第214話 家族へのお土産(レボリューション)

 

「「ただいまーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 懐かしの我が家に帰って来ましたよ!


 ただ、夕食前の微妙な時間だったので、アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんもウチで食べて行くことになりました。


 というかドラゴンでの長距離移動中はお風呂に入れないし、徹夜で麻雀して実に不健康な状態だから、女神風呂でサッパリしてから家に帰りたいみたい。


 ちなみに、タマねえはボクんに来る理由が無かったので、ご家族へのお土産をたっぷり詰め込んだハムちゃんを連れて、真っ直ぐ自分の家に帰りました。



 ガチャッ!


 リビングのドアが開いて颯爽と登場したのは、お母さんじゃなくてリリカちゃんだった。



「あーーーっ、クーヤだ!!うわああああああああああああああああん!!」



 たたたたたたたたっ! ドスッ!



「ガフッ!」



 自分が身長190センチのタフガイだったらビクともしないんだろうけど、リリカちゃんの方が少し背が高いくらいなので、フルパワーのタックルを受けて悶絶した。



「もうね、ずーーーーーーーーっとまってたの!!」

「クリティカルヒットで死ぬかと思った・・・。待ってたって、ボクの帰りを?」


 1週間も家に居なかったのって、ハムちゃん捕獲作戦の時以来だもんな。

 遊び相手がいなくて寂しかったのかもしれない。


「はやく、たぬきのマーチだして!!」


「・・・・・・・・・・・・」


「もうキャベツまおーしかのこってないの!!」

「・・・えーと、お菓子が無くなったからボクを待っていたのですね?ってか、そこまで食べたのならキャベツ魔王も食べようよ!!」


 口が寂しかっただけやんけ!お菓子が無くなった時の辛さはわかるけどさ。



「あらあら~~~!みんな無事に帰って来たのね~!おかえりなさい!」

「うわ、お客さんがいっぱいだ!おかえりーーーーーーーーーー!!」



 続けてお母さんとティアナ姉ちゃんが玄関まで出迎えてくれた。



「ただいま!風呂ってすぐ使えるか?」

「今クリスお姉ちゃんがお風呂から上がって、ドライヤーをかけてるところだよ」

「よっしゃ、素晴らしいタイミングだ!」

「あれ?見たことない人がいる。お母さんと同じ銀髪だーーーーー!」

「初めまして。プリンアラートと申します」

「おっと、自己紹介は後にしようぜ!リリカもお菓子を待ってることだし」



 リビングへ移動した。



「クーヤはやく!たぬきのマーチ!」

「それはいいんだけど、お土産で甘い物とか買って来たから、今日はそっちの方がいいんじゃない?」

「ほえ?・・・ん-ーーーー、どっちもたべる!!」

「まあいっか!んじゃいつもの場所に出すね」

「うん!」



 基本的にボク達は、ソファーの上じゃなくソファーの前にクッションを置いて、そこでゲームをして遊んでいるのだ。


 その場所のすぐ右にパンダちゃんがいるんだけど、なんかちょっと疲れているように見えたので、『ご苦労様』とだけ言って、パンダちゃん2号とチェンジした。


 1週間リリカちゃんの相手をしてくれていたパンダちゃん1号にも、ご褒美休暇をあげなきゃだね。



「サンタの袋召喚!」


 袋を逆さまにすると、中のお菓子がドドドドっと床に散らばった。


 こうしておいた方が、誰でも気軽にヒョイっと手にすることができるので、ウチではお菓子を袋に入れたままなんてみみっちい真似はしないのだ。


「あったーーーーー!たぬきのマーチ!!」

「良かったね!でももうすぐ夕食だし、お土産もあるから程々にね~」


 と言っても聞かないだろうけど。



「クーヤ、お土産の時間だ!」



 レオナねえに呼ばれたので、食卓の方へ移動。



「あ、クリスお姉ちゃんもいた!」

「クーヤくんおかえりなさい!旅行は楽しかった?」

「ただいまーーーーー!すごく楽しかったよ!」

「そこの空きスペースに出してくれ。ちなみにどのお土産を買うか決めたのはクーヤなんだぜ?」

「へーーーーー!クーヤちゃんが選んだのね!!」

「いあ、決めたというか・・・、手当たり次第に買ってなかった?」

「個人へのお土産って感じじゃなかったよね~」

「うん!コレは誰々のお土産っていう風に決めて買ったわけじゃないから、欲しい物があったら適当に持ってっていいからね~!」



 リリカちゃんがこっちに来たので、安全地帯に避難させた。



「じゃあ、お土産ハムちゃん!奥の方から順にお土産を並べていってください!」


『チュウ!』



 なんとなく『お土産ハムちゃん』って呼んだけど、お土産をいっぱい持たせてあるから今だけそう呼んでいるだけです。


 ハムちゃんは少し悩んだ後、さっきお菓子をぶち撒けた辺りまで移動して、そこから少しずつ後退しながらお土産を並べていった。



「ねえねえ、なんでハムちゃんはあんな遠くに並べてるわけ?」

「お母さんにもわからないわ~」

「もっと近くに出せばいいのにね~」


 しかしハムちゃんから放出されるお土産の量は、一向に尽きる気配が無かった。

 最初はニコニコしていたお母さん達だったけど、少しずつ顔色が変わってくる。


「ちょっと待って!もう目の前まで来ちゃったんですけど!」

「お母さんね~、こんなに大量のお土産を見たの初めてかも~!」

「いや、絶対おかしいから!クーヤくんはお土産を買って来たんじゃなくて、お土産屋さんを買って来たんじゃないの!?」




 ―――――結局ハムちゃんは、台所の上までお土産で埋め尽くした。




「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



『チュウ』


「え?全部出しきれなかったの?まあしょうがないか~」


 それを聞いたレオナねえたちが『プハッ!』と噴き出した。


「わはははははははは!さてと~、アタシらは先に風呂に入ってくるから、クーヤとプリンアラートは最後にゆっくりと湯治してくれ。お湯は張り替えておく」

「うん、わかった!」


 予め脱衣所の前に陣取っていたレオナねえ達が、お風呂用ハムちゃん2体を連れて一足先にお風呂へ行った。


 湯治は入浴時間が重要なので、ボク達は夕食後かな?



「「ちょっとクーヤくん!一歩も動けないんですけど!!」」



 ・・・・・・確かに!


 

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