第119話 パンダ工房の制服が完成!
BL漫画の翻訳と言う地獄のミッションを与えられたクーヤちゃんでしたが、あまりの辛さに1ヶ月近くかかってしまいました。
自分はこの世界の文字を書けないからティアナ姉ちゃんが学校から帰って来てからの共同作業となり、更にクエクエの翻訳やらなんやらと忙しい身だったってのもありますけど。
ってかなんでBL本のくせに300ページもあるんだよ!!
作者の熱意がちょっと異常すぎませんかね!?
翻訳を始めた頃、ティアナ姉ちゃんにストックして無敵の本にするよう言われたのですが、呼び出した時に翻訳した文字が全部消えてしまうことを説明し、翻訳が終了した今ようやくストックをして、無限アイテムになってから手渡しました。
これで次からは、何度呼び出しても翻訳付きの最強BL漫画になったわけです。
「クーヤくん本当にありがとう!お疲れ様でした!!」
「一生の宝物にするですよ!!ヒャッホーーーーーーーー!!」
「にょわ~~~~~~~~~~~~~~~!!」
ティアナ姉ちゃんとモコねえにめっちゃキスされました。
とにかくもうBL漫画だけは二度と出て来ないで下さいね!!
こんなに辛いのなら、正直田中くんの上履きが出た時よりもハズレですよ!
とまあBL本関係はそんな感じだったのですが、その間に残り2体のゴーレムを揃えたり、新しく入手したアイテムで大騒ぎしたりとてんやわんやの日々でした。
◇
その翌日。
クリスお姉ちゃんから、前に注文しておいた制服が完成したと報告があったので、一緒にパンダ工房へと向かってます。
制服は従業員の女の子がパンダ工房に運んでるらしいので、ちょうどいいタイミングで合流出来るハズ。
「あ、来た来た!部長遅いよ~!」
「うっひょーーー!クーヤちゃんもいるし!!」
「私は部長じゃなくて課長なんだけど?」
制服を運んで来たのは、前に『シェミール』でショタをはむはむした二人の女性従業員だった。
ってかクリスお姉ちゃんって課長だったのか!
年齢は教えてくれないけど、23歳くらいで課長って凄くない!?
「こんな可愛い制服を作ったんだから、近いうちに部長に昇進しますよ!どう考えても売れまくるに決まってるじゃないですか!」
「すっっっっっっごく可愛いよね!!ウチの制服もこれにしようよ!」
「先を見越したような発言はやめてちょうだい!昇進出来なかったら私が恥をかくんだからね?契約があるからこれと全く同じ服は作れないけど、似たような雰囲気の制服にすることならば可能よ」
「おおおおおおおおおーーーーーーーーー!」
「従業員がみんな着ていれば服の宣伝にもなるし、絶対アリだと思います!!」
「それは良い考えね!帰ったら社長に相談してみるわ」
「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
それ絶対やった方がいいよ!
店の従業員がみんな可愛い制服を着ていたら、評判になってお客さんも殺到するんじゃない?作るスピードが追い付かないかもしれんけど。
四人で改築中のパンダ工房へと入って行く。
「あっ!まだ呼んでないのにベイダーさんがいた!」
「クーヤじゃないか。今日もまた違う女性をいっぱい連れているな・・・」
「だから『女たらし』みたいに言わんで下さい!!」
確かに今日も、新しい女性を三人連れて来たようにしか見えないだろうけどさ!
「初めまして!『シェミール』のクリスティーネです。今日は完成した制服をお届けに参りました」
「おおおっ!クーヤが頼んでいたという服か!ああ、よろしくな!・・・ん?そういえば代金はいくらなのだ?」
「無料で提供させて頂きます。クーヤくんとの契約で、制服を無料で提供する代わりに『シェミール』での製作・販売許可を貰いましたので」
ベイダーさんが驚いた顔でショタを見たので、何となくウインクで返した。
「今は金が入り用なので非常に有難い話だ。しかしクーヤ・・・、やり手にも程があるだろう!お前が社長で良いんじゃないのか?」
「やだよ商売人なんて。それにウチにはもう社長がいるし!ところでラン姉ちゃん達は社長室にいるの?」
「うむ。アイツら社長室から動こうとしないんだが、『社長室は遊ぶ場所じゃないぞ!』って言っといてくれ!」
本当にラン姉ちゃんって、パンダちゃん好き過ぎるよな~。
おっと、パンダ社長だった。
『『いらっしゃいませーーー!』』
階段を上がり2階にある社長室の前に行くと、中から女の子達の練習している声が聞こえて来た。
ガチャッ
部屋に入ると、接客チームの女の子達がクルッと振り向いた。
「こら!ノックくらいしてよね!」
「ここはラン姉ちゃんの部屋じゃなくて社長室だからね!」
「「おはようございまーーーす!」」
「ウム。その赤いのと違ってキミ達はいい子だねえ」
「この娘達より小さいくせに随分と偉そうね!!」
全員クーヤちゃん自らがスカウトしたのですから当然です。
ソファーに腰掛けて煙草を咥えたら、サッとライターを出して火を付けて肩を揉むくらいしてもいいくらいです。煙草なんて持ってないし、そもそも吸わないけど。
クリスお姉ちゃん達が制服の箱を抱えて社長室に入って来た。
「おはようございます!制服のお届けに参りました!」
「制服ですって!?あ、おはようございます!」
「「おはようございまーーーす!」」
クリスお姉ちゃん偉いな~。相手が子供でも口調は丁寧だ。
お客様はどんな子供でもお客様って考えだから出世したのかもね。
「今日からはこの制服を着て働いてもらうから!」
「相談も無しに何勝手に決めちゃってんのよ!でも制服は気になるわね」
「そんな生意気な口を利いていいのかな?大紳士であるクーヤ様の機嫌を損ねたら、この話は無かったことになり兼ねませんよ?」
「紳士に大を付ける人なんて初めて見たし!どんな紳士よ!」
「まあ紳士はともかく、制服を見たらみんな驚くよ!」
クリスお姉ちゃん達が大きな箱を開けて、中から『ゴスロリメイド服』を取り出した。
「「うわあああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~!!」」
ラン姉ちゃんと孤児院の女の子達から大歓声が上がった。
「おおーーーーーーー!想像以上に可愛い制服じゃないですか!!流石はクリスお姉ちゃんだ!」
「でしょう!?私もこの服の出来には自信しかなかったのよ!!」
「本当に可愛いよね!!」
「もうあたしが着たいくらいですよ!正直死ぬほど羨ましいです!」
ラン姉ちゃんが土下座した。
「クーヤ大紳士様!この制服を着ても宜しいでしょうか!」
「いや、そこまで卑屈にならないでもいいから!!」
よっぽど制服が気に入ったんだろな~。
他の三人もうっとりしながら制服を眺めている。
「じゃあ早速、この『ゴスロリメイド服』に着替えてみますか?」
「着ます!!いえ、着させて下さい!!」
「「やったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
鼻息を荒くしたラン姉ちゃんが服を脱ぎ出した。
「ちょ、ちょっと!ここで着替えるの!?」
「女性しかいないし全然問題無いです!」
「一人ちんまこいのがいるけど、クーヤくんなら問題ないか・・・」
「ボクは大紳士だから全然大丈夫だけど、ベイダーさんが入って来る可能性があるんじゃない?」
「あ、そうか!じゃあ隣の部屋で着替えて来るわ!」
まあそんなわけで、女性達は全員隣の部屋に移動した。
ボクはここで待っていて、みんなの制服姿を見て驚く係です!
・・・ところでパンダ社長はどこ行った?
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