第53話 戦士には休息も必要なのです
それからしばらくの間、リリカちゃんとタマねえの付き添いで、俺はクエクエの翻訳係という名誉ある職に尽力することとなった。
最初タマねえは小学校をサボってまでクエクエをしようとしてたんだけど、ショタとお母さんによって、学校くらいはちゃんと行くよう説得されて、それを承諾。
それでも日本の学校と違い、この世界の小学校は昼までに授業が終わるようなので、『クエクエで遊ぶのはタマねえが学校から帰って来てから』というルールが、子供達三人の間で締結される。
すなわち、昼から夕食までの間がクエクエタイムだ。まあ強制ではないので、別に毎日クエクエをやらなくたっていい。そこは臨機応変に。
ちなみにどれも学園呼びだとやっぱり紛らわしいので、7歳になって行く所を学園と呼び、後は普通に小学校・中学校・高校でいいんじゃないかと思い改めた。
お姉ちゃん達の話だと、義務教育は基本小学校までで、その先に進学するのはほとんど魔法使いばかりらしい。戦士系や生産職もいることはいるらしいんだけどね。
理由は、小学校を卒業した年齢で冒険者ギルドに登録できるようになるから。
それと召喚士なんかは教えることが何も無いから。
まあ確かに、筋肉を鍛えて魔物とタイマンを張るだけのに、勉強する意味なんて全く無いよね・・・。薬師なんかだと教わることがいっぱいあるから進学するみたい。
それと中学校から先は自分の為に学びに行く場所なので、勉強が嫌いな人は別に授業なんか受けなくてもいいそうだ。
学校に通ってるのに部室に籠りっぱなしって人もいると聞き、その自由さなら逆に行ってみたいって思うようになった。
ファミファミ同好会を作り、部室でずっと遊んでいてもいいわけですよ!
まあ学費を払ってまで在籍する意味が無いんだけどさ、友達を作って遊ぶだめだけに金を払うってのも、それはそれでアリじゃない?
あ、そうそう!
何日か経ったのでスルーしてしまうとこだったけど、クリスお姉ちゃんとのお風呂は天国でした!!
彼女による『真・おっぱい洗い』は、もう匠の技としか言い様がありませんね。
洗われてる身分でこう言うのもなんですが、アイリスお姉ちゃん&ナナお姉ちゃんとはまるで格が違いました。おっぱいで髪の毛を洗うことは可能だったのです!!
ティアナ姉ちゃん?あ~、ええ。まあ普通に良いお風呂でした。
でもウザ可愛いのでボクは好きですよ?
ちなみにレオナねえは大ハズレです!!
頭を洗われた時、大量出血したかと思いましたもん!
おっぱいは素晴らしいのですが・・・。とても残念な人です。
チュドーーーーーン
「あークソっ!やられちまった!!」
そのガサツな声に、桃源郷の彼方へと飛んでいたショタの愛くるしい魂が、再び現実の世界へと引き戻された。
声を荒げたのは当然ながらレオナねえなんだけど、今ゲームにハマってます。難易度の高い、縦スクロールシューティングゲーム。その名は『スターソルニャー』。
主人公は猫で、弾を避けたりしながら戦闘機をガンガン撃ち落とします。
なぜ猫がこんなに激しい戦闘をしているのかは知らんけど、でもこれがめっちゃ爽快で面白いのだ!
レオナねえは冒険者をやっているんだけど、冒険者って職業は、遠征から戻った後なんかは長い休暇をとったりで、次いつ依頼を受けるかなどは結構適当みたい。
難易度の高い依頼を達成すればその分報酬もデカいので、年がら年中働かなくても食っていけるってことなんだろね。
「レオナねえにしつもーーーん!」
「ん?」
「この前レオナねえが魔物を倒しに行ったとこって、ここから近い?」
「ん~~~、遠いってほどじゃないけど、街の北に向かって1日って感じだな。今は魔物が大量にいるから行っちゃダメだぞ?」
「むーーーりーーーーー!」
「子供の足じゃちょっと厳しいか!あーっはっはっはっはっは!!」
歩いて1日なのか、馬車で1日なのかだよな・・・。
これ以上深くまで聞くと、ショタの魂胆に気付かれそうだからヤメとこう。
新しい召喚獣を手に入れる為に、そういう危険な場所に行く必要があるんだけど、馬車で1日かかるような場所だと夕食までに帰って来ることができん。
家族以外の人に魔物分布図的な情報を聞きたいとこだ。
ライガーさんか?いや、変なことを聞いたら察してしまう可能性があるな。
ショタの心配なんかしないような、全然知らん人から情報を仕入れるか・・・。
通りすがりの冒険者なんかが良さそうだ。魔物に詳しいだろうから。
『ただいまー』
ん?誰かが帰って来た。
ああ、まだお昼だからタマねえだな!
クエクエをやりに毎日ウチに来るようになったんで、『クエクエの為に急いで帰って来ましたよ!』の意味も込めて、『ただいまー』って言うようになったのだ。
ガチャッ
ショタに玄関まで迎えに行く暇すら与えずリビングに入って来たタマねえが、部屋をキョロキョロ見回した。
「あれ?リリカは?」
「おかえりタマねえ!リリカちゃんはお母さんと一緒にお買い物~」
「じゃあクエクエできない?」
「あ~、そうだね。買い物から戻るまで待ってた方がいいと思う」
タマねえが少し考えた後、右拳を左の
そしてソファーの前まで歩いて来て、ショタを脇腹に抱える。
「今日は別の遊びをしよう」
「なるほど。でもなんでショタを抱えた?」
タタタッ ガチャッ
「にょわああああああ~~~~~~!」
「ん?クーヤもお出掛けか?夕食までには帰って来いよ~」
レオナねえ、あんたもか!目の前でショタが連れ去られてるのですよ!?
脇腹に抱えられたまま玄関で強引に靴を履かされ、タマねえは外へ飛び出した。
「またこのパターンですかああああーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
再びショタはタマねえによってどこかへ連れ去られてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます