第68話 真面目に商売の話をしてみる
危なかったけど、自分が異世界からの転生者だというのはギリギリ隠し通せた。
でも、この国に魔道具で飛ばされて来たって設定に出来たのは、逆に良かったかもしれない。
オーバーテクノロジーアイテムを大量に召喚してるのだから、どうせいつかは俺がいた
後は子供らしく、『よくわかんない!』だけで通せるんじゃないかな?
もうある程度賢いのはバレてるけど、見た目は完全に5歳児だからなー。
「じゃあ特許を#ケ@$して大丈夫なんだな?」
「『#ケ@$』って何?」
「ああ、特許を貰えるようにお願いしに行くってことだ」
ああ、特許の出願ね。
「うん、大丈夫!じゃあ後はライガーさんに全部任せた!」
「おい!クーヤの名前で出願するんだよ!!」
「えーーーーーーーーーーーーー!!」
いや、ダメじゃね?
俺って今はこの家に住んでるけど、戸籍とかねえぞ?
「ボクってどういう扱いになるの?ちょっと前まで外国にいたんだけど・・・」
「「あっ!」」
二人とも察したらしく、少し考え込んだ。
「家主<+&で出願するしかねえか」
「父さんはほとんど家にいないから、そうなると母さん<+&だな~」
「・・・いや待て、クーヤって5歳だったよな?」
「ああそっか!祝福の儀もまだだし、学園にすら行く前だ。今なら何ら問題ねえぞ!しかし5歳で<ラ=メを@ヘ%#って出来るのか?」
「そもそも、5歳児が特許の出願なんて聞いたことねえからな・・・。まあ何事にも最初ってのはあるもんだ。無理にでも作らせよう」
「『<ラ=メ』を『@ヘ%#』って?」
「えーとだな・・・、お金を預けたり引き出したり出来るようになるんだ」
ああ、銀行口座を開設するってことか。
こういう経済的な話は、知らん単語ばっか出て来るから覚えるのが大変だなあ。
『<+&』ってのは、話の流れからいって名義とかそんな感じの単語だろう。
そして、少し置いてけぼり状態で話はどんどん進んで行った。
「じゃあ、この二つの特許を取るってことでいいな?」
ライガーさんの言う二つってのは、もちろんダンベルとエキスパンダーだ。
・・・・・・いやちょっと待て。
ダンベルはいいけど、エキスパンダーってそのままじゃ勿体なくねえか?
バネの方で申請した方がめちゃめちゃ儲かるぞ。何にでも応用利くし。
あっ!ライガーさんの馬車に、アレを取り付けるのも可能じゃん!
「ライガーさん!こっちのエキスパンダーなんだけどさ、こういう伸びたり縮んだりする鉄が使われてる物って他にある?」
「ん?『レ+=ラ』のことか?それなら色々な物に使われてるぞ。しかし筋肉を鍛える道具に使えるとは思わなかったな!」
異世界なめてた。ごめんなさい!
んで、『レ+=ラ』ってのがバネのことね?
「バネを使えば他にも便利なのがいっぱい作れるよ!」
「ほう・・・。例えばどんなのが作れる?」
「馬車が全然揺れなくなる部品とか?」
「なんだと!?詳しく!!」
知ってる単語だけを駆使しながらノートに絵を描き、少し話は長くなったけど、ライガーさんにサスペンションの説明をした。
「なるほど。何となくだが理解したぞ!実に素晴らしいアイデアだ!!しかしクーヤのいた国ってのはとんでもねえな・・・」
「何かよく分からんけど、
「とりあえず鍛冶屋に作らせてみて、上手くいったら商品化だな!」
「あと、バネをソファーに入れると座り心地が良くなるんだよ!ベッドの下に入れると気持ち良く眠れるし」
「マジか!こりゃもう色々作ってみるしかねえだろ!」
「だな。これから忙しくなるぞ!クーヤ、明日は朝から鍛冶屋に行くからな!」
「えーーーーーーーーーーーーー!?」
「えーーーじゃねえ!お前が行かなきゃ、ちゃんとした説明が出来んだろ。俺は子供の絵で説明されただけなんだからな。あと、レオナも一緒に行くぞ」
「えーーーーーーーーーーーーー!?」
「えーーーじゃねえ!特許の出願をするのに、クーヤはお前の弟だって説明する必要があるだろ!」
ツッコミに忙しすぎて、ライガーさんが肩で息をしている。
でも彼にだけ苦労させるわけにいかんから、ちょっと頑張るしかないか~。
最初はお金とか別にどーでもいいなんて思ったけど、冷静に考えるとこの家にお世話になってる身だし、俺が学園に行くための学費なんかも自分で払った方がいいに決まってる。
ここでちょっと頑張れば、少しくらいは恩返しが出来るかもしれない。
特許使用料とかその辺のことはさっぱりわからんけど。
「クーヤーーー!ちがうゲームない?」
おっとリリカちゃんからゲームの催促だ。
そういやこっちの話に忙しかったから、大事な翻訳の仕事を放っぽり出したままだった!
あ、でもテレビに映ってるのはモンキーコングだな。二人はクエクエをやめて、モンキーコングの方で遊んでたのか。
いや違う!今コントローラーを握ってるのはアイリスお姉ちゃんじゃん!パンダちゃんが、アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんのソファーみたいになってるし。
とうとう、あのお姉ちゃんズまでゲームにハマってしまったか・・・。
「えーと、こっちの話はもういい?」
「そうだな。今日の所はこれくらいで十分だ。俺はもう帰るけど、明日の朝迎えに来るからな?」
「うーーー、面倒臭いけど頑張るよ・・・」
「あっはっはっはっはっは!まあテキトーに頑張れ!!」
「いやレオナ、お前も行くんだからな?」
「えーーーーーーーーーーーーー!?」
「えーーーじゃねえ!ちゃんと準備しとけよ?」
ライガーさんは激しいツッコミの嵐にもめげず、ようやく帰って行った。
この家は基本的にボケ担当の方が多いので、大変だなーと思いました。
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