゃんにお土産を回収してもらうと、感動した彼女がハムちゃんに抱きついて桃源郷に行ってしまったので、『3日くらいしたら残りの時計を受け取りに来ます!』と置手紙をして、レミお姉ちゃんの家を後にした。



 これでハムちゃん未所持なのは、プリンお姉ちゃんだけになったかな?

 まだ知り合って日が浅いので、彼女はもう少し経ったらって感じだね!

 

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