第154話 リリカちゃんのお土産
それからしばらくハムちゃんの魔法検査を続けたけど、本人ですら何の魔法を使ってるのかわからないってのが何体もいました。特に白系のハムちゃん。
治癒系は見た目じゃさっぱりわからないから、地道に解明していくしかないでしょうねえ・・・。凹んでたので、もふもふ励ましてあげました。
ただ白ベースに緑の模様が入ってる子は、『お腹が痛いのが治るのよ?』との自己申告があったので、たぶん毒を癒す魔法なのかな?
当然毒消しなんかは希少価値の高い魔法なので、レオナねえ達に貸し出すことが決定しました!
・ハムちゃん(白) 【1】『治癒』
・ハムちゃん(白・緑)【1】『毒消し』
・ハムちゃん(白茶縞)【3】『不明』
最終的に決まったのはこの3体なんだけど、治癒と毒消しが本命で、茶色の縞模様が入った子は容量の大きさで採用されました。
この【3】ってのは何の数字?って聞きたくなるけど、『メメトンゼロ3体分』って意味なんですよねコレ。流れでワケのわからん基準が出来てしまいましたよ!
魔法は『不明』となってるけど、ナナお姉ちゃんが言うには精神的に癒されるそうだ。リラックス効果のある魔法なのかもしれませんね。
これを召喚獣リストにフォルダ分けして『レオナセット』と命名。そうしておけば、『レオナセット召喚!』と言うだけでこの3体が呼び出せるのです。
実は『特別攻撃隊』もこんな感じでフォルダ分けしてます。
新戦力に既存の召喚獣以上の力があったら、その都度入れ替えてますけどね。
「よし!こうやってハム助を抱きかかえるようにして乗れば、シャンクルに荷車を引かせなくても大丈夫そうだぞ!」
「うん、コレしかないね!ちゃんと自分から角に掴まってエライエライ!」
「もふもふで可愛くて、鼻血が出ちゃいそうなんですけど~!!」
これからレオナねえ達は、ハムちゃんを抱えながらトナカイに乗って移動することになるのか・・・。
三人とも新しいスタイルに喜んでるし、見ていてほっこりしますね!
ビジュアル的にも華があり過ぎて、ギルドでも特別な存在になりそうだな~。
「白いのばっかりだけど、それで良かったの?」
レオナねえが振り向いた。
「治癒と毒消しは絶対連れて行きたいし、茶縞は【3】だからな。他の魔法は
「クレリックは教会や治療院で働く方が楽に稼げるから、冒険者になる人ってほとんどいないんだ~」
「そうなんだよ!だからアルペ、じゃなくて、ハムちゃんを貸してくれたクーヤちゃんには感謝感謝大感謝です!」
なるほど!冒険者をやっているクレリックって希少な存在だったのか・・・。
でもわかる気がする。安全に稼げるのだから命を賭ける必要なんて無いもんな。
ナナお姉ちゃんは白、レオナねえは茶縞、アイリスお姉ちゃんは白緑を抱きかかえてるんだけど、レオナねえは茶縞に『ハム
この調子だと、3体とも名前持ちになりそうですな!
もしかするとシャンクルにも名前が付いたりして。
「タマねえはどれにするか決めた?」
「帰ってから考える。家で使いたい魔法持ちの子が良さそうだし」
「なるほど~。たしかに急いで決める必要無いもんね」
タマねえはいつも一緒に行動してるから、ハムちゃんを貸し出す意味がほとんど無いんだけど、それでも知り合いには1体ずつ貸し出すことに決めたのだ。
魔法が使えて収納まで出来るペットが家に1体いれば、すごく便利なのは間違いないからね。とにかく需要が大きいので知らん人には貸し出さないかも。
そして来た時と同じように、クーヤちゃん一行は2日かけて我が家へと帰還した。
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ガチャッ
「「ただいまーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
玄関じゃなく、リビングでハムちゃんのお披露目をしたかったので、リビングのドアを開けてから『ただいま』の挨拶をした。
とりあえず『レオナセット』の3体は廊下で待機しています。
部屋の掃除をしていたお母さんが、笑顔になって掃除機を止めた。
「あらあら~、おかえりなさ~い!みんな怪我は無かったかしら?」
「うん!誰も怪我してないよ!」
ゲームをしていたリリカちゃんも、コントローラーを握ったまま振り向いた。
「おかえりーーーーーーーーーーーーーー!」
『オン!』
その隣にいたメルドアからも嬉しそうな感情が流れ込んで来る。
白い尻尾がブンブンしていますね。
カチャッ
『あら、ティアナがいたわ。ドライヤー中だったのね』
『もうすぐ終わるから!それよりね、みんなが帰って来たみたいだよ!』
『そうなの!?』
『急いで身体を拭いた方がいいよ!絶対何か面白いことがあるから!!』
『間違いないわね!』
脱衣所から、クリスお姉ちゃんとティアナ姉ちゃんの会話が聞こえる。
二人ともお風呂だったのか。
「かわいいのつかまえてきた!?」
お?リリカちゃん良い質問です!その言葉を待ってました!!
お姉ちゃん達と顔を見合わせ、ニヤリとする。
「捕まえて来たよ!でもみんなに見せたいから、クリスお姉ちゃんとティアナ姉ちゃんがリビングに揃ったら呼び出すね!」
「うん!!」
リビングの広さを考慮しながら、『リリカちゃんのお土産』フォルダにハムちゃんを振り分けていく。
ガチャッ
「あ、やっぱりみんな帰って来てたよ!」
「おかえりなさい!一体どんなのを捕まえて来たのかしらね~」
二人が脱衣所から出て来た。
「ただいまー!じゃあ早速、捕まえて来た召喚獣のお披露目をします!」
「え?いきなり!?」
「うっわ~、ちょっとドキドキするよ!」
タマねえに目線を送ると、彼女が一つ頷いた。特に意味はない。
「じゃあいくよーーー!『リリカちゃんのお土産』召喚!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュッ!
―――――リビングが、ハムちゃんで埋め尽くされた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
クリスお姉ちゃん、ティアナ姉ちゃん、お母さんが口をパクパクさせている。
そして、リリカちゃんの目がキラキラと輝き出した。
ぷわぁ~っと笑顔になっていく。
「かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「「な、なんなのよこれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
大喜びのリリカちゃんとは対照的に、お母さん達はただただ驚愕していた。
まあそりゃそうですよね。
だって、リビングの空きスペースが全てハムちゃんで埋め尽くされたんですもの!
そして当然ながら、レオナねえ達は大爆笑していた。
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