第42話 クーヤちゃんという謎の生き物

 転生ルーレットや記憶を持って転生したことなんかは当然隠してるけど、5歳にして職業についている理由は外国人設定でゴリ押しだ。


 この家に来てからサボっていたアイテム召喚もそろそろやるつもりなので、俺が住んでた国から洗濯機を召喚したってことも隠さず伝えた。


 ・・・おっと洗濯機がピーピー怒っている。


 蛇口に接続してないから『すすぎ洗いが出来ないぞ!』って、途中で一回洗濯機がピーピー鳴るのだ。ナナお姉ちゃんに言って、もう一回水を入れてもらった。


 無限洗剤を消せばヌルヌルも消え去るから本当はここで洗濯を終了してもいいんだけど、洗剤の匂いが消えてしまうと、洗った感も無くなってしまうので、洗剤は消さずに『すすぎ』までやるのが最近のお気に入りなのだ。


 魔力が多くなるにつれ、召喚獣を出しっ放しでも魔力の回復量が使用量より上回るようになったので、無限洗剤はしばらく出しっ放しにしておくつもり。箱が空っぽになってもまた召喚し直せば満タンまで復活することをみんなに教えなきゃだな。


 というか家電をいっぱい出したままでも余裕なので、もう全部出しっ放しでいいとすら思ってる。



「そのニホンって国に行ってみたいね!」

「ん~~~、すっっっっっごく遠いからたぶん無理ーーー!」

「でもこっちのサモナーと違い過ぎない?クーヤちゃん全然筋肉無いよ?」


 ナナお姉ちゃんにぷにぷにの身体を触られて、ちょっとくすぐったい。


「おっと、そろそろ出ないと次の人に怒られちゃう」

「洗濯物はどうしよう?」

「んとねー、まだもう少しかかるから後で取りに来るの。洗濯が終わった時もさっきみたいに洗濯機からピーピー音が鳴るんだ」

「アレってお知らせしてくれてたの!?凄すぎない?」



 お風呂場を出た。


 服を洗濯中なのでお姉ちゃん達はバスタオル一枚姿だけど、同じく服を洗濯中の俺は奥の手を使う。


「あひるポンチョ召喚!」


 そうなのです!

 前に洗って乾かした後にストックしたので、実はあひるポンチョくんも召喚獣となっていたのです。


 無限洗剤じゃなく、高級石鹸の方で洗ってからストックしたので、どんだけ汚れようとも召喚し直せば、洗いたての良い香りのするあひるポンチョに復活するのだ!


 中は全裸だけど、あひるポンチョを羽織った。


「あれ?その可愛い服は洗濯しなかったの?」

「これは召喚獣サモンビーストだから、消して出せば綺麗になるの」

「・・・なんかクーヤちゃんだけずるい!!」


 ナナお姉ちゃんに、あひるポンチョをくんかくんかされた。


「本当だ!洗いたての良い匂いがするよ!!」

「実はサモナーってめっちゃすごくない?」

「たぶん変な召喚サモンできるの、ボクだけだと思うよ?」



 お風呂から上がったことを伝えると、次はクリスお姉ちゃんがお風呂場に行った。



 タタタタタッ


「ね、ねえ!お風呂場で四角い箱がゴトンゴトン鳴ってるんだけど!!」



 わお!またもやクリスお姉ちゃんのダイナマイトボディーだ!!

 ってこうなるのは読めていたので、みんなに洗濯機の説明をしてあげた。


 そして洗濯機に興味を持ったみんなと一緒にお風呂場に行くと、ちょうど洗濯が終わったみたいだった。


「あ、ピーピー鳴ってるよ!」

「音が鳴ったら蓋を開けて洗濯物を取り出すの!」


 取り出した服がしっかり洗濯されているのを見て、全員が目をキラキラさせた。


「えええ!この箱の中に洗い物を入れただけなの!?」

「えーとね、服を入れてからこの洗剤をスプーン一杯入れて、この線まで水を入れてからココにあるボタンを押すの。途中でピーピー鳴ったらまた水を入れて、次にピーピー音が鳴ったら洗濯しゅーりょー!」

「そんな簡単に洗濯が出来るのか!すげえ!!」


 レオナねえが着ていた服を全部脱いで洗濯機に入れた。


 うおおおおお!レオナねえのおっぱいもかなりのレベルだぞ!!ってか次はクリスお姉ちゃんがお風呂の番なのに気が早いな。


 そのクリスお姉ちゃんも、脱いだ服を持って来て洗濯機に入れた。


「えーと、まず洗剤を入れるのよね?」

「このスプーン一杯だよ!そして線の所まで水を入れるの」


 クリスお姉ちゃんが洗剤を入れた後、今度はティアナ姉ちゃんが魔法で洗濯機に水を入れた。そして蓋を締めてからスタートボタンを押す。


 ゴトンゴトンゴトン


「「おーーーーーーーーーーーーー!!」」


 初めて洗濯機を見た時ってこんな反応をするんだな・・・。

 生まれた時から家に洗濯機があった俺には体験出来なかったヤツだ。


 少しの間みんなで見ていたけど、クリスお姉ちゃんがお風呂を使いたいってことで風呂場を退散した。



 ブオーーーーー



「またクーヤちゃんが謎の道具を使ってる・・・」

「今まではただ可愛い男の子だって思ってたけど、一緒に生活するとすごく不思議な生き物だったーーー!」


 不思議な生き物って、酷い言われようですな!

 とりあえず頭を乾かし終わったので、ナナお姉ちゃんにドライヤーをパスした。


「このレバーを上にすると風が出てくるよ」


 ナナお姉ちゃんが言われた通りにドライヤーのスイッチを入れた。


 ブオーーーーー


「ええええええ!?暖かい風が出て来たよ!!」

「え?暖かいの??うわ、ホントだ・・・」


 驚いてるお姉ちゃん達を横目に、電動歯ブラシに歯磨き粉をつけた。


 ヴィーーーン


「「・・・・・・・・・」」


 お姉ちゃん達が何か言いたそうにショタを見ているが、残念ながら歯磨き中はしゃべれないのです。


「今度は歯ブラシなのね・・・」

「不思議生物だ・・・」


 お姉ちゃん達は突発的にお泊りすることになったので歯ブラシなど持ってるハズもなく、それならばと電動歯ブラシを召喚し直して一人ずつ貸してあげた。


「この動く歯ブラシすごく良い!!」

「だよね!?歯に押し当てるだけで磨いてくれるからすごく楽なの!!」


 すごくわかります!

 しかも再召喚で新品に戻るから、何人かで回して使うことも出来るのだ。




 ブォーーーーーーン!



 脱衣所を出てリビングに戻ると、お母さんが掃除機をかけていた。



「「・・・・・・・・・・・・」」



 電化製品最高!!

 

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