第29話 すっげーお宝を手に入れた!

 水を塞き止める為の板を下げると、ちゃんと水が遮られた。



「よし、大成功だ!」



 洗濯機の中には丁度良い量の水が溜まっており、ゴミも浮いていない。

 無限洗剤を入れてからスイッチを入れると、洗濯機が動き出した。



 ゴトンゴトンゴトン



「っしゃーーーー!!」



 苦節2週間、ようやく洗濯機が使用可能になりました!


 穴を掘るのは3日で終わったんだけど、小川から洗濯機まで綺麗な水を運ぶ為の通路を作るのが大変だった。


 屋敷にあった工具で板を加工したんだけど、ショタにとっては大仕事なのですよ。


 それが完成したら、今度は川辺を掘って通路を嵌め込む作業があったりで、なんだかんだで2週間もかかってしまった。


 でも苦労の甲斐あって、とうとう洗濯機を使うことが出来るようになったのだ。


 洗濯機から排水された水は、洗濯機の奥に掘った穴に流れるようにしてある。


 なのでそっちの穴の中が水でドロドロになってしまうけど、地面に吸い込まれるからたぶん大丈夫だろう。


 洗濯が終わり、中から棒を使って洗濯物を引っ張り出した。



「バッチリだな!」



 役目を終えた洗濯機を消してから、洗濯物を持って屋敷へと帰還した。




 ◇




 アイテム召喚の時間だ。


 所定の位置にスタンバイし、右手を前に伸ばす。



「何でもいいから面白い物出ろ!召喚!!」



 ヴォン!



 光が消えてそこに現れたのは、少し薄汚れた何かの箱だった。



「何だこりゃ?新品じゃないのか・・・」



 ちょっとがっかりしながら箱を開けて驚愕する。



「嘘・・・、だろ!?」



 それを見た瞬間、雷に打たれたような衝撃がショタの身体をほとばしる。



 箱の中には、なんとファミファミのゲームがギッシリと詰まっていた。

 数えてみると、驚きの32本!!クエクエと合わせると全部で33本ですよ!


 震える手を伸ばし、薄汚れた箱に陳列されたラインナップを一つ一つ確認する。


 うおおおおおおおおおおおおおおお!!

 懐かしいゲームから知らないゲームまで、選り取り見取りじゃあああああああ!!


 どれもゲームの箱に入っていないむき出しの状態だけど、そんなのは別にどうでもいい。ゲームを遊べればそれでオッケーよ!


 見ると初期の頃のゲームが多い感じで、基本的に皆がよく知るメジャーなやつばかりだった。


「だがそれがいい!!」


 今すぐ遊びたいと思うのは俺がよく知るゲームであり、この時代のマイナーゲームには興味なんて無いのだ。


 まあ有名なゲームでも、俺が知ってるのは自分にあったヤツだけなんだけどさ。

 すなわちそれらは父さんが子供の頃遊んでたゲームだ。


 ウチにもファミファミのゲームがいっぱいあったけど、さすがにここまで多くはなかった。


 父さんが言うには、貸したまま帰って来てないゲームが10本ほどあったらしい。


『ゲームやマンガの本は、貸したら二度と帰って来ないと思え!』


 これは父さんの名言の一つだ。

 たぶん相当借りパクされたのだろう・・・。



 液晶テレビとファミファミを召喚し、挿さっているクエクエを抜いてから、スーパーマリモブラザーズを挿し込んだ。



 ♪デデッデッデデデデッ


 軽快な曲と共にゲームが始まる。



 ♪デデッデデデンデデンデンデデン


 最初の敵にやられてしまった。



 超久々なので大苦戦しながらステージを進んで行く。

 昔のゲームだからドットも荒いし音もちゃっちいんだけどさ。


 でも面白いなーーー!さすが名作と言われることはある!!




 ゲームを取っ替え引っ替えしながらずっと遊んでいたら眠くなって来た。



「ハッ!?俺は一体何をやっているんだ!!」



 異世界に来たというのにレトロゲームに夢中になって遊ぶとか、なんという時間の無駄使い!


 ゲームは人をダメにするな・・・。

 とはいえ、他に何かやることがあったのかとなると、リコーダーの練習くらいか。


 うん、全然問題ねえな。


 『朝から丸一日ゲームしてた』とかならどうかと思うけど、ファミファミほどのレトロゲームを丸一日遊ぶ方が逆に辛い気がする。


 あ、クエクエだったら丸一日ハマれるかもしれんけど・・・。


 そういやクエクエが2本になってしまった。

 32本の新作の中にクエクエもあったんだよ!まあ名作だから、メジャー所を集めたこのラインナップに入ってない方がおかしいのか。


 とりあえずそろそろ寝よう。これが夢じゃないことを祈りながら布団に入る。



「おやすみなさ~い」






 ************************************************************






 翌日、仕事を終えてから小川で身体を洗って洗濯して屋敷に戻ると、魔力が全回復していた。まあ数値が見えるわけじゃないんで感覚的なモノだけど。


 なので2週間分のアイテムを召喚獣にストックしようと思う。

 ちょっと怖いけど、大勝負する時が来たのだ。


 もうストックするアイテムの振り分けは終わってるので、後は実行に移すのみだ。

 夢じゃなかったようで、昨日召喚したゲームの箱もちゃんとあったぞ!



 恐れるな!突き進め!迷わず行けよ、行けばわかるさ、ありがとーーー!!



「行くぞ!!ストックストックストックストックストックストックストック」



 最後に、ファミファミに挿さっているのが最初のクエクエなのを確認し、ゲームがいっぱい詰まった箱を綺麗に拭いてからストックした。



「ふ~~~、全部ストック完了です!!」



 体調に変化は・・・なし!

 今回分で増加した魔力量は・・・わからん!


 えーと、前回ストックしたのを全部出せばあの時と比較できるか。

 魔力の最大値が増えたってのも感覚的にわかればいいのにな~。



 今回ストックしたアイテム以外の家電召喚獣を、部屋に全部呼び出してみた。



「おお!?前回の半分くらいしか魔力が減ってない気がするぞ!!」



 数値で見ることが出来ないから確信は持てないんだけど、こんだけアイテムを出したのに魔力がまだ大量に残ってるのは感覚的にわかる。


 前回の時と比べて半分くらいの消費量になったと思うんだよな~。

 絶対とは言えないけど・・・、いや、絶対魔力増えてるよ!!



 あの時の仮説はおそらく正解だ。アイテム召喚で手に入れたアイテムを1個ストックするごとに、ショタ一人分の魔力が増加するのだ。


 とはいっても召喚士の魔力が増えた所で、召喚する時の魔力消費を考えなくてもよくなるだけなんですけどね。


 でも、召喚獣を出しっ放しにできるってのはいいかも!

 

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