第150話 アルペジーラの森に到着!

 トナカイに乗りっ放しの旅は、思った以上に辛いことが判明。

 でもレオナねえは、『こんな快適な旅は初めてだぜ!』とか言っていた。


 やっぱ冒険者ってのは基本的に過酷なんだろな~。

 馬車でずっと他人と一緒に座ってるのが嫌なだけかもしれんけどね。



 ターーーーーン



 定期的にエンカウントする魔物なんかは、カブトムシとタマねえのパチンコ玉でサクッと倒す。なぜならレオナねえ達が倒すとストック出来ないからだ。



「子供二人が異常過ぎる件」

「クーヤちゃんのガジェムが反則級なのはわかるけど、タマちゃんの投擲とうてきも凄くない!?」

「西門でも使ってた飛び道具だよね?あっ!なんか箱を持ってる!」


 魔物をストックしていると、レオナねえ達が近寄って来た。


「タマが投げている飛び道具を少し分けてくれねえか?」

「無くなったらクーヤにまた出してもらえば全部復活するから、握れるだけ持ってっていい」

「やっぱりクーヤの召喚アイテムだったのか!・・・あ~そういう事か!だからタマが倒しても召喚獣に出来るんだ!」

「あーーーー、やっと意味が分かった!それなら私もちょっと投げてみたい!」



 レオナねえ達がパチンコ玉を握りしめ、試しにその辺に投げつけている。



「思ったよりも重量があるから、地味に凶悪だぞこれ!?」

「あはははははは!なんか面白いかも!」

「私はちょっと力不足ね~。魔物を倒すのは無理かも」



 パチンコ玉を投げる練習が終わったので、シャンクルに乗って歩き出した。


 そして次にエンカウントした魔物に、レオナねえ達がパチンコ玉を投げつける。



 ヒュン ヒュン ヒュン



「うっわダメだこりゃ!シャンクルに乗ったままだと全然力が入らねえぞ!」

「これで倒すの無理ーーーーー!クーヤちゃんお願い!!」


 ヒュン


『ギャン!』


 タマねえのパチンコ玉による一撃で、魔物は討伐された。



「「・・・・・・・・・・・・」」



 自分らが失敗した直後なので、お姉ちゃん達三人は固まった。

 うん、やっぱタマねえって凄いね!!






 ************************************************************






 昼はひたすらシャンクルに乗って魔物を倒しながら移動。夜はテントを張ってお姉ちゃん達に揉みくちゃにされながら寝るといったハードスケジュールをこなしながら、次の日の夕方にアルペジーラの森へと到着した。


 もちろん夜中に狩りをするのは無謀なので、森の手前にテントを張り、お姉ちゃん達にもみくちゃにされながら寝て、タマねえにぺろぺろされながら目覚める。


 ちなみにアイテム召喚の結果は、爪切りとウェットティッシュだった。



「よし!じゃあアルペジーラ捕獲作戦について話し合うぞ!」



 レオナねえの周りにみんな集まった。



「アルペジーラって強いの?」

「強いぞ!大きさはクーヤと同じくらいなんだが、魔法を撃って来るんだよ。しかも足がめっちゃ速い!」

「色によって、それぞれ使用する魔法が違うんだ」

「ええええええええ!?すごく危険じゃないですか!!」

「へっへーーーん!そこでナナお姉ちゃんが大活躍するのです!」


 そうか!ナナお姉ちゃんは賢者セージだ。

 何か魔法に対抗する手段があるんだきっと。


「魔法が飛んで来たら障壁を張って、魔法が止むまでひたすら耐えるんだよ!」

「最後まで耐えきったら勝ちだ!」

「赤いのがいなければいいんだけど・・・」


 え?耐えるだけ??

 タマねえも、その戦闘シーンがよく理解出来ずに首を捻っている。


「あの~、攻撃はしないの?」

「アイリスが矢を撃ちまくるぞ!」

「赤いアルペジーラは炎の魔法を使うから、アレがいると矢を燃やされちゃうんだよね~」

「えーと、そうじゃなくて!魔法を耐えきった後に攻撃するの?」

「ん?ああ、アルペジーラって魔力が無くなると逃げちまうんだよ。足が速すぎて追いかけるのも無理だしな。だから障壁で耐えている間に倒すしかねえ!」

「えーーーーーーーーーーー!?レオナねえの出番は?」

「アルペジーラ戦にアタシの出番なんかねえぞ!他の魔物が出た時は戦うけどな」


 ちょっとずつ意味が分かってきた。でも一つ引っ掛かることが・・・。


「アイリスお姉ちゃんが矢で攻撃すると、召喚獣にできないよ?」


 それを聞いたレオナねえ達がハッとした顔になった。


「ダメじゃねえか!!」

「どうしよう!?」

「タマちゃんが投げてた小さな鉄の玉で攻撃すればいいんじゃないかなあ?」

「「あっ、それだ!!」」



 とまあそんな感じで作戦が決定し、ボク達は森の中へと入って行った。




 ◇




「結構深くまで来たと思うんだが、アルペジーラ全然いねえな~」

「前来た時はどうだったっけ?」

「2年も前のことだから覚えてないよ。狙いはアルペジーラじゃなかったし」

「そうなんだよ!やっかいだって聞いてたから、あの時はむしろ出て来てほしくなかったしなぁ・・・」


 なるほど。当時は別の魔物を狩りに来て、アルペジーラとの戦闘になったわけか。


 それにしてもこの森の魔物ってみんな強いな・・・。

 巨大ヘビとか巨大コウモリとか、なんかどれもスケールがデカいのだ。



 ―――――樹々の間を抜け、広い場所に出た時だった。



「いた!アルペジーラだ!!」

「うは~、相変わらずウジャウジャいるね」

「ここじゃ狭いから少し前に出て!」



 そう言った直後、ナナお姉ちゃんは呪文の詠唱に入った。

 そしてお姉ちゃん達が前に出たことで視界が開ける。



「うわぁ~~~~~~~~~~~!でっかいハムスターがいっぱいいる!!」

「ハムスター??」


「魔法障壁!!」


 ナナお姉ちゃんがそう叫んだ直後だった。



 ボガーーーーーーーーーーーーーーン!

 ズガガガガガガガガガガガガガガガ!

 ギョシャーーーーーーーーーー!

 バリバリバリバリッッ!!

 ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!



 アルペジーラ達から放たれた魔法により、視界の全てが天変地異に包まれた。




「なんじゃこりゃああああああああああああああ!?」




 

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