第200話 リナルナの冒険者ギルド
バサッ バサッ バサッ バサッ
バサッ バサッ バサッ バサッ
悪そうなお兄さんと、救出班のタマねえが飛行訓練から戻って来た。
「こいつぁすげえな!直に風を感じる分、爽快で最高だった!」
「だろ!!」
「ドラちゃんに乗るのと全然違うよね~」
「私は少し怖かったけど」
これでメンバー全員の飛行訓練が完了した。
ただやはり、少しだけ問題があってですね・・・。
『クルルッ』
「うーむ、やっぱり一番体重があるからな~」
「何だって?」
「悪そうなお兄さんが一番痛かったみたい」
「なにッ!?負担が掛からないよう、丁寧に乗ったつもりだったんだが・・・」
『クルルッ!』
「ほうほう。えーとね、旋回する時以外は大丈夫だったってさ!」
「やっぱそこかあ・・・。旋回する時だけはどうしても力が入ってしまうんだわ」
「だな。しっかり捕まらないと落ちるかもしんねーし」
「やっぱり専用の鞍を作った方がいいんじゃない?」
「馬と違うから特注になるよ?1日2日くらいじゃ作れないと思う」
「滞在期間を考えると、もうそんな時間無いだろ」
「鞍は帰ってからだな。とりあえず今はこのままで、急な方向転換をしない作戦で行くしかねえ」
旋回さえしなけりゃ痛くないんだから、もうその手しかないよね。
ボクやタマねえくらいの体重なら大丈夫なんだけどさ。
バサッ バサッ バサッ バサッ
『ギュア!』
「キターーーーーーーー!これでグリフォンが全員分揃いました!!」
「よっしゃ!んじゃ街を少し散策したら、この国の首都に向かおうぜ!」
「今日出発したら夜中飛ぶことになるだろ!明日の朝にした方がいい」
「夜はベッドで寝たいよね」
「というか危ないよ!まだ慣れてないんだから」
「タマは平気」
そこまで急いで首都を目指す必要はないかな?
おっと!ドラちゃんに売れる魔物を狩ってきてもらわなきゃ。
「ドラちゃん、もう1体だけ狩りをお願いしていい?」
『ギュア!』
「ドラちゃんが持ち運べる範囲で、出来るだけ大きな魔物をお願いします!」
『ギュア!』
バサッ バサッ バサッ バサッ
ドラちゃんが再び空に舞った。ホント何度も頼んでごめんね!
「大きな魔物なんか狩ってどうすんだよ?」
「黒眼鏡の借金取りが怖いから、お金を返済するのです」
「そういや置手紙にも書いてたな!つーか全く返済なんか要求してねえだろ!それにゴンドラを降りてから一度もサングラスを掛けてねえぞ」
「そういえば何で黒眼鏡しないの?」
「特許を取ってからじゃねえと、誰かに先を越されるかもしれないからな」
「そういうのって外国でも関係あるのかな?」
「知らん。念の為だ」
なるほど!じゃあ帰ったらすぐ特許の申請をしなきゃですね。
バサッ バサッ バサッ バサッ
『ギュア!』
ドラちゃんがグリフォンを狩ってきた。
「いや、もうこれはお腹いっぱいなんですけど!」
『ギュア』
近くを飛んでいたから、もったいないと思って捕獲したようだ。けどもう近くにはいなかったから次は別のを捕獲してくると言って、再び飛んで行った。
でもさ、これを売るなんてとんでもないんだよね。
予備にもう1体いてもいいし、これも召喚獣にしておくべきでしょう。
「ストック」
これでグリフォンが7体になった。
同行者が増えた時に絶対役立つだろうから、もう何体かいてもいいかもですね。
どうせだからと飛行訓練しながら狩りが終わるのを待っていると、ドラちゃんがデカい熊みたいな魔物を捕獲してきた。
「うおっ!なんかスゲーのを仕留めてきたな!」
「こんな魔物見たことねえぞ!」
「絶対強いよコレ!」
「私達でも倒すのに命懸けってレベルの非常に危険な魔物だと思う・・・」
「これは強い!」
めっちゃストックしてえ!!
しかし、もういい加減狩りを終わらせないとキリがないからな~。
容量が【1】のペカチョウじゃ入らない大きさだったので、容量が【2】のハムちゃんを呼び出して収納した。危うくストックって言いそうになったし!
「じゃあまずは冒険者ギルドに向かうぞ!」
「「アイアイサー!」」
グリフォンの大群で街に行くと騒ぎになりそうだったので、普通にトナカイに乗って街へと帰って行った。
************************************************************
―――――冒険者ギルド・今日は
「レドンさん、こんちゃーっス!」
俺の名を呼ぶ声がしたので顔を向けると、Dランク冒険者のハリーが近付いて来る姿が見えた。
「あ、どうもっス!『不滅の大剣』の皆さんがこんな時間に勢揃いってことは、今日は依頼を受けなかったんスか?」
「今日はそんな気分じゃねえんだよ」
「でももう少しでAランクの試験を受けられるって言ってたじゃないっスか。『不滅の大剣』にはみんな期待してるんスよ!」
「だから今日は気が乗らねえつってんだろ!こういう日に無茶すっと碌なことがねえんだよ」
「そういえば聞きました?街のど真ん中に『ラムシュクルーム』が出たって!」
なにッ!?
「それでどうなった?」
「いや、それが突然パッと消えちまったみたいなんスよ。あれ?そういえば昨日も街の中に樹が大量に出現してパッと消えたって噂を聞いたっスね・・・」
ガタン!
「「なんだと!?」」
「うわっ!な、えっ、どうしたんスか??」
やはりアレは現実だったのか!
かなり酔っていたから、変な幻でも見たのかと自分の記憶を疑っていたが。
「クーヤちゃんだ・・・」
「夢じゃなかったのか!!」
「だから、全員同じ夢を見るわけねえって言っただろ!」
「しかし幻影を見させられた可能性もあるぞ!」
「確かにそれも有り得る話だが・・・」
ちなみに酒場で吞んでいたのは4人で、美人の嫁がいるウィンダルは現場にいなかった。切れ者のコイツが一緒にいれば、真相に近い回答が得られただろうに。
「クーヤチャン??なんスかそれ?」
「いいか、お前もクーヤちゃんにだけは絶対逆らうな!死にたくなければな」
「もしアレが現実で、使用したのが召喚魔法だったとすると、間違いなくSランク級の力を持つ化け物だ」
「一緒にいた他の奴らも相当な手練れだったよな?酔っていたせいで、気付かずに声を掛けてしまったわけだが」
「おそらくな・・・。少なくともあの魔法使いはかなり危険だ」
「十中八九、
「はあ!?何でこの街にそんな凄い冒険者が??」
知るかよ!聞きてえのは俺の方だ!!
ガチャッ!
その時、冒険者ギルドの入り口のドアが開き、ついそちらの方に目が向いた。
そして中に入って来た集団を見て、目玉が飛び出そうになった。
「「クーヤちゃんだ・・・」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます