第141話 おうちに帰る

 大怪我をしているレオナねえだったが、『タマの治療が先だ』と言って聞かないので、埒が明かないと思ったお母さんはタマねえの治療から開始した。


 でもタマねえの頭の出血はとっくの間に止まっていたので、パックリ割れてはいたものの治療に時間はかからなかった。


 続けてレオナねえの治療が始まり、そこでようやくみんな一安心。



「じゃあもう家に帰っても大丈夫なの?」

「ボク達は家族に冒険者がいるからたぶん大丈夫だと思うけど、ラン姉ちゃんはもう少しパンダ工房にいた方がいいかも。もしかすると街の中に隠れてる魔物がいるかもしれないし」

「ここにいる間はウチが守ってあげるにゃよ!」

「そうねえ・・・。家に帰って落ち着きたい気持ちもあるけど、まだ魔物が隠れているかもしれないんじゃ帰れないわね。せっかく魔物のスタンピードが終りそうなのに、気の抜けた行動で命を落としたら馬鹿みたいだし」

「3日間ほど冒険者達が街の見回りをすると思うから、帰るならその後にした方がいいよ。街の兵士は貴族街しか見回らないだろうけどね!」



 アイリスお姉ちゃんの読みでおそらく正解だ。


 兵士がクズってわけじゃないんだけど、貴族街が滅茶苦茶だからまずはそっちが優先されてしまうのですよ。魔物が潜んでいそうなのも貴族街の方だから。


 そうなると北区以外は冒険者達で見回るしかない。

 さすがに今回ばかりは、貧民街スラムにも行く必要があるだろね~。


 そういや悪そうなお兄さんは大丈夫かな?

 自分達のことでいっぱいっぱいだったから、東門の方へは行かなかったんだよな。


 北門しか抜かれなかったのだから、貧民街スラムの住人達も冒険者並みに頑張ったということだ。もう彼らのことを見下す人はいないだろう。


 と言っても戦闘力に関してはって話で、素行の悪い人が多い事実は変わらんけど。



 まあそんなこんなで、ボクの知り合いに関しては誰も失うこと無く、魔物のスタンピードを無事乗り切ることが出来ました!


 あ、悪そうなお兄さんの安否だけわからないのか・・・。


 まああの人に限って、無茶して死ぬようなことは無いと思うんだよね~。

 落ち着いたら貧民街スラムまで会いに行ってみよう!



 夕食はお母さんやお姉ちゃん達がハンバーグを大量に作り、パンダ工房にいる全員に振舞った。当然ながらみんな大絶賛だったぞ!


 ただライガーさんがハンバーガーを片手に特許の話を始めたので、また近いうちに役所に行くことになるかもですね・・・。



 長期戦のスタンピードで疲労が溜まっていたのもあり、食事の後は全員が深い眠りについたのだった。






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 そして翌日。



「「ただいまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 ようやく我が家へと帰って来ました!



 リビングに入り、魔力を節約するために消していた家電なんかを全て元通りにした後、テレビの正面にあるソファーの前にパンダちゃんを呼び出した。



「パンダちゃんただいまーーーーーーーー!!」


『ブモ』



 早速リリカちゃんがパンダちゃんに飛び乗った。

 しばらく消していたから、ずっと留守番をしていたわけじゃないんですけどね!


 お母さんは部屋に掃除機をかけ始め、クリスお姉ちゃんはポットに水を入れ、コーヒーで寛ぐ準備を始めた。


 そしてお風呂に入ることも出来なかった人達のために、ティアナ姉ちゃんが浴槽にお湯を張ってくれている。


 みんな素晴らしいコンビネーションです!

 ただレオナねえは、お風呂に入ってすぐ街の見回りに行くことになってるみたい。


 アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんは一先ず家に帰って行ったんだけど、冒険者ギルドでレオナねえと合流するらしい。



「クーヤ!ラーメンを出してくれ!」

「ラーメンだと消した瞬間にお腹空いちゃうよ?栄養にならないし」

「ハンバーガーを食いながらギルドに向かうからそれは大丈夫だ!とにかく今はラーメンが食いたくてしゃーないんだよ!」


 ラーメン依存症や・・・。

 レオナねえって、ボクが近くにいないと禁断症状とか出るんじゃないかい?


「ラーメン召喚!」


 食卓に出したラーメンを見て、レオナねえが歓喜した。


「うおおおおおおおお!久々のラーメンだぜーーーーー!!」

「クーヤ、チョコ食べたい」


 タマねえもチョコ依存症や!クリスお姉ちゃんもコーヒー依存症だし、ココにいる人達ってもうボクから離れられないのでは・・・。


 チョコを召喚してタマねえに渡した。



 そして10分もするとお風呂の用意が出来たとの報告を受けたんだけど、レオナねえはまだラーメン中だったので、ボクとタマねえが先に使わせてもらうことに。



「怪我は治ってると思うんだけど、髪の毛の中で血が固まってるね」

「もう全然痛くないから、ゴシゴシ洗って」

「わかった」



 本当に厳しい戦いに付き合わせてしまった感謝の気持ちを込めて、タマねえの身体を優しく丁寧に洗ってあげた。


 その後ボクも優しく洗ってもらい、二人ともピカピカになった。


 当然ながら何日も着ていた服はすごく汚れていたので洗濯機に放り込む。お風呂から上がった時にティアナ姉ちゃんにお願いすれば水を入れてくれるのだ。


 そして替えの服を着てからリビングに行き、ティアナ姉ちゃんに洗濯をお願いした後、レオナねえが脱衣所に入って行った。



「家が気になるから帰るね。夜になったらまた来るから」

「ああ、アイテム召喚か!ここ数日出来なかったのがすごく勿体ない!」

「それもだけど、たぶん夕食後みんなに質問責めされる」

「ぐぬぬぬぬ・・・」



 やっぱり吊し上げられるのは今夜だよな~。

 的確な受け答えが出来るよう、夜までイメトレしておこう・・・。


 それはともかく、ようやくいつもの生活に戻ったんだな。

 この平和を守ることが出来た幸運に感謝!みんなの頑張りに感謝だ!

 

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