第41話 ここは天国ですか?

 なるほど・・・、思った通り、髪の毛と同じ色だったのですね!


 これは内緒ですが、身長の低いショタの顔の前にお姉ちゃん達が立つと、目の前に見えるのは下腹部だったりするのです!


 これはけしからんですよ!?もう興奮度は有頂天だ!


 ・・・しかしここで残念なお知らせがあります。


 基本、死と隣り合わせのクソみたいな人生を歩んで来た俺にとって、女性と一緒にお風呂なんてのは興奮度100%のフィーバー状態なのは間違いありません。


 しかし、悲しいことにショタなのです!


 こんな夢のような状況なのに、5歳児のアレは完膚なきまで無反応。

 興奮度100%なのにハッスル出来ないってのは、逆に辛いだけなんですけど!?



「クーヤちゃん、湯船に入る前に身体を洗おうね~!」

「あい!!」

「そういえばおっぱいで洗うんだっけ?身体はともかく、髪の毛を洗うのはちょっと無理じゃない?」

「すごく難しいけど、クリスティーネさんに『手で洗った雑魚』だって見下されるわけにはいかないじゃない!何とか二人でがんばるのよ!」


 マジっスか!?いや、絶対無理だと思うんですが・・・。

 しかし想像しただけでロマンティックが止まらないですよ!!


 あ、ちなみに湯船なんて単語は初耳だけど、ニュアンスで自動変換しました。



 ふにゅん ふにゅん


「アッハ~!クーヤちゃんの肌ぷにっぷにだね!」

「クーヤちゃん可愛いよ~~~!」

「ほわあ~~~」



 ・・・ここは天国ですか?


 前から後ろから、やわらかいモノがふにゅふにゅと・・・。



 もういつ死んでも悔いは無い。


 いや、言い過ぎた。ここで死んだら悔いしか残らんでしょ!

 5歳児だから無理なのだ・・・。せめて15歳、いや、13歳くらいまでは生きねば!


 正直、大人の精神を身に潜めながら、お姉さん達とお風呂で戯れるのがこんなに辛いことだったなんて、全く思いもしませんでした。

 なんせ一度も女性と付き合ったことないですもん。女性免疫ゼロですし。


 だってしょうがないやん?生前の俺と一緒にいたら十中八九事故に巻き込まれるんだぞ?俺が彼女を作るなんてのは、殺すようなもんだから無理だったんだよ。


 そういうお店に行くって手段はあったんだろうけど、年から年中大怪我してる状況じゃ、そんな気も起きなかったんだよな~。



「う~~~ん、やっぱり髪の毛は手を使わなきゃダメじゃない?」

「泡は立ってるけど、これじゃ後から痒くなっちゃうよね」


 俺もそう思います。死ぬほど気持ち良いけど、正直スッキリしないとです。


「自分で洗う~」


「それは却下!お姉ちゃん達が全部やってあげるんだから」

「やっぱり髪の毛は手でちゃんと洗いましょ!」


 ってことで、結局頭は普通に手を使って洗われたのだった。



「さて、次はクーヤちゃんがお姉ちゃんの身体を洗って!」

「タオルは使っちゃダメよ?手で洗ってね~!」



 ・・・な、なんだってーーー!?




 ◇




 カポーーーン



 なぜか都合により全シーンをカットされてしまったけど、とにかく凄かったです!

 期待していた皆様、申し訳ございません!この辺りが限界でした。


 ハッ!?俺は一体誰に説明をしているのだ・・・。


 とにかく、全身くまなく洗うことを強要されてしまったので、興奮度が200%を超えて天元突破ですよ!!


 お姉ちゃん達はウハウハだったかもしれんけど、逆にこっちは生き地獄。


 くそおおおおおお!自分がショタじゃなけりゃ、あんなことやこんなことだって出来たというのに!


 ・・・いや、違うな。可愛いショタだからこんなシチュエーションを体験することが出来たのだ。もう嬉しいやら悲しいやら・・・。



 この家のお風呂は広くて、大人が三人同時に浴槽に入ってもまだまだ余裕がある程の大きさだ。お姉さん二人とショタ一人が湯船に浸かってもゆったりできます!


 レンガのお風呂なんて初めてだけど、高級旅館にいるみたいで本当に最高です!!



 後頭部にナナお姉ちゃんのおっぱいという最高のシチュエーションで、とても気分良くポカポカ温まっていると、アイリスお姉ちゃんが突然真剣な表情になった。


「今日はレオナの家に泊めてもらおう!」

「うぇえええ!?レオナの部屋になんか寝たら病気になるよ!?」


 酷い言われようだな・・・。レオナねえの部屋ってどんだけ汚れてるんだよ!?


「ん?寝るのはクーヤちゃんの部屋に決まってるじゃない。お風呂の権利を貰ったんだから添い寝の権利もあると思うんだ!」

「そ、そうなの?でもクーヤちゃんの部屋ってもうあるのかな?」

「あるよ!」

「じゃあ決まりだね!」

「それなら着てた服を洗濯した方がいいよね~?」

「ああ、それなら今洗っちゃおうか」



 二人が脱衣所から自分の服を持って来て、風呂桶の中のお湯を石鹸で泡立てた。


 ひょっとして、ここで手洗いするのかな?だとしたら洗濯機の出番じゃね?

 風呂場なら排水も簡単だから、後は水を入れるだけでいい。


「ねえお姉ちゃん!洗濯するなら良い道具があるよ!」

「良い道具?」

「え?なになに!?」



 お風呂の邪魔にならない場所まで移動して、右手を前に出す。


「洗濯機召喚!無限洗剤も召喚!」


 シュッ!


 目の前に洗濯機と洗剤が出現した。



「ええええええええ!?」

「な、なにこれ!?突然大きな箱が出たんだけど!!」


 お姉ちゃん達が隣まで見に来た。


「えーと、この穴の中に洗濯物を全部入れてね」

「ここに洗濯物を入れるの?」

「あはははは!全然意味がわかんないし!!」


 お姉ちゃん達が洗濯物を全部中に入れたので、台を持って来てその上に乗り、洗濯物の上にスプーン一杯の無限洗剤を投下した。


「でね、この中に水をいっぱいいれるの。えーとね、大体この辺まで!」

「ほうほうほうほう。ナナお願い」

「任せて~!」


 ナナお姉ちゃんが魔法を使って洗濯機に水を入れた。


「ナナお姉ちゃんって魔法使いだったんだね!」

「お姉ちゃんはセージなんだよ!」

「こんなタレ目のくせに生意気よね」

「タレ目は関係ないでしょ!」


 セージって何だっけ?・・・あ、賢者のことじゃん!!

 ナナお姉ちゃんって実は凄い人だったのか!



「じゃあスイッチオン!!」


 ゴトンゴトンゴトン


 洗濯機が動き出し、水が回ってるのを見て、お姉ちゃん達がめっちゃ驚いた。


「えええええええええ!?なんか回ってるよ!!」

「うわあ~~~~~~~~!え?もしかして勝手に洗濯してくれてるの??」

「うん!後は洗濯が終わるのを待ってるだけでいいの」

「本当に!?何これ、凄すぎない?」

「これってクーヤちゃんが出したのよね?私こんな魔法知らないよ・・・」



 とりあえず湯船に戻って、お姉ちゃん達に軽く説明することにしようか。

 

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